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【東区松香台】座って体験!九州産業大学美術館「歴史にすわるpart7」

  • 2026.10.16

みなさんこんにちは、福岡リビングインターン生の九州産業大学の麻生です。

みなさんは、九州産業大学の中に美術館があることをご存じでしょうか? 九州産業大学では、1966年の芸術学部の開設時より、学生教育のための「標本」として、絵画・彫刻・工芸・デザイン・写真などの美術工芸品を収集してきました。これらのコレクションを学外の方にもご覧いただくことができるよう、2002年に九州産業大学美術館が開館しました。今回は、この美術館で11月3日(火・祝)まで開催している、展覧会「歴史にすわるpart7 ‐すわって楽しむ名作椅子とアート‐」を紹介します。

実際に座れる数々の名作椅子

九州産業大学が所蔵する、数々の名作椅子を紹介する今回の展覧会。なんといっても見どころは、展示品を見るだけではなく実際に座って魅力を感じられることです。取材にあたり、九州産業大学美術館 学芸室の中込潤室長にお話を伺いました。

みなさんが一度は見たことがあるような名作の椅子や、少し変わった「これ、椅子?」と感じるような椅子まで、さまざまな椅子を楽しめます。また、展示されてある椅子に合わせた美術作品も一緒に楽しむことができます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

美術館入口の大型ポスター。

展覧会は六つの章で展開されています。今回は、展示品の中から一部を紹介します。

コレクションの原点!九州産業大学の椅子のコレクション

一つ目は、「九州産業大学の椅子のコレクション」。こちらでは、九産大の椅子のコレクションの第一号と第二号である2脚の椅子が展示されています。「九産大芸術学部60年の歴史の中で収集されてきたコレクションの中の第一号と第二号」と聞き、歴史の重みを感じます。

一番初めに展示されてあるのは、「アームチェアDAR」。1950年にアメリカのイームズ夫妻によってデザインされました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《アームチェア DAR》 チャールズ・イームズ/レイ・イームズ 1950年

こちらが九産大の椅子コレクションの第一号です。現在では、この椅子を模倣したものが世の中にたくさん出回っているとか。

隣に展示されているのは、同じくイームズ夫妻の「イームズ エグゼクティブチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《イームズ エグゼクティブチェア》チャールズ・イームズ/レイ・イームズ 1960年

エグゼクティブと名前に入っているように、高級感あふれるデザインになっています。どっしりとした安定感のある座り心地も特徴です。

すわるってなに?色々な「すわる」のかたち

二つ目は、「生活の中のすわり方 色々な「すわる」のかたち」です。こちらのコーナーでは、人々の生活の中で見えてくる、さまざまな「すわる」の形が見えてくる椅子が紹介されていました。ここでは、印象的だったものをいくつか取り上げます。

ひとつ目は、「シューメーカースツール」です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《シューメーカースツール》作者不明(デンマーク) 16世紀

シューメーカースツール(靴職人の椅子)という名前は、1936年にデンマークで量産されて、靴職人がこの椅子を使い始めたことに由来しているのだそうです。16世紀にデザインされ、もともとは乳搾りで使われていたとされています。また、持ち運びがしやすいように3本脚になっています。

次に、「ウィンザースツール」です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ウィンザースツール》 作者不明(イギリス) 17世紀半ば-18世紀

美しい曲線が特徴的なこちらの椅子も、もともとは乳搾りなどの作業で使われていたそうです。また、「ウィンザーチェア」は、近代椅子の四大潮流のうちの一つだそうです。

そして、日本の畳に置かれる椅子が紹介されていました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《座イス》(T-5046K) 藤森 健次(日本) 1963年

「座イス」などは、見たことがある人も多いのではないでしょうか。本作は成形合板による座イスの元祖と呼ばれることもあり、藤森 健次がデザインしたものを参考にして作られた座イスがたくさんあるそうです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《低座椅子》 長 大作(日本) 1960年

こちらは、板倉準三の「竹かご低座椅子」がルーツ。歌舞伎役者の8代目松本幸四郎の邸宅に合わせてリ・デザインされ、その後、さらに改良を加えて生まれた長大作の低座椅子です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《スポークチェア》 豊口 克平(日本) 1963年

