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夫「失敗しました」3連休の帰省から戻るとご近所から“1通の文書”…40万円分たった2週間で水の泡に【一級建築士は見た】

  • 2026.10.22
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「3連休の帰省から戻ったら、ポストに近所の方からの文書が入っていて。『お宅のフェンスは建築協定に合いません』と書いてあったんです」

そう話すのは、3年前に郊外の分譲地で中古の一戸建て(築9年・4LDK・延床約106㎡/土地約172㎡、約4,400万円)を買ったYさん(30代女性・会社員、夫と子ども2人の4人暮らし)です。結婚7年目の共働きで、子どもは5歳と2歳です。

南側の庭とリビングの窓は道路に面し、通る人の視線が気になっていました。この夏、夫婦は道路沿いに目隠しフェンスを立てることにします。

この分譲地には建築協定(住民同士で決めた、建物や塀のルール)があります。購入時の重要事項説明で概要を聞き、仲介会社から「塀や物置を変えるときは見てください」と協定書の写しも渡されていました。

見積もりを頼んだ外構会社の担当は「この分譲地は協定で、道路沿いは高さ1.2mまで、見通せる造りと決まっています。1.8mの目隠しは協定に合いません。先に運営委員会(協定を守る住民の集まり)へ相談を」と止めました。

Yさんが「協定を無視して大丈夫なの?」と聞くと、夫は「協定は法律じゃないから、罰金もないよ。委員会には、あとで話しておく」と押し切ります。業者にも委員会の許可は取ると伝えて依頼し、9月の終わりに約40万円のフェンスが立ちましたが、相談はしないままでした。

10月の3連休は、家族でYさんの実家に帰省しました。連休の最後の夜に帰ると、ポストに運営委員会からの文書が入っていたのです。「2度うかがいましたが、ご不在でした」と添えてありました。

建築協定は、あとから買った人にも及ぶ

建築協定は、建築基準法に基づく制度です。土地の所有者などが、建物の用途や高さ、塀の種類といった決まりを定め、市長などの認可を受けて成り立ちます。認可のあとに家を買った人にも効力が及び、中古で買ったYさんも同じです。工事の前に運営委員会との協議を求める協定もあり、塀や物置だけの工事でも対象になることがあります。

夫の言うとおり、協定に違反しても罰則はありません。住民同士の契約にあたるため、市が直すよう命じることもないのです。ただ、協定書には違反したときの手順があります。運営委員会が文書で直すよう求め、応じなければ裁判所に訴えることができます。

協定があることとその概要は、重要事項説明の際に伝えることが義務づけられています。一方、塀の高さのような細かな数字まで口頭で伝えられるとは限りません。仲介会社が協定書の写しを渡して一言添えるのが望ましく、Yさんの仲介会社はそうしていました。最後は、協定書そのものを読むことになりました。

40万円のフェンスが、2週間で「やり直し」

文書には、協定の条文と、今月中の連絡を求める旨が書かれていました。翌日に夫婦で訪ねると、近所に住む運営委員長は「視線が気になる気持ちは分かります。ただ、1軒認めると、協定が守れなくなるんです」と話したそうです。

フェンスは板にすき間のない造りで、低く切っても協定の「見通せる造り」になりません。外構会社の見積もりは、撤去と、低くすき間のあるフェンスへの取り替えで約25万円です。40万円のフェンスは、立てて2週間あまりでやり直しが決まりました。

夫は「罰金がないなら大丈夫だと思い込んで、失敗しました」と、反省したといいます。

低いフェンスと、内側の木

夫婦は、運営委員会に直し方の計画を出しました。道路沿いは低いフェンスに替え、その内側に常緑の木を植える内容で、了承を得ています。工事は11月の予定です。

委員会への説明と費用の手配は、夫が引き受けました。「大丈夫かと聞かれたのに、押し切ってごめん」とYさんに謝り、Yさんは協定書を読み直し、物置の置き場所にも決まりがあると知りました。

外構を変える前に、協定書を開く

建築協定のある分譲地は、建物の高さや塀がそろい、落ち着いた街並みが保たれます。隣に急に高い建物ができる心配が少ないのも利点です。

一方で、自分の敷地でも、塀や物置を自由に変えられないことがあります。今回のケースのようにルールを知りながら強行してしまうのは論外ですが、悪気がなくても「そもそも細かな決まりを把握していなかった」という失敗も少なくありません。だからこそ、外構を変える前に協定書を読み、運営委員会に相談しておくことが欠かせません。

・建築協定は建築基準法に基づく住民同士の決まり。認可のあとに買った人にも効力が及ぶ
・協定があることと概要は重要事項説明で説明される。細かな決まりは協定書の写しか、市区町村の窓口で確かめる
・違反に罰則はないが、運営委員会から直すよう求められ、応じなければ裁判になることもある
・塀や物置だけの工事でも対象になることがある。決まりは地域で異なるため、工事の前に運営委員会へ相談する

外構を変える前に、家を買ったときの書類から協定書を一度探してみてください。

参考:
建築協定とは
(横浜市)
建築協定マニュアル(久留米市)
「重要事項説明書」における関係法令等に関するよくある質問
(北九州市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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