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齋藤潤、最新作では西畑大吾と共演。俳優としての自身に一番大事なのは「今の自分と向き合い続けること」

  • 2026.10.2

デビューから映画『カラオケ行こ!』、『瞼の転校生』、『からかい上手の高木さん』と話題作に立て続けに出演し、その演技力を高く評価されている齋藤潤さん。2026年10月2日(金)から公開される『時給三〇〇円の死神』では、死者の少年役を演じている。

『ストロベリームーン 余命半年の恋』以来となる酒井麻衣監督作品で、また新たな学びがあったと話す齋藤さん。同作の撮影現場や芝居への思い、これからの俳優像など、19歳の現在の心境を語ってもらった。

映画『時給三〇〇円の死神』に出演する齋藤潤さんにインタビュー
映画『時給三〇〇円の死神』に出演する齋藤潤さんにインタビュー

憧れの酒井監督作品2作目「期待以上の演技ができるように臨みました」

――『時給三〇〇円の死神』は独特な世界観の作品ですが、原作や台本を読んで、どんな印象を受けましたか?

【齋藤潤】第一印象は「不思議なタイトルだな」でした。時給300円で死者の心残りに寄り添うアルバイト、というユニークな設定。感動や淡い想いを感じられる作品だと思いましたし、それを酒井監督がどう切り取るんだろう、どれくらい美しく、儚い映画になるんだろうというワクワク感がありました。

――齋藤さんから見た、酒井監督の作品の魅力とは?

【齋藤潤】どの作品を見てもすごくきれいで、「こんなふうに映りたい」と憧れるような美しさがあるんです。初めて酒井監督の作品を観たときから「いつか自分も出たい」と思っていたので、その後出演できたことはすごくうれしかったです。

――酒井監督とは『ストロベリームーン 余命半年の恋』に続いて2作目になります。今回の現場はいかがでしたか?

【齋藤潤】『ストロベリームーン』は1カ月ほど毎日のように撮影していたのですが、今回は出演シーンが少なく、撮影も2、3日くらいだったので「この短い時間でちゃんと表現できるかな」という思いがありました。

ただ、酒井監督はもちろん、プロデューサーの種田義彦さんとは映画『366日』でご一緒していますし、脚本の福田果歩さんも含めて、顔見知りの方が多くて。スタッフさんにも酒井組でおなじみの方が多かったので、安心してお芝居ができました。「お久しぶりです」という懐かしさもありつつ、「やっぱりこの現場が好きだな」と思いながら撮影できました。

(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

――今回は齋藤さんの演技力を評価されてのオファーだったそうですね。その言葉をどう受け止めましたか?

【齋藤潤】プロデューサーや監督が「齋藤潤がいい」と言ってくださったと聞いて、もちろんうれしかったんですが、「僕、そんなにちゃんとできていないと思うけどな…」という不安もありました。

酒井監督の現場に立つと、まだまだ自分は未熟だし、表現力も足りないと感じます。評価していただけることはありがたいですし、その言葉は受け止めながらも、みなさんの期待以上の演技ができるよう気合を入れて臨みました。

西畑大吾との共演に「謙虚さや純粋さ、お芝居への情熱に胸を打たれました」

――今回は死者という特殊な役柄です。演じるうえで意識したことはありますか?

【齋藤潤】最初は「死者ってどういうふうに映るんだろう」「どういう佇まいで、どう喋ればいいんだろう」と、未知の部分がありました。普段とは違う特別なことをしたほうがいいのかなとも考えたんですが、結局は特別なことを意識せず、その瞬間に存在することを大切にしました。

西畑大吾さん演じる佐倉と対峙する時間も長くはなかったので、その短い時間のなかで受け取ったものをこぼさず、自分の表情として出せたらいいなと思っていました。

――西畑さんとの共演シーンでは、どんなことが印象に残っていますか?

【齋藤潤】クランクアップの日の、西畑さん演じる佐倉と向き合うシーンです。撮影期間が短く、僕自身「まだまだお芝居したいな」という寂しさもありながら臨んだのですが…佐倉から受け取るものがすごく多くて、胸が熱くなったんですよね。

お芝居をしながら僕自身も心を揺さぶられました。数日の撮影期間でしたが、学べたことが多かったと感じます。

(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

――西畑さんと何かお話されたことはありますか?

