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『団地のふたり』第7話見どころ わさびのチューブが宙を舞う! 目の前にノエチがいないのが残念。仲直りの日が待ち遠しかった

  • 2026.9.16

『団地のふたり』第7話見どころ わさびのチューブが宙を舞う! 目の前にノエチがいないのが残念。仲直りの日が待ち遠しかった

一昨年、NHK BSで大きな話題を呼んだ「団地のふたり」が、NHKドラマ10で地上波放送に。小泉今日子と小林聡美が演じる50代の幼なじみと、団地に暮らす人々との何気ない日常を、やさしいまなざしで描いた名作です。もう一度楽しみたい人も、初めて見る人も、その見どころを振り返ります。 ※ネタバレあり

車の中というのは親密にも険悪にもなりやすい

付き合いが長ければ、お互いの欠点もよく見えてくるから、ときどきは“ガス抜き”になるような言い合いをして、すっきりするのも悪くないんじゃないか。もちろん、そのあとに後腐れがないという約束ごとが成立していれば、の話だが。ふたりの小さなケンカの一部始終を見て、そんなことを思う。

ノエチ(小泉今日子)は仕事のストレスがたまってくると説教っぽい小言が始まるようだ。なっちゃん(小林聡美)は、イラストレーターとしてのプライドが高いと思うが、それをあまり表に出そうとしない。だからノエチからしたら、のんきそうに見えるが、仕事について指摘されるとカチンとくる。ただ、本人がどこまでそれを自覚しているかは不明だ。

ふたりの間の不穏なムードが加速したのは移動中の車内。車の中というのは親密にも険悪にもなりやすい。このふたり、普段はなっちゃんがノエチのお世話係っぽいが、車移動のときは逆転する。なっちゃんが車酔いしやすいから、この時ばかりは運転手のノエチが保護者だ。そして車内でのなっちゃんは、やや子どもっぽい。

移動中、イライラが募ったノエチが、絵本作りをすすめながら意地悪なことを言う。その言葉に、なっちゃんは「絵本なめてるね」とめずらしく不快な感情をあらわにする。

ここで時間を戻して、なっちゃんが寝坊した日のことを考えてみたい。

いつになくおしゃれをしたノエチが玄関に現れたとき、なっちゃんは寝起きの姿だった。理由は明け方まで作業をしていたから。そのときは、なんで?と驚くわけだが、その後の展開をみていくと、なっちゃんは出かけること自体、気乗りしていなかったのでは、と思えてくる。同業の友人の活躍ぶりを複雑な思いで受け止めていたとしても不思議ではない。

一方のノエチは“推し”のイラストレーターに会えるのを楽しみにしている。だからその日出発できないとわかったときに冷静なのが、むしろ怖いくらいだ。

そんなわけで、出かける前から不穏な空気があり、目的地のギャラリーに着いてからも火種は消えなかった。“推し”の作品を見ながらノエチは「なっちゃんも見習わないと」と嫌みを言ってくる。モヤモヤした感情がたまったなっちゃんは、その後“推し”の前でノエチに恥をかかせるという言動に出る。そこからはお互い険悪になったまま、帰りの道中はだんまりを通して家に戻るのだった。

これがふたりのケンカの流儀といったところ

さて、ここからがこのドラマらしいと言うべきか、翌日以降のなっちゃんをつぶさに観察していく時間が続く。顔を合わさなくなって2日目くらいまではどうってことないが、さらに日が経つと、部屋の片隅に置かれた“わんこの風船”みたいに、なっちゃん本人もちょっとずつしぼんでいく。たわいもないことで笑い合える相手がいないこと、ノエチの不在が身にしみているようだ。いわくつきのカップ麺を取り出して食べるときも、部屋のチャイムに反応するときも、ノエチを気にしているのは明らかだ。

そしてある晩、ご飯時にわさびのチューブが宙を舞う。こんなシチュエーションで、目の前にノエチがいないなんて。つくづく残念で、こちらも仲直りの日が待ち遠しくなっていく。

結局ふたりが顔を合わすのは、幼なじみの空ちゃんの命日の朝だった。これはケンカから1週間ほど経ったころか。家の周りを掃除していたらノエチが現れ、第一声は、あっさりと「行くよー」だ。空ちゃんの家に行こう、という意味だ。ケンカについての言及は一切なし。

ノエチに会えた喜びが隠せないなっちゃんは、数日間のことを興奮気味に報告する。こちらもケンカを引きずる会話はしない。そして、最後はやっぱり空ちゃんがうまくとりなしてくれて、散歩したあとは、すっかりいつものふたりに戻っている。

ノエチのこの数日間の様子はほとんど描かれないが、彼女もなっちゃんのことを思っていたことがわかる。なぜなら、ケンカした日になっちゃんが指摘したことを実行して、カバンの中身を整理していたから。

自分が不機嫌になった理由を語るでもなく、相手を責めるでもなく、お互いに会いたい気持ちが募っていたこと、それを確認できたらさらっと仲直り。これがふたりのケンカの流儀といったところだろうか。そしてこのケンカの終わらせ方が、仲良しを続けるコツでもあると思う。

「身も心も軽くなった」と、カバンを見せて自慢げに話すノエチ。今日からまたなっちゃんの晩ご飯を食べられるから足取りも軽やかだ。そして、なっちゃんもまた、ふたり分の料理を準備できるのがうれしくて仕方がない。

こうやって、最後にいつものふたりが帰ってきて、ご機嫌な会話が聞けた。ケンカの後だから、余計に普段どおりに「ありがたみ」を感じるのかもしれない。見ているこちらまでもが、最後に元気を取り戻す回となった。

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