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ゴールデンウィークに楽しむアートなお出かけ。春から初夏に注目したい全国の展覧会5選

  • 2025.4.22

アートとヘルスケアの結びつきに着目した、新たな美術館体験

サルバドール・ダリ《ダンテ『神曲』天国篇 第24歌》1960 公益財団法人諸橋近代美術館 © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2024 B0829
サルバドール・ダリ《ダンテ『神曲』天国篇 第24歌》1960 公益財団法人諸橋近代美術館 © Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR Tokyo, 2024 B0829

福島県の諸橋近代美術館は磐梯会津高原に位置。磐梯山を臨む美しい庭園に囲まれ、シュルレアリスムの代表的作家であるサルバドール・ダリのアジア随一のコレクションで知られている。そんな同館が、6月29日(日)まで、アートを通して“ととのう”を提案する新しい感覚の展覧会「ととのう展 ~ヘルスケアにつながる美術館~」を開催中だ。ストレスの多い現代社会において、美術館の新たな活用方法として、「ココロとカラダがととのう美術館」を提案。ドラマ『サ道』の作曲でも知られるとくさしけんごは、同展のためにオリジナルBGMを制作した。

同展では、美術作品鑑賞後の健康状態の変化に関する科学的な検証を紹介。また、サウナ体験やマインドフルネスにヒントを得た鑑賞法も提案するほか、19世紀の西洋近代絵画に見られる非日常や自然への渇望、サルバドール・ダリによる天国描写などが描かれた作品も展示する。流行語“ととのう”の火付け役となったタナカカツキ氏の『マンガ サ道』の原画や、本展のために描き下ろされた美術館オリジナルの漫画も見逃せない。

タナカカツキ《サウ画「ととのったーっ」》© タナカカツキ 2022
タナカカツキ《サウ画「ととのったーっ」》© タナカカツキ 2022
ポール・セザンヌ《林間の空地》1867 公益財団法人諸橋近代美術館
ポール・セザンヌ《林間の空地》1867 公益財団法人諸橋近代美術館

ととのう展 〜ヘルスケアにつながる美術館〜

会期/〜6月29日(日)、会期中無休

会場/諸橋近代美術館 福島県耶麻郡北塩原村桧原字剣ケ峯1093-23

開館時間/9:30~17:00(最終入館16:30)会期中無休

観覧料/一般1,300円、高校・大学生500円、中学生以下無料。

https://dali.jp/

オーストリアの彫刻家、エルヴィン・ヴルムの日本初個展

《学校》2024/2025年 撮影:河野幸人
《学校》2024/2025年 撮影:河野幸人

十和田市現代美術館にて、オーストリアの彫刻家エルヴィン・ヴルムによる日本初の美術館個展「人のかたち」が開催中だ。ヴルムは、2017年ヴェネツィア・ビエンナーレでの出展や、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥセンターなど、世界の美術館でコレクションされている著名な彫刻家。《ファット・カー》や《ファット・ハウス》など、日本で唯一ヴルムの作品を常設展示している同館が、満を持してヴルムの日本の美術館では初となる個展を行う。

ヴルムはオーストリアの重要な作家の一人。彫刻の定義への疑念や現代社会に対する批評をユーモラスな世界観で展開し、鑑賞者の笑いを誘うような作風が特徴だ。批評的でありながら、ユニークな体験をもたらす彼の作品は、年齢問わずさまざまな人の好奇心を刺激する。

今回の個展では、彫刻の最も原初的なモチーフである人の身体を起点に、時間、量塊と表面、具象と抽象を巡るヴルムの作品を紹介。見どころのひとつは、最新作で日本初公開となる大型インスタレーション《学校》だ。オーストリアで発表されたばかりの本作は、歪められた形の学校の教室内部に、明治維新以降に学校で使用されていた教材や子どもたちが目にしていたと考えられる印刷物を掲示。そのほか、奇妙なポーズの聖職者を捉えた「修道士と修道女」の写真シリーズや、人間の第二の皮膚として衣服を応用した《吊されたセーター》、彫刻の表面と量塊の関係を示した「皮膚」シリーズの《立っている花 2》、平面性を追求した絵画「平らな彫刻」シリーズなど、多様なメディウムによる作品が展示される。

さらに、十和田市の街中の施設や店舗では、観賞者が作品の指示に従って1分間だけ静止したポーズを取る参加型の「1分間の彫刻」シリーズも展示。ISSEY MIYAKEの2025年秋冬のコレクション発表の演出のもとになった作品だ。個人的なものであるはずの「からだ」が、自身の意思を離れて彫刻化されるという体験は、観る者に新たな視点を提示してくれるだろう。

エルヴィン・ヴルム「人のかたち」

会期/~11月16日(日)

会場/十和田市現代美術館 青森県十和田市西二番町10-9

開館時間/9:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)

観覧料/一般1,800円(常設展含む)、高校生以下は無料

休館日/月曜。祝日の場合はその翌日、ただし4月28日(月)、5月6日(火)、8月4日(月)、8月12日(火)は開館

https://towadaartcenter.com/exhibitions/erwin_wurm/

今に至るまでの世界の変化と複雑な様相をアートで表現

淺井裕介《星、飛ビ散ル/太陽の一番近くへ》2024 撮影:東千尋
淺井裕介《星、飛ビ散ル/太陽の一番近くへ》2024 撮影:東千尋

環境問題、紛争や戦争、貧困や経済格差、人種差別性的マイノリティの権利、移民・難民問題、新しい感染症──。今日、人類は多くの深刻な問題と直面しているが、我々は、これまでも類似した問題の多くを過去にも経験してきた。一方で、この数百年という時間をかけて科学技術の進歩から社会的・文化的な発展までよりよい未来のための土台を築いてもいる。私たちの今生きているこの世界は過去の膨大な時間の重なりの上にあるのだ。