【齋藤潤】撮影前に、西畑さんと一緒にお弁当を食べる時間があったんです。そのときに、お芝居や西畑さんご自身の活動についてお話しました。

西畑さんの主演としての佇まい、謙虚さや純粋さ、お芝居への情熱に胸を打たれました。自分は俳優一本でやっているからこそ、「もっと頑張らなきゃ」と思いました。またご一緒したいです。

(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会
(C)2026藤まる/双葉社・「時給三〇〇円の死神」製作委員会

俳優業は「自分に嘘をついたままではできない仕事」

――映画『カラオケ行こ!』などで、さまざまな賞を受賞しています。周囲からの高い評価について、ご自身ではどう感じていますか?

【齋藤潤】褒めていただくとうれしいですし、鵜呑みにしていた時期もありました。でも最近は、周囲の方が「よかった」と言ってくださることと、自分が芝居をして感じたことは別のものとして考えたいと思うようになりました。どんなに評価していただけたとしても、自分が納得がいく演技や表現をより追求していきたいなと考えています。

それに、作品は監督やスタッフ、共演者の皆さんと一緒に作るものですし、僕が芝居の場に立てているのも周りのみなさんのおかげです。作品は僕だけで成り立たないことを忘れずに、もっと上を目指していきたいです。

――12歳で俳優の道に進む以前から、俳優になるために何かしていたのでしょうか?

【齋藤潤】それが全くないんですよね…(苦笑)。小学生のころはずっとサッカーをやっていました。家族の影響もあって始めたんですが、ケガも多かったですし、自分が勝てないことも嫌で。監督の顔色を気にしながらやっていたところもあり、正直、あまり好きではなかったんです。

俳優をやりたいと思ったとき、事務所を勧めてくれたのは母でした。そこから作品を観る機会を与えてもらったりしたので、自分から「俳優になるためにこれをしなきゃ」と動いてきた感覚はあまりないんです。今も「努力できているのかな」と思うことはあります。

――それでもやはり、お芝居は楽しいですか?

【齋藤潤】楽しいです。ただ、楽しいことばかりじゃないところも好きなんです。自分に嘘をついたままではできない仕事だと思うので。先輩方が純粋に自分や役と向き合っている姿を見て、「だから俳優さんってすてきなんだな」と気づくことも多いですし、そういう方たちとつながれることも僕にとってすごく幸せです。

普段の人間関係では、自分の意見を言えないこともあります。でもお芝居の現場は、自分の意見や感情を持っていないと立てない場所でもある。いい意味で自分勝手に、わがままでいることを許してもらえるところが、僕にとっては救いでもあります。

――これまでの俳優人生で、転機になった作品はありますか?

【齋藤潤】『ストロベリームーン』が大きいです。演技をしていて、ものすごく悔しかったんです。「お芝居が全然できていないな」と思いましたし、自分のなかにある嘘のようなものにも気づかされた現場でした。

怖さもありますけど、それ以上に「もう一度ここでお芝居がしたい」という気持ちがあります。酒井監督は、もっと頑張りたいと思わせてくださる監督ですし、また酒井監督の現場に立てるように頑張りたいです。

――最後に、これからどんな俳優になっていきたいですか?

【齋藤潤】いわゆる“カメレオン俳優”になりたいです。でも一番は、作品を観た方に「勇気をもらえた」と思ってもらったり、何か衝撃を与えられたりできる俳優になりたい。そのためにも、もっと自分の引き出しを増やしたいです。いろいろな人と出会って、自分の素直な感情と向き合いながら、一人の人間として優しくありたい。それがお芝居にもつながっていけばいいなと思っています。

今後は英語を使ったお芝居にも挑戦したいですし、思いきり嫌われるような悪役もやってみたいです。演技の幅を広げるために、まずは今の自分と向き合い続けること。それが今、一番大事なことだと思っています。

取材・文=イワイユウ

撮影=八木英里奈

ヘアメイク=澤西由美花

スタイリスト=岩田友裕

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