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信念もクセも強すぎる! 韓国ドラマに登場する、個性豊かな女医たち【コラム】

  • 2026.10.25

「私、失敗しないので」——この決めゼリフでおなじみの日本ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』が、この10月、韓国版『ドクターX~白衣のマフィア~』(Netflixで日本配信中)として生まれ変わった。主人公ケ・スジョンが放つのは、「失敗もしません(실패도 하지 않습니다)」というセリフだ。圧倒的な実力と揺るがない姿勢で、医療界の理不尽に立ち向かう。

韓国ドラマにはほかにも、冷静沈着なベテランや情熱あふれる熱血医師、現実主義の研修医など、ひと筋縄ではいかない女医たちが登場する。彼女たちは何を信じ、どんなふうに患者と向き合っているのか。それぞれの女医の個性と生き方をのぞいてみた。

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「回診も会食もしません。失敗もしません」――手術室の“狂犬”
『ドクターX~白衣のマフィア~』ケ・スジョン(演者キム・ジウォン)

(写真=SBS)

圧倒的な手術の腕を武器に、病院内にはびこる権力構造と腐敗に切り込むメディカルノワール。不正と派閥争いが横行する九西(クソ)大学病院に、韓国初の医師派遣紹介所から、一匹狼の天才外科医ケ・スジョンがやってくる。手術ごとに報酬を受け取るフリーランス医師で、回診や論文執筆、親睦会など、治療に直接関係しない業務はすべて拒否。午後6時には退勤するなど、仕事と私生活の線引きも明確だ。病院長や教授にも忖度せず、理不尽な命令には真っ向から異議を唱える。

(写真=SBS)

着任早々、高齢患者へのリスクの高い開腹手術を強行しようとする病院長を批判する。さらに、手術中に執刀医が倒れる緊急事態では、自らの決断だけで手術を引き継ぎ、患者の命を助けるが、その結果、着任直後にもかかわらず、解雇されてしまう。スジョンの魅力は、患者の命には妥協せず、組織への過剰な忠誠を拒む潔さにある。実力を武器に、理不尽な慣習に忖度なしで突き進む姿が痛快だ。そんな彼女の仕事観は、職場に尽くすことと自分の人生を大切にすることの間で揺れる大人の女性にも響くのではないだろうか。

仕事も人生も楽しみ尽くす、完璧な“鬼神” 『賢い医師生活』チェ・ソンファ(演者チョン・ミド)

(写真=tvN)

ユルジェ病院を舞台に、医大時代からの親友5人が、患者の生死に向き合いながら、友情や家族、恋愛、人生の機微を織りなすヒューマンドラマ。医療現場の緊張感と、医師たちの何気ない日常に流れるユーモアが魅力で、筆者にとっても忘れがたい“人生韓国ドラマ”でもある。

そのなかでひときわ頼もしいのが、脳神経外科の副教授チェ・ソンファだ。優れた知識と確かな技量、的確な判断力を備え、手術や後輩の指導、患者のケア、論文執筆までこなし、仕事も趣味も充実させる多才な医師だ。「いつ寝ているのかわからない、病院に住み着く鬼神」と呼ばれるほどの働きぶりだが、決して威圧的にならず、後輩にも患者にも誠実に向き合う。確かな腕前と柔らかな人柄を兼ね備えた、理想の先輩女医だ。何より、仕事一辺倒ではない生き方が魅力的。医師として多忙な日々を送りながら、仲間とのバンド活動を楽しみ、休日にはソロキャンプに出かける。年齢を重ねるほど、こんなふうに働き、生きられたらと思わせる女性だ。

医師としての理想より、まずは生活。伸びしろだらけの不器用な研修医 『いつかは賢いレジデント生活』オ・イヨン(演者コ・ユンジョン)

(写真=tvN)

『賢い医師生活』のスピンオフで、ユルジェ病院を舞台に、産婦人科の研修医1年目たちの成長を描く。厳しい研修や人間関係だけでなく、収入や生活の安定といった現実的な悩みにも踏み込んでいる。オ・イヨンは、医師としての崇高な理想よりも、まずは生活を成り立たせることを重視する産婦人科の研修医1年目。家庭の経済的な事情もあり、収入や安定を求める気持ちを隠さない。使命感だけでは割り切れない仕事への本音を持つ、医師である前にひとりの生活者なのだ。

