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水槽に熱帯雨林の景色を作り、愛でる。LED栽培の愉しみかた〜パルダリウム編〜

  • 2025.4.30
水槽に熱帯雨林の景色を作り、繁茂していく姿を愛でる。LED栽培の愉しみかた〜パルダリウム編〜

水槽に熱帯雨林の景色を作り繁茂していく姿を愛(め)でる

ガラスの水槽内に、湿地帯の植物や石を組み合わせて景色を作るパルダリウム。光合成に適したLED照明を使う栽培法は、室内のどこでも楽しめるため、インテリアの新たなジャンルとしても大人気だ。そんなブームを牽引するのは〈ADA LAB〉。梅田店店長の吉田壮佑さんは言う。

「植物によって適正な光量や湿度への耐性が違うので、それらが似たものを組み合わせるのが大事」

今回は高さ25㎝のスクエア型水槽を使い、実際に作ってみた。植物は、エキゾティックかつユニークな造形が魅力の食虫植物をメインに選び、水草やコケ、表面に凹凸のある黄虎石(おうこせき)を合わせることに。

「水槽にソイルを敷き、石を並べて景色のベースを作り、そこへ植物を植えていく……というのが全体の流れです。景色作りのコツは2つ。一つは前景・中景・背景を意識して配置し、小さな空間に奥行きを感じさせること。もう一つは、植える位置や角度を揃えすぎないようにして、本来不均一な自然界の景観に近づけること」

さらに肝心なのは風景をより良く保つ手入れ法だ。基本はLEDの光を1日8時間ほど当て、2、3日に1回は散水、換気をする。

「水生植物は想像以上に育ちが速いので、剪定頻度が少なくて済むものを選んでおくのも手。自分が作った小さな世界の中で、本物の植物が健全に茂っていく。日々手入れしながらその姿を眺めることも、パルダリウムの魅力です」

〈ADA LAB UMEDA〉で作ったパルダリウム。LEDを使ったオリジナルのマグネットライトと専用スタンドを使ってスマートに照射中。

パルダリウムの作り方

準備するもの

パルダリウム作りに使う道具
水草栽培用ピンセット ツイザース255㎜ 2,750円、シザース カーブ230㎜ 4,290円、ソイルブラシ1,100円。
パルダリウムの材料
水槽「ネオグラス エア」H250×W150×D150㎜ 6,710円(フタ別売り)。景色を作る石。槽内環境も整える底床材「ジャングルベース200㎖入」484円と「ジャングルソイル700㎖入」726円。植栽はセファロータス、プレミアムモス、石化トキワシノブなど。
パルダリウムを作る様子
水槽に鉢底石(底床材)を敷き、ソイルを重ねる。後ろが高くなるよう傾斜をつけると奥行きや広がりが感じられる。正面が2層に見えないよう、鉢底石は水槽手前から離して敷く。ソイルは手前から入れると崩れにくい。
パルダリウムを作る様子
全体のレイアウトをイメージし、植物を植える位置を避けながら石を組む。コツは3つ。石の数を奇数にしてアシンメトリーに配置すること。石の色味を揃えて世界観を作ること。石の凹凸を生かして立体感を出すこと。
パルダリウムを作る様子
組んだ石の間をソイルで埋めたら、ソイルが崩れないように水で湿らせて固める。ここへ植物を植えた時の景色が「一枚続きの岩盤の上」に見えるような石組みになっているのがベスト。今回使った石は凹凸のある黄虎石。
パルダリウムを作る様子
植物の配置は前景・中景・背景を意識。まずメイン(今回はセファロータス フォリキュラリス)を中景に。植物を植える場所の土には、ピンセットで軽く穴(ポケット)を開けておくと根に負担がかからずしっかり根づく。
パルダリウムを作る様子
中景とのバランスを見つつ、手前に背の低い植物が広がるように配置。今回は根腐れしない水草(写真はクリプトコリネ パルヴァ)や、パセリのようなクッションモスをチョイス。左右非対称に植えると自然に見える。
パルダリウムを作る様子
後方の傾斜には背が高い植物を配し、空間に奥行きを作る。今回は石化トキワシノブ(写真)やトキワシノブを選択。高さを揃えすぎず、前後左右にずらして植える。景色は平面で見るのではなく、空間で捉えるのがコツ。
パルダリウム
石や植物の隙間を緑で埋めて全体をつなげる。今回はハイゴケ(陸生ゴケ)とピーコックモス(水生ゴケ)の2種を使い、多様な植物で成り立つ自然界の景色に近づけた。アクセントとして縦横無尽に広がるつる性の水草も。
パルダリウム
自然な凹凸や陰影がある豊かな景色に仕上がった。個性的な植物だけでなく、ごくシンプルなコケもうまく配置することで、目に心地よい美しさが生まれている。ここから根が張って植物が伸び、石組みとも馴染む2、3週間後が本当の完成形。
パルダリウムの図解

パルダリウムの管理方法

パルダリウムに水やりをする様子
霧吹きで4プッシュ程度の散水を、1週間に3回ほど行う。ポイントは水がはね返るイメージで勢いよく吹きつけること。散水と同時に、水槽内にとどまった空気を動かすことが大切だ。
パルダリウム
また、横から見た時、底から1cmくらいまで土が湿って(水がたまって)いればOKだが、それ以上乾いていたら、その都度散水が必要。ロングノズルのハンドスプレー3,300円。
パルダリウムをトリミングする様子
伸びすぎた植物や枯れた古葉、メインの植物にかぶさる葉は、剪定が必要。今回の作例なら3週間に1回程度。切る時は必ず根元から(先がカーブしたハサミが切りやすい)。
パルダリウム
中途半端に切ると断面ばかりが目立つので、ある程度まで伸びてから完全にトリミングする。切ったものはピンセットで取り除く。水草は挿し木のように土へ挿しておけばまた伸びる。
パルダリウムに施肥する様子
葉面に散布するミスト式の活力剤が便利。写真は葉の色が薄くなるのを予防しつつ栄養を補給する「佗び草ミスト」968円。1週間に3回、2プッシュ程度を継続的に。
パルダリウムを換気する様子
散水した後は、フタを1〜1.5cmずらして30分ほど換気。空気のよどみも防ぐ。常に閉めているとガラスが曇るので、観賞したい時などは適宜換気を(1日何度でもOK)。

profile

〈ADA LAB UMEDA〉店長の吉田壮佑さん

吉田壮佑(〈ADA LAB UMEDA〉店長)

よしだ・そうすけ/最新のパルダリウム用品や植物が揃う〈ADA LAB UMEDA〉では、オリジナルのLEDライトも充実。吉田さんも含めた専門スタッフによるパルダリウム作りのワークショップも人気。予約はHPより。

Information

〈ADA LAB UMEDA〉

ADA LAB UMEDA

住所:大阪府大阪市北区角田町8−7 阪急うめだ本店8F GREEN AGE
営:10時~20時
休:無休
HP:ada-laboratory.com/

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