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撮影現場はまるで女子校!?『ファーストボイス』綾瀬はるか×ファーストサマーウイカ×松本穂香が語り合う現場の思い出

  • 2026.10.4

100%負けると言われた前代未聞の“ハラスメント裁判”に挑んだ、型破りな弁護士たちの実話に着想を得た物語を描く映画『ファーストボイス』(公開中)。舞台は日本が好景気に沸いたバブル経済絶頂期の1989年。世間の偏見や理不尽が“常識”として片付けられていた当時、声をあげ、新たな未来を切りひらいた人々の闘いを映し出す。

【写真を見る】和気あいあいと取材に臨む、綾瀬はるか、ファーストサマーウイカ、松本穂香の3人をキャッチ!

困ったひとを放っておけないお人好し弁護士、朝日道子(綾瀬はるか)を訪ねてきた上原恵(ファーストサマーウイカ)。彼女は職場で執拗な嫌がらせを受けた末に大好きな仕事まで奪われ、会社と上司を相手に訴訟を起こしたいという。「ハラスメント」をめぐる裁判には前例がなく、新人弁護士の藤野栞(松本穂香)は「勝ち目がない」と反対。しかし、朝日は「この裁判は必ず未来につながる」と立ち上がることを決意。世間の“常識”という大きな壁に風穴を開けるべく、勇気ある一歩を踏み出していく。

主人公の朝日を綾瀬はるか、依頼人の恵をファーストサマーウイカ、新人弁護士の栞を松本穂香が演じ、『九十歳。何がめでたい』(24)で知られる前田哲監督がメガホンをとり、スカッとした感動を届ける、痛快リーガルエンタテインメントを誕生させた。

「朝日先生のキャラクター、人柄がすごく好きだなと思いました」(綾瀬)

 朝日弁護士との自身の共通点は「マイペースなところ」と語った綾瀬はるか 撮影/杉映貴子 スタイリング/西真由美 ヘアメイク/井手真紗子
朝日弁護士との自身の共通点は「マイペースなところ」と語った綾瀬はるか 撮影/杉映貴子 スタイリング/西真由美 ヘアメイク/井手真紗子

——脚本を読んだ時の印象や感想をお聞かせください。

綾瀬はるか(以下、綾瀬)「まずは朝日先生のキャラクター、人柄がすごく好きだなと思いました。損得だけでなく、本当に恵の心に寄り添う弁護士さんで、いろいろな困難があるけれど、いつもニュートラルに『なんとかなるわよ』みたいな前向きさが常にあって。人の心を軽くするような、そんな先生だなと思いました。劇中の弁論シーンなどもやっぱり人間らしいというか。すごく身近な人に想像を訴えかけるような弁論ですごく好きでした」

ファーストサマーウイカ(以下、ウイカ)「実話に着想を得た物語なので、私が生まれた1990年はまだこんな世の中だったんだ、とショックが大きかったです。上原恵が受けた理不尽なことを知れば知るほど、彼女が一歩を踏み出したこと、最初に声をあげたことがどれほどすごいことか、尊いことかを感じて。歴史に残る大きな一歩を踏み出した人のエネルギーが画面を通じて、現代に生きる男女問わず万人に力を与えられる作品だろうなとすごく感じました」

松本穂香(以下、松本)「本当に男女関係なくいろいろな人になにか刺さるようなメッセージが込められている脚本だと感じました。時代は少し昔にはなるけれど、いまだからこそ改めて、一人ひとりが見つめ直さなきゃいけないものがあるんじゃないかなっていう。ちょっとトゲトゲしがちな世の中だからこそみなさんに届いてほしい作品だと感じました」

朝日弁護士と新人弁護士の栞が恵の弁護を担当することに [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
朝日弁護士と新人弁護士の栞が恵の弁護を担当することに [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

