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「困っている人=善人」とは限らない!? 『夜逃げ屋日記』が突きつける、美談では終わらない仕事のリアル【書評】

  • 2026.10.4

【漫画】本編を読む

とある事情から夜逃げを決意した人の引っ越しをサポートするのが“夜逃げ屋”という仕事。実際に夜逃げ屋で働くマンガ家・宮野シンイチさんがその経験をまとめたのが『夜逃げ屋日記』(宮野シンイチ/KADOKAWA)である。それぞれの事情を汲み、できるだけ依頼人の力になろうとする夜逃げ屋だが、どんな依頼も引き受けるというわけではない。

依頼者は22歳の息子と暮らす母親。10年前に離婚し母子家庭として暮らすふたりだが、息子は体が弱くて働けず。母親も息子の看病で度々会社を休んでいるうちに、解雇を告げられてしまう。さらには今住んでいる社員寮は他の社員に使わせるため、次の営業日までに必ず引っ越すようにと言われる依頼者。しかし時は年末、空いている業者が見つからず、夜逃げ屋に電話をしてきたというわけだ。

現場に着いた宮野さんたちは、早速家の中へ。そこで大量のゴミが置いたままになっていることに社長が気づく。移転先に持っていくという依頼者に「捨てないんですか?」と尋ねると、笑顔で「じゃあ適当に捨てておいてください」との返事が。何かしらの気配を察知した社長は、「依頼料は今すぐ払えるか」と母親に問いかけるが、お金は用意できていないという。

社長含め、夜逃げ屋のスタッフは日々、依頼者に寄り添いながら仕事をしている。「困っている人を救いたい」という気持ちは人一倍強いだろう。しかし「困っている人=弱者=善人」とは限らないというのが、このエピソードの主軸である。

様子がおかしい依頼者に社長は強気で対応するが、まだ場数の少ない宮野さんは泣いてすがってくる彼女が不憫に思えてきてしまう。どんどんソワソワしていく宮野さんの表情(カメレオンだけど)に注目しながら読んでほしい。

文=原智香

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