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このプレー初心者すぎるだろ!笑いが恐怖に変わる瞬間が味わえる映画『バイオハザード』の臨場感

  • 2026.10.20

ゾンビだらけの街を、ヘッポコ配達員が必死に駆け抜ける。公開中の映画『バイオハザード』を観て、「このプレー、初心者すぎるだろ!」とツッコミを入れたくなった人は多いはず。監督は『バーバリアン』(22)、『WEAPONS/ウェポンズ』(25)のザック・クレッガー。ある医療品をラクーンシティ総合病院へ届ける仕事を請け負った配達人ブライアン(オースティン・エイブラムス)が、ウイルスの感染爆発に巻き込まれ、奇怪なクリーチャーたちに襲われ続ける一夜が描かれる。

【写真を見る】ゲームで追い詰められた時と同じ焦りが感覚的に味わえる

ガチのバイオ好き、ザック・クレッガー監督が手掛けた映画『バイオハザード』
ガチのバイオ好き、ザック・クレッガー監督が手掛けた映画『バイオハザード』

戦闘スキルもサバイバル能力もゼロの最弱主人公

自身もガチのバイオ好きだというクレッガーは、ゲームのお約束を全力で映画に注ぎ込んだ。カメラはブライアンの肩越しにピタリと張り付き、時には一人称視点に切り替わる。舞台は7~8分ごとに雪道、農家、トンネル、市街地、下水道へと移り変わり、まるでステージを一つずつクリアしていく感覚。ちらりと登場するグリーンハーブに救急スプレー、タイプライターと、ファン向けの小ネタも盛りだくさんだ。

車で走行中、急に飛び出してきた女性をはねてしまい、彼女を病院まで送ろうとするブライアン
車で走行中、急に飛び出してきた女性をはねてしまい、彼女を病院まで送ろうとするブライアン

ただし、コントローラーの先にいるのはレオンでもクリスでもない。ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の旧シリーズでは、最強ヒロインがアンデッドを華麗になぎ倒していたが、今回はその真逆。サバイバルアクションではなくサバイバルホラーを目指したクレッガーが用意したのは、戦闘スキルもサバイバル能力もゼロの最弱主人公だった。

銃の扱いにも不慣れでとにかく要領が悪い
銃の扱いにも不慣れでとにかく要領が悪い

おかげで前半のブライアンは、とにかくテンパりっぱなし。銃の安全装置は外せない。狂犬に追われ、逃げ込んだ納屋で梯子を外すも、今度は自分が下りられなくなる。何度も彼の前に立ちはだかる南京錠はいつまでたっても壊せないし、焦って撃ちまくっては貴重な弾をムダにする。口から飛び出す言葉も、気の利いた決めゼリフではなく悪態ばかりだ。

笑いと恐怖は同じ仕掛けでできている

こうした“やらかし”がいちいち笑えるのは、観客自身も身に覚えがあるからだろう。ゲーム実況で、プレイヤーが自分と同じところでつまずくと妙に笑えてしまう、あの感覚に近い。クレッガーは「ジョーク(笑い)の構造とスケア(恐怖)の構造はほぼ同一」だと語る。今度こそ南京錠が開くか…と期待させて、やっぱり開かない。前振りとオチで予想を裏切るという点で、笑いと恐怖は同じ仕掛けでできているのだ。

市街地を奔走
市街地を奔走

両者を分けるのは、観客の立ち位置。安全な場所から失敗を眺めていれば笑いになり、その失敗が命取りになると気づいた瞬間、同じ場面が恐怖に変わる。しかも映画では、観客はコントローラーを握れない。「そこは撃つな!」「早く逃げろ!」と心の中で叫んでも、ブライアンのミスをただ見守るしかない。笑っていたはずの観客は、いつの間にか、ゲームで追い詰められた時と同じ焦りを味わされているのだ。

市街地から下水道へと移動していくステージ
市街地から下水道へと移動していくステージ

ブライアンの成長が観客の達成感に

だからこそ、後半の成長が効いてくる。武器はハンドガンからショットガン、MP5へとパワーアップし、経験値を重ねたブライアン自身のスキルもレベルアップしている。それまでの失敗を見守ってきた観客にとって、ゲームで覚えた戦法が通用して彼が大はしゃぎする瞬間は、自分まで攻略に成功したような喜びに変わる。

最初はヘッポコ主人公を笑っていたはずが、気づけば本気で応援している。恐怖と笑い、失敗と成長の境目を揺さぶり続け、観客を“見る側”から“プレーする側”へと引きずり込む。それこそが、ザック・クレッガー版『バイオハザード』のおもしろさなのだ。

度重なる危機を乗り越え、ブライアンの目がすわってきた
度重なる危機を乗り越え、ブライアンの目がすわってきた

文/竹島ルイ

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