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50年越しの“答え合わせ”!?UFO神話に向き合ってきたスピルバーグが『ディスクロージャー・デイ』で問いかけていること

  • 2026.10.4

「『未知との遭遇』を製作していた頃よりも、“人類以外の存在”を本気で信じている」。スティーヴン・スピルバーグ監督がそう語っているのが、『ディスクロージャー・デイ』(公開中)の予告編だ。宇宙人との接触を描いた『未知との遭遇』(77)は、センス・オブ・ワンダーにあふれたスピルバーグ作品の代名詞として語り継がれている。あまりにもリアリティがあるため、宇宙人の存在を一般人に受け入れさせるために米国政府がスピルバーグ監督に撮らせた――という都市伝説が囁かれているほどだ。

【写真を見る】地球外生命体に関する機密情報をめぐる攻防戦を描く『ディスクロージャー・デイ』

スピルバーグと盟友デビッド・コープがタッグを組んだ本作。謎の組織「ワーデックス」がひた隠しにしてきた地球外生命体に関する機密情報を盗みだした男と、自身に突如起きた異変に戸惑う女。接点のないはずの2人は、謎の男に導かれ数十年以上にわたって隠蔽されてきた真実を知る。その秘密を人類に開示しようとする彼らだったが、そこに「ワーデックス」の追手が迫り…。

本稿では、スピルバーグ作品を総括するSFサスペンスとなっている『ディスクロージャー・デイ』で描かれているキーワードやキーパーソンに着目したい。『未知との遭遇』や1970年代~90年代のテレビ番組「木曜スペシャル」(日本テレビ系)の人気シリーズだった「矢追純一UFOスペシャル」を見てきた世代にとってはおよそ50年越しとなる「答え合わせ」的な内容であり、初期スピルバーグを知らない世代には新鮮な驚きがあるだろう。

【写真を見る】地球外生命体に関する機密情報をめぐる攻防戦を描く『ディスクロージャー・デイ』 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
【写真を見る】地球外生命体に関する機密情報をめぐる攻防戦を描く『ディスクロージャー・デイ』 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

宇宙人に関する情報を操作してきた秘密組織

UFOにまつわる都市伝説で、最も有名なのが1947年に起きた「ロズウェル事件」だ。ニューメキシコ州にある軍飛行場近くに未確認飛行物体が墜落し、基地の広報官は“空飛ぶ円盤を回収した”と地元紙に発表。ところが、翌日には回収したものは“観測気球”であったと訂正した。空飛ぶ円盤と観測気球を間違えるだろうか?実はこの時、UFOだけでなく、搭乗していた宇宙人の遺体も回収されたと囁かれた。

UAPや地球外生命体の存在に関する機密情報を管理する組織「ワーデックス」 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
UAPや地球外生命体の存在に関する機密情報を管理する組織「ワーデックス」 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

墜落現場の目撃者や関係者には厳重な箝口令が敷かれ、その背後には当時の米政府や米国大統領であるハリー・S・トルーマンが関与していたという説もある。以降、ロズウェル事件は国家の最高機密扱いになっているという。さらにトルーマン大統領は、CIA長官をはじめとする政府高官や科学者たち12人を集め、「マジェスティック12」、通称「MJ-12」を創設したとされている。

「MJ-12」はUFOや宇宙人に関する情報をコントロールし、高度な科学技術を持つ宇宙人についての研究を進める秘密組織だったとされ、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺など米国で大事件が起きるたびに、軍や軍需産業と結びついた「MJ-12」の暗躍が噂されている。

その一方、UFOに関する情報の公開を推進する民間の団体「ディスクロージャー・プロジェクト」が1993年に誕生。2001年には記者会見を開き、UFO目撃者たちの証言を公表し、UFOブームを再燃させている。

ワーデックスは秘密裏に回収したUAPや未知の技術を解析し、開発を行っている [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
ワーデックスは秘密裏に回収したUAPや未知の技術を解析し、開発を行っている [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

米国大統領は宇宙人と密約を交わした?

