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「なんで俺をオッパって呼ばない?」韓ドラ定番シーンに隠された男心を分析【コラム】

  • 2026.10.18

『恋は飴模様』の好きなシーンを聞かれたら、テハ(演者チョン・ヘイン)がウンセ(演者ハヨン)に「オッパ」と呼んでもらえず、あからさまに拗ねる姿を挙げる人も多いのではないだろうか。裏社会に身を置いた過去を持ち、鍛え上げられた体と頼れる男らしさを備えたテハ。そんな彼が、ウンセにようやく「オッパ」と呼ばれると、鼻の下を伸ばしてニヤニヤ。そのギャップがたまらなく愛おしい。韓国ドラマを見ていると、女性から「オッパ」と呼ばれたがる男性をたびたび見かける。彼らはなぜ、そこまで呼び方にこだわるのだろうか。

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『キム秘書はいったい、なぜ?』では、長年自分を支えてきた秘書ミソ(演者パク・ミニョン)と交際を始めたヨンジュン(演者パク・ソジュン)が、プライベートでは、「オッパ」と呼んでほしいとねだる。

『キム秘書はいったい、なぜ?』より(写真=tvN)

ところがミソは恥ずかしさから、なかなか呼べない。そんなミソが、ヨンジュンの幼なじみに嫉妬する場面では、いつもの「副会長」から「オッパ」へと呼び方を変える。呼称の変化に、ミソの恋心が表れている。

K-POP界でもしかり。2025年6月に公開されたYouTube番組『サナの冷蔵庫インタビュー』では、BTSのJ-HOPEがTWICEのサナから「オッパ」と呼ばれる場面が話題になった。親しくなるまではタメ口で話すのが難しいというJ-HOPEに、サナは「気楽に接してください。私も『オッパ』と呼びますね」と提案。突然の申し出に、J-HOPEは照れながらもうれしそうな笑顔を見せた。

そもそも「オッパ(오빠)」という呼称は、女性が実の兄や親しい年上男性、恋人などを呼ぶ言葉だ。年齢差を示すだけでなく、相手との親密さや関係性を表すこともある。韓国の社会言語学者ユ・ヒジェは、2019年の論文『恋愛関係における呼びかけと呼称に関する調査』で、ウェブ漫画に描かれた恋人同士の呼び方を分析した。研究では、男女の呼称に非対称性が見られ、男性が優位な立場に置かれる傾向が指摘されている。また、『オッパ』という呼称も、男性の力強さやタフさを示す表現と関連づけて論じられている。こうした研究を踏まえると、韓ドラ男子が「オッパ」と呼ばれたがる姿には、好きな女性にとって特別な存在でありたい、頼りがいのある男性として見られたい、という思いが重ねられているのかもしれない。

ハリセンボンの公式YouTubeチャンネルに出演した歌手のソン・シギョンと、近藤春菜のやりとりも興味深い。春菜がソン・シギョンを「オッパ」と呼んでいいかたずねると、まだ少し早いと説明。早い段階で女性が気軽にそう呼ぶと、相手に好意があると誤解させる可能性があると語った。

好きな女性がほかの男性を「オッパ」と呼ぶことに嫉妬する男性もいる。『二十五、二十一』では、ヒド(演者キム・テリ)が年上のフェンシング選手を「オッパ」と呼ぶ姿を目にしたイジン(演者ナム・ジュヒョク)が、ベンチのパラソルを無意識に回し続ける。自分には使わない呼び方を、ほかの男性には使っている。そのことが気に入らないイジンの嫉妬心が、パラソルを回す動作に表れている。

『真心が届く ~僕とスターのオフィス・ラブ!?~』でも、ユンソ(演者ユ・インナ)がマネージャーを「オッパ」と呼ぶことに、弁護士のジョンロク(演者イ・ドンウク)がモヤモヤする場面がある。何気ない呼び方が、恋心や嫉妬を浮かび上がらせている。

韓国ドラマでは、呼称の変化によって、登場人物同士の距離感が描かれる。呼ばれずに拗ねる。ようやく呼ばれて有頂天になる。ほかの男性への「オッパ呼び」に嫉妬する。登場人物の不器用さや恋愛感情を際立たせ、視聴者の胸キュンや笑いを生み出す「オッパ」という呼称は、王道でありながら、韓ドラの恋愛演出に欠かせない魔法の言葉なのだ。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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