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人工股関節置換手術体験記|痛みが教えてくれたこと|女性医療ジャーナリスト・増田美加の「歩く人生」

  • 2026.10.9
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医療ジャーナリストの私が人工股関節の手術を決意した理由

──人生100年時代だからこそ見直しておきたいこと──

女性の人生のなかで、更年期はさまざまな不調や病気が起こりやすく、生活習慣を大きく見直す時期です。私自身、更年期に乳がんを経験しました。それを機に、運動と食事で更年期の不調を乗り越えて、いま、ポスト更年期。女性ホルモンのエストロゲン減少による不調はなくなり、快適な日常を送っていました。

ところが、60代になって、再び大きな生活の見直しを迫られました。

きっかけは、「股関節」でした。

乳がんや生活習慣病のリスクを下げるためにも、定期的な運動(ピラティス、ヨガ、ジョギング、筋トレ)を日常のルーティンとしていた私。しかしそんなある日、我慢できないほどの痛みに襲われたのです。

それが「変形性股関節症」の始まりでした。

最初に受診した整形外科医に告げられたのは、運動を中止すること。
それは、乳がんを経験してから自分の体を守るための生活を積み重ねてきた、私の人生そのものを否定されるような出来事でした。

「この痛みはいつまで続くの?」
「いつまで運動を休めばいいの?」
「保存療法やリハビリで果たして治るの?」

答えが見出せないままの数カ月。とても不安でつらかった……。

しかし私は、残りの人生もアクティブに仕事をしたい。旅をしたい。スキーやシュノーケリングもあと10年は楽しみたい。
そう考えると、悩み続けて時間を無駄にしたくないと思うようになりました。

そこで複数の整形外科を受診してさまざまな意見を聞き、最終的にこれまでの日常を早く取り戻すために、私は「人工股関節置換手術」を決断しました。

股関節の不調に悩む女性は男性の5倍以上


調べてみると、日本人で股関節痛を発症している人は年々増加。その数は400~500万人といわれ、その多くが女性です。
そして股関節の痛みの原因で最も多いのが「変形性股関節症」。日本では特に女性に多く、男性の5倍以上というデータがあります。

変形性股関節症は、股関節の中の軟骨がすり減って炎症を起こしたり、骨が変形することから痛みが生じます。ただ、股関節はたくさんの筋肉や靭帯に囲まれているため、進行するまで痛みに気づきにくいのも特徴です。

おもな症状は痛みですが、じつは股関節が痛くなるとは限りません。脚のつけ根や太ももだけでなく、お尻や腰に痛みを感じることもあります。長時間歩いたり、立ったり、座ったり、同じ姿勢を続けることで痛みが出ることも。

じつは私も最後まで、自分の痛みの原因が股関節にあると気づきませんでした。

「お尻が痛い!」

私は、運動による殿筋(お尻の筋肉)の炎症だと思っていたのです。

そして、私と同じように関節の痛みに悩みながら、その原因や治療法がわからず、痛みを我慢している人が少なくないことも知りました。

一方で、変形性股関節症の治療は大きく進歩してきています。人工股関節置換手術も、私が想像していた以上の進化を遂げていました。

通常、人工股関節置換術の入院は12日程度。ちなみに私の場合、7日間で退院。手術翌日から立って歩くことができ、階段もすぐに上れて、電車で自宅に帰ることができました。翌週にはウォーキングを再開して、退院後17日でピラティスにも復帰できました。

そこに至るまでに何を考え、どう決断したのか。

痛みが出たとき、私はどうしたのか。なぜ手術を決断したのか。医師はどうやって探したのか。手術前にどんな準備をしたのか。入院や手術はどうだったのか。費用はいくらかかったのか。術後はどうやって過ごし、リハビリでは何をしたのか。そして、手術以外に有効な選択肢はないのか。

さらに、そもそも股関節痛を予防する方法はあるのか、どんな運動をすれば予防できるかなど──。

私が医療ジャーナリストとして調べ、患者として実際に経験したからこそわかった人工股関節治療の現状を率直にお伝えすれば、痛みに悩む人に役立つのではと思いました。

人生100年時代と言われますが、日本女性の健康寿命と平均寿命の差は約12年。12年もの間、介護が必要になる時期があります。介護が必要な日本人の約35%は運動機能の低下が原因なのです(*)。

いつまでも自分の足で歩き、仕事をし、旅をし、好きなことを楽しむ。そのためには、股関節に不調を抱えるリスクが高いとされている私たち日本人女性においては、股関節のケアが欠かせません。

股関節痛の原因として最も多い変形性股関節症の発症は、50代以降に増えてきます。

人生100年時代のひとつのカギを握るのは、股関節です!

更年期を越えたその先も、自分らしく動ける体でいるために。
人生のQOLを大きく左右する更年期以降の股関節ケアについて、実体験と取材を交えた医療ジャーナリストとしての体験談を、この連載でお伝えしていきます。

*参考資料 「2022年国民生活基礎調査概況」(厚生労働省)

人工股関節置換手術から約8カ月。いまではこんなレッスンも可能に。ピラティスは退院後17日で再開し、週1回ペースで続けています。 Hearst Owned

◆この連載は、毎月第2、第4金曜日の公開を予定しています。お楽しみに!

増田美加(女性医療ジャーナリスト)
ますだみか●エビデンスに基づき、患者視点に立って女性の医療、ヘルスケアを専門に執筆、講演を行う。がん経験者として啓発活動にも積極的。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力』(講談社)ほか。

編集=石黒三惠(婦人画報編集部)イラスト=Getty Images

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