——演じた役柄に共感した部分があればお聞かせください。

綾瀬「マイペースなところは似ているのかなと思いました(笑)」

ウイカ「朝日先生はあてがきって噂でしたよね?(笑)。私も朝日先生と綾瀬さんが重なって感じるところがたくさんあって、現場で頼りになる、心から信頼できるというところが特に似ていると思いました。私自身の役に関していうと、『傷ついてもいい。泣き寝入りしたくない』と朝日先生のところに行って訴えた時のセリフは、私が日々念頭において生きているという点で共通しているところかなと感じました」

綾瀬「恵もあてがきなんじゃない?(笑)」

ウイカ「私も!?(笑)私はむしろ、そこまで声をあげなくていいよって周りが思っている時も声を上げているので…。最初から最後まで声を上げている人間かも知れないです。ラストボイスも担当しているかもしれません(笑)」

松本「アハハハ」

ウイカ「っていうくらい、気持ちが分かるというか。グッと堪えたり我慢しちゃったりする人が多いと思うので、第一歩を踏み出す恐怖や、苦しみや悔しさが出るといいなと思いました。立ち上がれない人たちに『大丈夫だよ』と力になれるキャラクターになれたらうれしいなと思います」

綾瀬「はい、あてがきです!(笑)」

松本「私は栞ほど毒舌ではないですが、多分、頑固なところがあって、我が強いのかな…」

ウイカ「軸がしっかりしている!」

松本「言い換えると、そうなのかもですね。ありがとうございます(笑)。よく頑固だね、我が強いねと言われるので、そういう部分では似ていると思います。言いたいことは、大切な人ほどちゃんと言わないと気が済まないタイプだったりするので、方向は違えど、言う時は言うみたいなところは一緒な気がします。私は栞のように自信はないですが、栞のように自信を持てていたら最強だな、強みになるなと思います」

小さな出版社で編集者として働いていた恵だったが、理不尽な理由で会社を辞めることに… [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
小さな出版社で編集者として働いていた恵だったが、理不尽な理由で会社を辞めることに… [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

「他人事が自分事になる、自分の問題が世の中の全体の問題になる。それを大切にできたらなと思いながら演じました」(ウイカ)

 「勝負飯はステーキ!」と明かした、ファーストサマーウイカ 撮影/杉映貴子 スタイリング/近藤伊代 ヘアメイク/吉田真妃
「勝負飯はステーキ!」と明かした、ファーストサマーウイカ 撮影/杉映貴子 スタイリング/近藤伊代 ヘアメイク/吉田真妃

——それぞれの役を演じるうえで、大切にしていたことを教えてください。

綾瀬「女性はお茶汲みとか腰掛けとか、すぐ結婚しちゃうみたいに見られる世の中で、朝日先生は弁護士事務所を立ち上げて自分の道を歩きながら、子育ても同時にしている。自分がしたいと思ったことはすべてやる、手にいれるって、ほわっとした人に見えて、芯の強さはすごい。働くことと家事の両立を大変なのに、どうしていたんだろうって思いました。朝日先生の旦那さんも最初は非協力的な感じだったし、どういう時間の使い方をしていたんだろうってすごく思いました。でも弁護士事務所にベビーベッドが置いてあるのを見たりすると、自分の事務所だから許されるところもあったりしたのかなって思って、先駆者、時代の先を行ってる人だと感じました」

ウイカ「仕事を奪われて悔しい、悲しい、これはおかしいんじゃないか自分のために立ち上がる恵ですが、弁護士の先生、支援団体の方が集まってきて、仲間が増えるのに反してどんどん孤独を感じていきます。被害者は自分なのに、私のためではなく、世間や大義のために闘っているんじゃないの?と疑心暗鬼になる気持ちも理解できました。でも、この闘いに勝つことは、自分を救うことだけではないんだ、いろんな人のための道しるべになることなんだと気づけたのは恵の変化です。他人事が自分事になる、自分の問題が世の中の全体の問題になる。それを大切にできたらなと思いながら演じていました」

松本「栞は最初周りを遮断しているというか。私は私、先生は先生、みたいな感じで、特に物語の序盤はキリキリしていたので、そこはすごく意識して演じました。次第に周りからの影響を受け入れられるようになって変わっていくところや、周囲を遮断していた人がちゃんと周りを見て、いろいろなものを受け取りながら成長していくところは自然と意識していた気がします」

前代未聞の裁判に望む朝日弁護士の、赤いスーツ姿がまぶしい! [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
前代未聞の裁判に望む朝日弁護士の、赤いスーツ姿がまぶしい! [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

——映画では女性たちが手を取ってチームになっていく物語が描かれます。撮影現場のチームワークについてお聞かせください。どんな雰囲気の現場でしたか?