別名「あぐら椅子」とよばれるように、広い座面が特徴です。

こちらも、皆さんおなじみの「ロッキングチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ロッキングチェア No.7072》 ミヒャエル・トーネット(オーストリア)1860年

ト―ネットデザインのこのロッキングチェアは、曲げ木の技術が使われています。曲げ木の椅子の大量生産に成功し、ト―ネットの椅子は世界中で販売されるようになりました。また、こちらも四大潮流の一つだそうです。

このほかにも、車いすやオフィスチェアなども展示されていました。

これって椅子!?ユニークなかたちの椅子たち

三つ目は、「どうやってすわる?ユニークなかたちの椅子たち」です。こちらのコーナーでは、一度見たら忘れられないようなかたちを持つ椅子が紹介されていました。

ここでは四つ、印象に残ったものを紹介します。

出典:リビングふくおか・北九州Web

想像力を引き立たせられる椅子が集まっています。

まずは、赤く丸い形の「パスティルチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《パスティルチェア》 エーロ・アアルニオ(フィンランド) 1967年

「パスティル」はフィンランド語で「錠剤」を意味します。実際に座ってみると、揺れました。この揺れることから、「ロックンロールチェア」という別名もあります。また、中は空洞のため水に浮かべることもできるそうです。

次に、「エクストレム」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《エクストレム》テルエ・エクストレム(ノルウェー) 1984年

一見、これは椅子なのかと目を疑うデザインですが、座ってみるとフィットします。座り心地には定評のある椅子だそうで、前掛けで座ったり後ろ掛けで座ったり、自分なりの座り方を見つけるのも面白いかもしれません。

そして、「エンブリオチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《エンブリオチェア》マーク・ニューソン(オーストラリア) 1988年

「エンブリオ」は英語で「胎児」を意味します。丸みを帯びたデザインが特徴です。表面の黒い素材は、ウェットスーツに使われるネオ・プレーン素材が使われており、触り心地も抜群です。

また、個人的にもっとも印象に残ったのが「バチェラーズチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《バチェラーズチェア(バレットチェア)》 ハンス・J・ウェグナー(デンマーク)1953年

「独身者のための椅子」という意味をもつこの椅子。驚いたことに、この椅子は収納として使えるようになっているのです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

座面を上げると収納が。背もたれ部分はハンガーとしても使えます。

椅子なのに、椅子ではない要素も持ち合わせている面白いデザインです。

その他にも、「これって座れる?」と感じる椅子や、動物のように見えるデザインの椅子などが展示されていました。

素晴らしい精巧さ!椅子を生み出す素材と技術

四つめは、「新たなデザインを実現 椅子を生み出す資材と技術」です。こちらのコーナーは、素材と技術をテーマにした椅子が選出されています。

こちらも、印象に残った三つを紹介いたします。

まずは、「ト―ネットNo.14」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ト―ネットNo.14》ミヒャエル・ト―ネット(オーストリア)1859年

美しく弧を描いた背中部分のフレームが特徴ですが、たった六つの部位で構成されています。パーツが少ない分、大量生産が可能となり輸送コストも削減できたそうです。とても画期的です。

次に、「ワシリーチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ワシリーチェア》マルセル・プロイヤー(ハンガリー) 1925年

スチールパイプを使った世界初の椅子です。

そして、「ウィグルサイドチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ウィグルサイドチェア》フランク・O・ゲーリー(アメリカ) 1972年

素材はダンボールとハードボード(木材などの植物繊維が原料の硬質繊維板)。ダンボールが素材として使われている椅子を見るのは初めてだったため、印象的でした。

つながったデザイン 受け継がれるかたち

五つ目は、「デザインの連鎖 受け継がれるかたち」です。こちらのコーナーでは、様々な規模で起こったデザインの連鎖がみられる椅子が紹介されていました。こちらでは四つご紹介します。

最初は、「カンティレバーチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《カンティレバーチェア》 マルト・スタム(オランダ) 1926年

次に、「チェスタチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《チェスタチェア》 マルセル・プロイヤー(ハンガリー) 1928年