1965年にはペンシルベニア州のケックスバーグ近くの森に、火の玉が落下する騒ぎが起きた。森に落ちたのはどんぐり型の金属製の物体であり、すぐに州警察や軍によって森は封鎖されている。目撃者によると、防護服を着た作業員たちによって金属製の物体はトラックで運びだされたという。

こうしたUFO事件との関連性が言われているのが、ネバダ州にある「エリア51」だ。米空軍の試験訓練場のある施設を指しているが、長年の間政府は「エリア51」の存在を認めようとしなかった。そのため「エリア51」には各地で起きたUFO事件で回収された残骸が運び込まれ、新しい兵器の研究や開発に転用されているのではないかと憶測が流れていた。

情報公開請求を受け、2013年になって米国政府は「エリア51」の存在をようやく認めるに至った。スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』(08)では、「エリア51」が序盤の舞台となっている。

はたして全世界に開示されようとする衝撃の“真実”とは…? [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
はたして全世界に開示されようとする衝撃の“真実”とは…? [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

また、米国大統領は代々にわたって、UFOや宇宙人に関する極秘ファイルを就任時に受け継いでいるのではないかという説もある。一部では、先述したトルーマン大統領は宇宙人と交渉し、彼らの最新のテクノロジーを受け取る代わりに、研究目的での地球人の拉致を黙認したという都市伝説も語られている。

極秘ファイルの内容が気になるところだ。

宇宙人の遺体を目撃したハリウッドの名優

本作の主人公であるサイバーセキュリティのエキスパート、ダニエル(ジョシュ・オコナー)は宇宙人に関する極秘情報を開示しようとする。彼が持ちだした極秘映像には、リチャード・ニクソン大統領と思われる人物の横に白いスーツを着た男性が映っている。おそらく、この白いスーツの男性はジャッキー・グリーソンだろう。

俳優として映画『ハスラー』(61)などで名演技を披露しているグリーソンは、米国ではミュージシャン、またバラエティ番組のホストとして著名な存在だった。ニクソン大統領と親しかったとされる彼が、ニクソンに連れられ米軍の秘密施設で“保管されていた宇宙人の遺体を見た”という都市伝説が語り継がれている。ダニエルが持ちだした極秘映像は、本作の大きな見どころだ。

突如出現したミステリーサークルや強烈な光を放つ飛行物体など劇中で様々な超常現象が描かれる [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
突如出現したミステリーサークルや強烈な光を放つ飛行物体など劇中で様々な超常現象が描かれる [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ダニエルが立つ畑に幾何学模様のデザインが浮かび上がるが、これは「ミステリーサークル」と呼ばれるもの。1980年代にいくつもの「ミステリーサークル」が英国に出現し、「宇宙人の仕業か」と世界的なブームとなった。90年代になって英国の農業従事者2人組が「いたずらで作った」と明かしたことでブームは沈静化したが、英国以外でも目撃例が報告されており、単なる模倣犯によるいたずらとは断定できないものもある。

もう1人の主人公となる気象キャスターのマーガレット(エミリー・ブラント)に一羽の小鳥が近づくことから物語は始まるが、これも都市伝説界隈では有名なもの。宇宙人は人間が警戒しないよう、フクロウなどの野鳥や野生動物に擬態して接触を図ることがあると言われている。

開示をめぐる攻防に巻き込まれていくローカル局の気象予報士マーガレット(エミリー・ブラント) [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
開示をめぐる攻防に巻き込まれていくローカル局の気象予報士マーガレット(エミリー・ブラント) [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

スピルバーグ監督は『未知との遭遇』や『E.T.』(82)で描いた「来たるべき日」の到来を、監督デビュー作となった『激突!』(71)や実話ベースの『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)などで磨き上げた最上級のサスペンス演出で物語ってみせている。

宇宙人の存在が既存の宗教や社会に影響を与える可能性に言及している点も興味深い。

『ディスクロージャー·デイ』は公開中! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
『ディスクロージャー·デイ』は公開中! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

様々な情報やフェイクニュースが飛び交う現代社会において、真実とはなにか、なにを信じるべきかを、ハリウッドの巨匠は問いかけているのではないだろうか。

文/長野辰次

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