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「冷めてるぞ。焼き直してくれ」目玉焼きを独占した客。だが、戻ってきた客に料理人が正論をぶつけた

  • 2026.10.4

焼きたてが、ひとつの皿へ

30代の私が、一人旅でホテルに泊まったときの話です。

朝食はバイキング形式で、会場の奥には目玉焼きのコーナーがありました。台の向こうでは、白い調理服の料理人が鉄板で卵を焼いています。

朝7時すぎ、台の前には数人が並んでいました。

先頭は40代くらいの男性、その次が年配の女性で、私はその後ろです。

壁の時計が7時5分を指したころ、料理人が大皿を置きました。

「お待たせしました。焼き上がりました」

大皿には、焼きたての目玉焼きが4個並んでいました。

すると先頭の男性はトングを取り、1つ、2つと自分の皿へ移していきます。

その手は止まらず、最後の1つまで取ってしまいました。

年配の女性が戸惑ったように声をかけました。

「あの…1つだけ残していただけませんか」

しかし男性は振り返らず、こう言いました。

「どうせすぐ追加されるよ」

そのまま男性は窓ぎわの席へ向かいました。席に着くと新聞を広げ、コーヒーを飲み始めます。

皿いっぱいの目玉焼きには、なかなか手をつけませんでした。

「冷めている」と戻ってきた男性

料理人は注文されたオムレツを作りながら、次の目玉焼きも焼き始めました。

年配の女性と私は、いったんパンやサラダを取りに行き、再び目玉焼きの台へ戻りました。

男性が席に着いてから20分ほどたったころです。

先ほどの男性が皿を持って戻ってきました。目玉焼きを箸の先でつつきながら、顔をしかめています。

「なんだこれ。冷めてるじゃないか」

そして皿を台に置き、料理人に言いました。

「冷めてるぞ。焼き直してくれ」

料理人は鉄板から目を離さず、落ち着いた声で答えました。

「こちらは先に焼き上がったものです。それから時間経ってますよね?」

男性は壁の時計を見て、言葉を止めました。

ちょうどそのとき、新しい目玉焼きが焼き上がりました。

料理人は大皿に並べると、待っていた私たちに声をかけました。

「お待たせしました。こちら、いま焼き上がったものです。どうぞ」

年配の女性は「ありがとうございます」と言って、湯気の立つ目玉焼きを1つ取りました。私もそのあとに続きます。

男性はしばらく自分の皿を見つめていましたが、それ以上何も言わず、そのまま席へ戻っていきました。

自分でまとめて取って長いあいだ置いていたのですから、冷めてしまうのも無理はありません。

あの朝、料理人が声を荒らげることなく、焼き上がった時刻だけを静かに伝えた場面が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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