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「休む=サボる」と考えてしまう人にこそ伝えたい、休養・休憩の意義

  • 2026.10.22

仕事の合間に適度に休憩を取り入れることで、心身を健やかに働くことを応援する「15時ブレイク」。休憩の必要性を専門家の視点からひも解いていきます。

リカバリーのための休息
出典:シティリビングWeb

教えてくれたのは 片野秀樹さん

日本リカバリー協会代表理事 博士(医学)。著書「休養学」シリーズは累計20万部を突破

Q.そもそも「休養」とはどのようなものでしょうか?

運動・栄養・休養は健康づくりの3要素です。運動・栄養はある程度の基礎知識があるものの、休養は習ったことがないと思いませんか? 人は休みなしで活動し続けることは不可能です。まずは「休み方のリテラシー」を身につけることが第一歩。誰かの正解や、“よく寝る”など昔の自分が回復した休み方ではなく、加齢や環境の変化を踏まえて、今の自分に合った休み方を見つけることが大切です。

Q.疲れた状態で仕事を続けると、どんな影響がありますか?

疲労とは、活動能力が低下している状態です。体の疲れだけでなく、デスクワークなど頭を使う活動でも同じです。疲労の状態で活動を続けても、ミスが増えたり安全性が低下したりして生産性は落ちます。本当は疲れているのに、責任感や使命感、またはドリンク剤などでマスキングされて、疲労感に気付いてないことも。パフォーマンスを上げたいときこそ、“休むこと”を真剣に考えてみましょう。

Q.休憩はどのタイミングで取るのがよいでしょうか?

疲労感や不快感は、活動能力が下がってきたときに出てくる危険信号です。それを感じたら、本来のパフォーマンスを発揮できない状態だと認識し、一度立ち止まりましょう。仕事の進行上、続けざるを得ない場合もあると思いますが、区切りのいいところで休憩を入れることを意識してください。25分活動して5分休む「ポモドーロ・テクニック」もありますが、時間にこだわらず、自分が効率的だと思えるタイミングを見つけることが大切です。

Q.どんな休憩を取り入れればいいですか?

本来の休憩の意味は「リセット」。仕事から完全に分離することがポイントです。おすすめは、編み物や塗り絵、手紙を書くなど、仕事とはまったく別の没入できること。お茶やおやつなら、味や産地・歴史などに意識を向けてみましょう。ぼーっとするのもよい方法です。外を眺めたり、オフィス内を散歩したり、何も考えずにできる行動を取り入れてみてください。スマホを見ることは、頭にどんどん情報が入ってくるためおすすめできません。

Q.「休む=サボる」と考えてしまう人に伝えたいことは?

仕事をすることはいいことで、休むことはサボり、怠けと捉える人もいます。でも、オンの状態をずっと続けることは不可能です。オンのときの生産性を上げるには、オフをどう効率的にするかが大切。休みのセルフマネジメントができた人こそ、いい結果を出せます。スポーツ選手が自分に合ったルーティンを見つけるように、私たちも“働くプロ”として、最高のパフォーマンスを出すために自分自身の正解を見つけていきましょう。

Q.企業や社会全体では、「休むこと」についてどんな課題がありますか?

健康経営や休み方改革などは、政府が推進していることもあり、意識や言葉としては浸透していると思います。一方で、「では具体的にどうしたらいいか」というところまでは、なかなか追いついていないのが現状だと感じています。

たとえば欧州諸国では、1993年に「勤務間インターバル」がスタートしました。仕事が終わって翌日の朝まで11時間以上の連続休息時間を取るという、国を挙げて法律としてつくられた仕組みです。一方、日本ではいまだ努力目標。つまり30年の遅れを取っているわけです。その30年の間に、パソコンが1人1台になり、スマートフォンも登場し、コロナ禍で働き方も大きく変わりました。欧州諸国の30年前の仕組みにもまだ追いついていない日本がこの変化に対応するには、もっと先を見越して新しい取り組みを行わなければならないと思っています。

Q.企業は休憩・休養に対してどういう視点が必要なのでしょうか?

現状では、体調不良や生産性の低下など、何らかの兆候や症状が出たら対策を取ることが多いように思います。しかし、その前の「予防」という観点は、企業が苦手としている部分ではないでしょうか。予防のために、「仕事中にどう休んでもらうか」「どうセルフコントロールの意識を持ってもらうか」を考えることが大切です。

休憩を「疲れたから仕方なく取るもの」とするのではなく、仕事を続けるために必要なものとして捉える。その意識を、個人だけでなく企業も持つことが必要だと思います。

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