綾瀬「待ち時間が多くて、大体ずっとおしゃべりをしていました」

ウイカ「あと、綾瀬さんが空き時間にずっと絵を描いているのが印象的でした」

松本「監督とかをね」

ウイカ「視線を感じるなと思ったら、似顔絵を描いてくださっていて」

松本「上手なんです」

ウイカ「私たち3人のシーンでは待ち時間に絵しりとりを始めて。あんまり喋ってると監督に怒られるからって、こっそり描いてシュッと見せてきたり…。でも呼ばれたら綾瀬さんはパッとセットに行って、パッとセリフを言って、また帰ってきて絵を描くという…。授業中にあてられた生徒みたいな感じでした」

綾瀬「それのプロバーション(笑)」

ウイカ「そんなことをやっていてもセリフはひとつも間違えないっていう…」

松本「楽しかったですね」

前代未聞の裁判は苦難の連続だった [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
前代未聞の裁判は苦難の連続だった [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

——オンオフのスイッチの切り替えは得意なのですか?

綾瀬「たしかによく言われることが多くて。自分では普段あまり意識したことはないのですが、結構切り替えは早いと言われます。オンとオフがすごくはっきりしているかもしれないです。カット!ってかかったら、すぐに自分に戻るというか」

ウイカ「さっきまで法廷のシーンだったのに、カットってかかった瞬間に『ゴハンまだかな』とか言ってるし(笑)」

綾瀬「ガッと集中するから休ませないと疲れちゃうのかもしれないです。だから逆にカット!ってなると『はぁ』って気が抜けちゃうみたいな(笑)」

【写真を見る】和気あいあいと取材に臨む、綾瀬はるか、ファーストサマーウイカ、松本穂香の3人をキャッチ! 撮影/杉映貴子 スタイリング/西真由美(綾瀬)、近藤伊代(ウイカ)、道端亜未(松本) ヘアメイク/井手真紗子(綾瀬)、吉田真妃(ウイカ)、倉田明美(松本)
【写真を見る】和気あいあいと取材に臨む、綾瀬はるか、ファーストサマーウイカ、松本穂香の3人をキャッチ! 撮影/杉映貴子 スタイリング/西真由美(綾瀬)、近藤伊代(ウイカ)、道端亜未(松本) ヘアメイク/井手真紗子(綾瀬)、吉田真妃(ウイカ)、倉田明美(松本)

「私もなにも考えずに飛び込むタイプかもしれないです。やってみなければ分からないことが多いので」(松本)

「大切な人ほどちゃんと言わないと気が済まない」と自身を「頑固なほう」と分析する松本穂香 撮影/杉映貴子 スタイリング/道端亜未 ヘアメイク/倉田明美
「大切な人ほどちゃんと言わないと気が済まない」と自身を「頑固なほう」と分析する松本穂香 撮影/杉映貴子 スタイリング/道端亜未 ヘアメイク/倉田明美

——3人で楽しくおしゃべりを楽しんだ現場ということですが、前田監督とはどのようなお話をしましたか?