「カンティレバーチェア」と「チェスタチェア」。この二つは、カンティレバーという一端のみの脚が固定され、もう一端が宙に浮いている構造をしています。スタムとプロイヤーは同じ時期にこの構造の椅子を発表しますが、カンティレバーの特許権をめぐって2人は争いました。結果、スタムは裁判で勝訴し、プロイヤーは敗訴しました。

そして、「MRチェアラタン S533RF」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《MRチェアラタン S533RF》  ルードウィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ 1927年

こちらも前脚だけで支える構造は同じですが、前足のスチールパイプを曲線にすることで、弾性を備えた椅子を作ることに成功しています。

個人的に印象に残ったのは、「Yチェア」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《Yチェア》 ハンス・J・ウェグナー(デンマーク) 1950年

この形、みなさん目にしたことがある人も多いはず。わたしは、祖母の家にこの「Yチェア」があり、名作の椅子と知り感動しました。生涯で500脚以上をデザインしたというハンス・ウェグナーの代表作で、もっとも世界中で愛され続けているベストセラー品です。

これってたためるの?重ねられる椅子、降りたためる椅子

最後は、「持ち運んだり、収納したり 重ねられる椅子、折りたためる椅子」です。こちらでは、重ねたり、折りたためたりできる椅子が紹介されていました。

ここでは、二つ紹介します。

まず、「クリケット」です。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《クリケット》 アンドリース・ファン・オンク/山口 和馬 1983年

イタリアを拠点に活躍したアンドリース・ファン・オンクと当時イタリアで活動していた日本人デザイナーの山口和馬との共作です。驚いた点は、簡単に折りたためてしまうところです。持ち上げただけですぐにぺったんこになりました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

手を入れて引き上げるだけで簡単に畳むことができます。

そして、「ニーチェアX」。

出典:リビングふくおか・北九州Web

《ニーチェアX》 新居 猛(日本) 1970年

こちらの「ニーチェア」は、比較的一般の人でも手に入りやすい椅子なのだそうですが、MoMA(ニューヨーク近代美術館)の永久コレクションに選定されています。名前の由来はデンマーク語でNy(新しい)とデザインした新居猛(にい たけし)の名前から掛け合わせたものです。

展覧会を振り返って

今回の展覧会では、これまで九産大が集めてきた椅子のコレクションの価値や、今まで自分が持っていた椅子への印象が変わった展覧会でした。

実際に座って楽しむ中で、欲しくなってしまった椅子もありました。

皆さんも「歴史にすわるpart7 ‐すわって楽しむ名作椅子とアート‐」、楽しんでみてはいかがでしょうか。

出典:リビングふくおか・北九州Web

「歴史にすわるpart7 ‐すわって楽しむ名作椅子とアート‐」
■開催期間:2026年9月19日(土)~11月3日(火・祝)
■休館日:月曜、10月3日(土)、10月24日(土)
■入館料:一般200円、大学生・専門学校生100円
※団体(20人以上)は半額
※以下の対象者は入館無料:高校生以下・65歳以上の人、九州産業大学・九州産業大学造形短期大学部の学生教職員、九州産業大学公開講座の受講生、学校法人中村産業学園退職者の会会員、療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・身体障碍者手帳の所持者と介護者、福岡市文化芸術振興財団「わの会」会員、ほか
※障害者手帳アプリ「ミライロID」の提示でも減免を適用可能(アプリ画面で必要な情報が確認できない場合は、原本の提示が必要な場合あり)
※一部作品は状態保持のため座れない場合あり
※一部作品を除き展示品の写真撮影可能

九州産業大学美術館
■所在地:福岡市東区松香台2-3-1(九州産業大学 敷地内)
■開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
※展覧会によって変わる場合あり、展覧会情報の確認を
■休館日:月曜、夏季休業期間、年末年始、展示替え期間
■入館料:一般200円、大学生・専門学校生100円
■問い合わせ:TEL 092-673-5160、FAX 092-673-5757、E-mail ksumuseum@ip.kyusan-u.ac.jp
■公式サイト:https://www.kyusan-u.ac.jp/ksumuseum/

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