要領が悪く、研修現場で失敗を重ねるイヨン。それでも、出産や緊急対応の現場で経験を積み、医師としての責任の重さを学んでいく。医師としての理想と、生活の安定を求める本音の間で揺れながら、自分なりの仕事の意味を探す姿には、人間味がにじむ。一方、恋愛では意外な積極性を見せる。先輩レジデントに惹かれたイヨンは、「好きになってもいい?」と自らアプローチ。やがて思いが通じ合い、2人は病院内で秘密の交際を始める。仕事にも恋愛にも不器用ながら、経験を通じて次第に成熟していく。そんな伸びしろの多いイヨンが、いつか『賢い医師生活』の本編に登場して、一人前になった姿を見せてほしい。

強気で無鉄砲。それでも誰より命に真剣な、傷だらけの“イカれたクジラ” 『浪漫ドクター キム・サブ』ユン・ソジョン(演者ソ・ヒョンジン)

(写真=SBS)

型破りな天才外科医キム・サブ(演者ハン・ソッキュ)のもとに、さまざまな事情を抱えた医師たちが集まる。地方のトルダム病院を舞台に、患者を救うことの意味や医師としての責任、過去の傷を抱えた人々の再生を描く医療ヒューマンドラマだ。

外科専門医のユン・ソジョンは、患者を救うためなら上司にも臆せず意見し、理不尽な指示には真正面から反論する。仕事への情熱と大胆な行動力から「イカれたクジラ」と呼ばれるほどだ。一方、強気な態度の内側には、深い傷が隠されている。過去の事故によるトラウマから医師としての自信を失い、自分自身を追い詰めてしまう。患者を救うことには必死になれても、自分の痛みとは簡単に向き合えないのだ。追い詰められたソジョンが、キム・サブやカン・ドンジュ(演者ユ・ヨンソク)との出会いを通じて、医師としての自信を取り戻していく。彼女に必要だったのは医師としての腕を磨くことだけでなく、自分の弱さを認め、再び医師として歩み出すことだった。患者を救う医師もまた、誰かの支えを必要としている。

出世欲も正義感も隠さない。仕事も恋も、自分の意志で切り開く
『太陽の末裔 Love Under The Sun』カン・モヨン(演者ソン・ヘギョ)

軍人ユ・シジン(演者ソン・ジュンギ)と外科医カン・モヨンが、紛争地域ウルクで再会し、愛を育んでいくラブストーリー。異なる立場の2人が、命を守るという共通の目的を持ちながら、それぞれの使命や価値観の違いに葛藤する。災害や感染症など、命の危険が迫る現場での医療活動も見どころだ。

モヨンは、優秀で向上心のある胸部外科医。病院ではVIP担当教授として働き、医師としての手腕を磨きながら、病院の顔として社会的な成功も目指している。出世したい、能力を認められたいという欲求を隠さない、現実的な一面も持つ。そんな彼女が理事長との衝突をきっかけに、医療奉仕団の一員としてウルクへ派遣される。災害による建物の崩壊など、過酷な現場で患者の命と対面するうちに、キャリアだけでは測れない医師としての責任を実感していく。モヨンにとって、キャリアも恋愛も、自分軸も譲れない大切なものだ。仕事か恋愛か、理想か現実かと二者択一にせず、自分の望む生き方を模索する姿が印象的だ。

女医が活躍する医療ドラマには、社会の理不尽を跳ね返す爽快感と、仕事に悩みながらも前に進む姿への共感がある。野心や弱さ、譲れない信念を抱えながら、患者の命を救うと同時に、自分自身の人生にも対峙する彼女たち。仕事や生き方に迷いながらも、自分なりの答えを探していくその姿に、視聴者もまた自分を重ねる。そんなところにも、“女医ドラマ”の魅力があるのかもしれない。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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