4月29日(火)からスタートする「積層する時間:この世界を描くこと」では、過去の出来事への鋭い批評、土地が持つ歴史や神話、植民地化や戦争の歴史、風景や自然のなかに潜在する過去との接続や時間の流れ、生と死という生命の時間など、アーティストそれぞれの問題意識や関心から複数の積層した時間が描き出された作品を紹介。絵画、ドローイング、アニメーション、版画などの手法を用いて、過去の歴史や記憶、現在という時間、あるいは未確定な未来について、さまざまな時間を取り上げることで、私たちの「世界」の様相を浮かび上がらせる。

ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(CR 845-5)》1997 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(CR 845-5)》1997 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三
ユアサヱボシ《夢》2021 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三
ユアサヱボシ《夢》2021 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三
松﨑友哉《河岸》2025 撮影_Alastair Levy
松﨑友哉《河岸》2025 撮影:Alastair Levy

積層する時間:この世界を描くこと

会期/4月29日(火)〜9月28日(日)

会場/金沢21世紀美術館 石川県金沢市広坂1-2-1

時間/10:00〜18:00、金土曜は~20:00

休館日/月、ただし7月21日(月祝)、8月11日(月祝)、9月15日(月祝)は開館。5月7日(火)、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)

入場料/一般 1200円、大学生 800円、高校生・中学生・小学生 400円、65歳以上 1000円

問い合わせ先/076-220-2800

https://www.kanazawa21.jp/

大阪の街が美術館に! 周遊型イベント「Osaka Art & Design」

今年で3回目を迎える「Osaka Art & Design大阪アート&デザイン)」は、大阪の街をめぐりながらアートやデザインに出会う周遊型のイベントだ。梅田から心斎橋・なんば、そして阿倍野まで、大阪の至る場所で、気鋭のクリエイターが多彩なアートやデザインを展開。大阪全体が美術館と化し、アート作品や家具、ファッションなどが鑑賞できる。2024年は公共スペースや百貨店、ギャラリーやインテリアショップなど55会場を舞台に、582組のクリエイターやブランドなどが参加。絵画やインスタレーションから、著名な物故アーティスト、インテリアデザインにフィーチャーした展示など、さまざまな作品が大阪の街を彩る。

大阪・関西万博の年に開催される今年のテーマは、「Overlaps ~重なる夢中~」。世界中の人々が集まり交わる大阪が、多種多様なアートで飾られる。型破りでユニークな感性あふれる大阪の地で、アートとデザインが織りなす新たなムーブメントを体感しよう。

鬼頭健吾 LINES 会場:なんばカーニバルモール(2024年実績)
鬼頭健吾 LINES 会場:なんばカーニバルモール(2024年実績)

Osaka Art & Design 2025

会期/5月28日(水)〜6月24日(火)

開催場所/梅田、堂島、中之島、京町堀、本町、心斎橋、なんば、阿倍野ほか大阪市内各地

https://www.osaka-artanddesign.com/

鑑賞のヒントを提案。異なる文化や歴史のなかで描かれた西洋絵画が並ぶ

フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》1602年頃、油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art
フアン・サンチェス・コターン《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》1602年頃、油彩/カンヴァス サンディエゴ美術館 © The San Diego Museum of Art

京都市京セラ美術館 本館北回廊1階にて開催される、展覧会「どこ見る?どう見る?西洋絵画!ルネサンスから印象派まで」。同展は、米国西海岸において最初期に収集され、充実したヨーロッパ絵画のコレクションを有するサンディエゴ美術館の所蔵品を中心に構成。そのすべてが日本初公開となる。スペイン美術の宝庫である同美術館の、エル・グレコ、スルバラン、ムリーリョ、ソローリャといった巨匠たちの作品も展示。さらに、東アジアにおいて唯一の体系的なヨーロッパ絵画コレクションを誇る国立西洋美術館の所蔵品6点もお目見えする。

展覧会は、各章でテーマを設定し西洋絵画の多様な魅力を紹介。ルネサンスから19世紀印象派までの約60点の作品を通じて、600年にわたる西洋絵画の歴史を辿ることができる。なかでもジョットやジョルジョーネの作品はいずれも北米には数点しか所蔵されない貴重な作例であり、サンチェス・コターンの静物画は、17世紀スペインの静物画の代表作として世界的に最もよく知られた傑作だ。初めて美術鑑賞をする人にも楽しめるよう、鑑賞のヒントも提示される同展で、自身の「どこみる」を探してみては?

ジョルジョーネ《男性の肖像》1506年、油彩/板 サンディエゴ美術館© The San Diego Museum of Art
ジョルジョーネ《男性の肖像》1506年、油彩/板 サンディエゴ美術館© The San Diego Museum of Art
Bernardo Bellotto; The Molo from the Basin of San Marco, Venice; ca. 1740; Oil on canvas; 33 5/8 in. x 52 7/8 in. (85.41 cm x 134.3 cm); 1942.132
Bernardo Bellotto; The Molo from the Basin of San Marco, Venice; ca. 1740; Oil on canvas; 33 5/8 in. x 52 7/8 in. (85.41 cm x 134.3 cm); 1942.132

どこ見る?どう見る?西洋絵画!ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 feat.国立西洋美術館

会期/6月25日(水)~10月13日(月祝)

会場/京都市京セラ美術館 本館 北回廊1F 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124

開館時間/10:00~18:00、入館は閉館の30分前まで

観覧料/一般2,200円、大学・高校生 1,400円、中学・小学生900円

休館/月、7月21日(月祝)、8月11日(月祝)、9月15日(月祝)、10月13日(月祝)は開館

https://art.nikkei.com/dokomiru/

Text: Aya Hasegawa

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