綾瀬「女子が6人集まると本当にずっと喋っているから、『はい、弁護団のみなさん、聞いてください!静かにー!』みたいに叫んでいて、先生みたいでした」

ウイカ「女子校の先生みたいな。監督がちょっとだけ体調を崩されて声が出ない時があって。その時に、綾瀬さんが『監督は声が出ないみたいだから、聞いてあげよう!』って、聞いてあげるみたいなこともあって」

 世間の“常識”という大きな壁に風穴を開けるべく、勇気ある一歩を踏み出していく [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
世間の“常識”という大きな壁に風穴を開けるべく、勇気ある一歩を踏み出していく [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

——ちょっと悪い女子高生みたいですね(笑)

綾瀬「確かに(笑)」

ウイカ「それくらいの関係値にはすごい早い段階でなっていた感じがします」

綾瀬「『‘レッツ・ビギン!』の手の動きに関しては監督から細かく言われた記憶があります。カフェのシーンでは何度もやりました。親指の高さとか角度とか細かく。監督のこだわりがすごく出ていました」

ウイカ「監督独自の美的感覚みたいなものがすごくて。置いてある本の角度とかがちょっとでも変わると監督がスッと直したりして。お芝居でもそういうこだわりを感じることは結構ありました。でも基本は役者ファースト」

松本「役者がやりやすいようにって。ベストな私たちを撮ろうとしてくださっていましたね」

——映画では勝負服が登場します。とてもすてきに着こなされていましたが、みなさんには勝負服はありますか?

ウイカ「服ではないですが、勝負○○みたいなことだと、勝負飯が浮かびます。定番ですが、明日は力がいるぞ!という時にはステーキを食べます。価格的にもガツンとくるし、日常的にというよりも、大事な日の前に、勝負飯としてのステーキが定番です!」

松本「私は気合いを入れる時には、お塩を入れた湯船に入ります。清めたらいいというのを聞いて。あと、新月の日に入るのもいいらしいです。清めたお塩を入れるとよりいいと聞いて、実践したことがあります」

綾瀬「今回の衣装を着て思ったのですが、色の持つ力はすごいと思いました。朝日先生は普段、割とネイビーとかのお洋服が多かったので、赤いスーツを着た時はかなり気分が違いました。メイクもそうで、いつもより少しだけ明るめのリップをつけたりすると、やっぱり気持ちが上がるというのはあると思います」

——本作のテーマは日本初のハラスメント裁判です。みなさんがなにか新しいことに挑む時、一歩踏みだす時に心がけていること、大切にしていることを教えてください。

綾瀬「私はなにも考えず飛び込むみたいな感じかな。心構えとかそういうのもなくて。あまりなにも考えてないというのが正直なところです。多分、特別、新しいこととかって意識しないのかもしれません」

ウイカ「今回の裁判は前例のない裁判。私自身、人と同じことはしたくないという気持ちがあるから、ちょっと人との差別化をはかるために、前例を調べるみたいなことはやるかもしれません」

松本「私もなにも考えずに飛び込むタイプかもしれないです。やってみなければ分からないことが多いので」

被告側には大きな後ろ盾が…。果たして裁判の行方は? [c]2026「ファーストボイス」製作委員会
被告側には大きな後ろ盾が…。果たして裁判の行方は? [c]2026「ファーストボイス」製作委員会

——本作が痛快リーガルエンタテインメントであることにちなみ、みなさんがスカッとしたシーンを教えてください。

綾瀬「やっぱり朝日先生の、始めてみなければ始まらないない、『レッツ・ビギンよ!』ですね。先生の謳い文句みたいになっていて、これを言うと痛快だなと思います」

松本「支援団体を訪れた男性を羽交い締めにしようとしている場面は痛快でした。でも監督からは、やりすぎと言われましたが(笑)」

ウイカ「朝日先生とのシーンで、恵の問いに、『女の幸せってなに?』となんの曇りもなく言える朝日先生に痛快さを感じました」

松本「それは痛快!」

ウイカ「幸せって人それぞれだし、グラデーションがあっていいのに、無意識に縛られているというのは現代にも通じるから朝日先生のように間髪入れずに曇りなく『幸せってなに?』って訊かれたら、みんな刺さるんじゃないかなって思います。あれは痛快です」

綾瀬・松本「それだ!それが一番痛快!」

取材・文/タナカシノブ

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