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彼女の「もういい」に「わかった」と返すのをやめた俺。理由は、仲直りの帰り道に聞いた一言でした

  • 2026.10.28
ハウコレ

長い言い訳を打っては消し、結局送れたのはたった一言でした。彼女から何が返ってきても、俺がその言葉を変えなかったのには、照れくさくて言えずにいる理由があります。

予測変換の「わかった」を消した理由

次の休みに仕事が入ったと送ったのは、俺のほうでした。前から彼女と水族館に行く約束をしていた日です。上司に急に頼まれ、彼女に相談もせず引き受けてしまったのは、断れない俺の弱さでした。

「いつもそうじゃん」と返ってきて、続けて「もういい」。

予測変換の一番上には「わかった」。これまでの喧嘩は、いつもこの言葉で終わってきたからです。

送る直前で、前の喧嘩のあとに彼女が言ったことを思い出しました。仲直りした帰り道、笑いながらぽつりとこぼした一言です。

「わかったって言われると、ほんとに終わっちゃいそうで嫌なんだよね」

本人はたぶん、覚えていないと思います。けれど俺のほうは、ずっとその言葉が引っかかっていました。

何を書いても言い訳になった

「わかった」を消して、代わりに長い文章を打ちました。断れなかった事情、楽しみにしていたこと、埋め合わせの提案。読み返すと、どれも言い訳にしか見えません。打っては消し、また打っては消して。

結局送れたのは、たった一言でした。

「よくない」

すぐに「もういいってば」と返ってきました。ここで返信をやめたら、彼女の「もういい」を受け入れたことになる。そう思うと、同じ言葉を送り続けるしかなかったのです。

会って話したほうがいいと思い、返信しながら上着を羽織って家を出ていました。けれど「今から行く」と送れば、「来なくていい」と返される気がして、そのメッセージだけは打てずにいました。

電車の中で送り続けた言葉

電車の中では、つり革につかまりながら片手で返信を続けました。「しつこい」にも「寝る」にも、送ったのは同じ言葉です。ほかの言葉を探す余裕は、もう残っていませんでした。

彼女の駅に着いてホームに降りたとき、お腹が鳴りました。そこでようやく、ごはんを食べる前に家を飛び出していたことに気づいたのです。

いつもの返事のあとに、つい本当のことを付け足していました。

「よくない。あとお腹すいた」

冗談のつもりはありませんでした。改札を抜けたところで、彼女から電話がかかってきました。

そして...

改札の前で待っていると、彼女が小走りでやってきました。「ごめん」と頭を下げると、「私も、言いすぎた。ごめんね」と返ってきました。

コンビニでおにぎりを選んでいるとき、「なんでずっと『よくない』だったの?」と聞かれ、「なんとなく」とだけ答えて棚に目を移しました。あの一言を覚えていたと言うのは、なんだか照れくさかったのです。

12回も送っていたことは、帰り道に見せられた画面で初めて知りました。

今、俺のスマホの予測変換の一番上に出るのは「よくない」です。あれ以来、その言葉を送る場面はまだ来ていません。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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