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「お母さんってほんとケチだよね」と言う娘に、20年近く保険のことを話さなかった私の理由

  • 2026.11.2
ハウコレ

「ケチだよね」と言われたとき、口まで出かかった言葉がありました。いつもと違う娘の返事を聞いた私は、テレビ台の引き出しを確かめることにしました。

レジの合間に、娘へ送ったメッセージを読み返していました。荷物の受け取りと、印鑑のありかを伝えただけの短い文面です。ところが送ったあとで、印鑑の下に何をしまっていたかを思い出しました。

言いかけて、のみ込んだ言葉

数日前、娘が通販の箱を開けているのを後ろから覗き込みました。

「また買ったの?それ、本当に要る?」

「自分の給料なんだからいいでしょ。お母さんってほんとケチだよね」

娘にそう言われて、口から出かかったのは「あなたのために残しているものもあるのよ」という言葉でした。けれど、言えば恩着せがましく聞こえる気がして、そのままキッチンへ戻ったのです。

ケチと言われるのは初めてではありません。電気の消し忘れにも、コンビニの飲み物にも口を出してきたのだから、そう思われても仕方がないとも思っていました。

私の母から手渡された通帳

私が実家を出たのは24歳のとき。荷物をまとめていると、私の母が1冊の通帳を差し出しました。

「困ったときに使いなさい」

中には、知らないうちに積み立てられていたお金が入っていました。最初に勤めた会社が合わず、辞めて次の仕事を探した数か月。あの通帳がなければ、実家に戻るしかなかったと思います。

娘が8歳のとき、同じものを用意しようと決めて保険に入りました。満期は娘が30歳になる年。家を出るときか満期の日まで、何も言わずに続けるつもりでした。

娘が知っていれば、どこかで当てにしてしまう。自分で稼いだお金の使い道は、自分で覚えてほしかったのです。母が通帳のことを一度も口にしなかった理由も、自分が親になって分かった気がしました。

ちなみに、何年も同じコートを着ているのは、ただ気に入っているからです。口うるさいのも半分は性分で、娘のためと言い切れるほどきれいなものではありません。

ふたが差し込まれていない封筒

パートから帰ると、娘の部屋のドアの隙間から明かりが漏れていました。

「電気、つけっぱなしよ」

「うん、ごめん。消すね」

娘の返事はそれだけで、いつもなら返ってくる「今消そうと思ってた」がありません。思わず娘の顔を見てしまい、何も言わずにキッチンへ向かいました。冷蔵庫を開けながら考えていたのは、テレビ台の引き出しのことです。

娘がお風呂に入っている間に、右の引き出しを開けました。印鑑ケースの下の封筒は、ふたが差し込まれないまま入っていました。いつも必ず差し込んでおくふたです。

そして...

封筒を手に取ったまま、しばらく迷いました。満期まではあと2年ほど。20年近く黙ってきたことを今のうちに話すべきか、知らないふりを続けるべきか。

結局、ふたを差し込み直して、引き出しを閉めました。

娘から何か聞かれたら、そのときは私が通帳を渡された日のことから話すつもりです。あの日のみ込んだ「あなたのために」も、そのときに伝えます。テレビ台の右の引き出しは、今もそのままにしてあります。

(50代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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