1. トップ
  2. 運動会・発表会シーズンの二学期「家でくずれる」は順調のサイ ン?!【医師監修連載⑪】

運動会・発表会シーズンの二学期「家でくずれる」は順調のサイ ン?!【医師監修連載⑪】

  • 2026.9.29
mamagirl

こんにちは、発達専門の小児科医・ママ友ドクター®ゆみ先生こと西村佑美です。3人の子どもを育てる母として医師として、読者の皆さんがとまどってしまうような子育てのお悩みを題材に、その要因や予防策、解決の糸口となるヒントをお伝えしていきたいと思います。
連載10 回目の記事を見逃した方はコチラをチェック!

気が張ってしまう二学期対策
mamagirl

夏休みが明けて緊張と疲れが取れないうちに、子どもたちには幸か不幸か11年ぶりの5連休となったシルバーウィークが訪れましたね。連休が明けてみると疲れや不安もあり、朝の玄関で固まってしまう子、園や学校から帰ると急にグズグズが止まらなくなる子が増えるのがこの時期です。先にお伝えすると、お子さんの困った行動はしつけのせいではありません。お子さんのわがままでもありません。大丈夫です。
二学期は、子どもにとって1年でいちばん長く、いちばん「気を張る量」が増える学期。これから運動会や発表会の練習が本格化するので、家でくずれるのは、むしろ園や学校で順調に頑張っている証拠なんですね。

帰ってきてまで泣くの? イライラしていた私

実は、かつて、わが家の長男と長女にも、保育園から帰ると連日泣き出す時期がありました。当時の私は理由がわからず、「なんで帰ってきてまで泣くの?」と、正直イライラしていました。小児科医なのに、です。 
3人目の二男になってようやく、「ああ、園で頑張ったから疲れているのね」「泣き顔もかわいいな」と思えるようになりました。子どもは園や学校で、精いっぱい「いい子」を続けています。安心できる家に帰ってきたときに、溜めこんだものが一気に出るんですね。だから二学期の「家でくずれる」は、家が安心できる場所である証拠でもあるのです。 
ここからが本題です。未就学児と小学生に分けて、これからの行事シーズンを親子で乗り切るポイントをお伝えします。

秋、小さいうちはコスチュームを着て出かけても楽しい時期!(二男2歳のとき) 
【未就学児編】

■行事の不安は「見通し」で小さくなる
運動会や発表会は、いつもとスケジュールも異なり外遊びも減ります。うまくできない不安から泣いてしまう子、何をしていいかわからず練習の途中で固まってしまう子。特に「いつもと違うぞ、何が起こるんだろう?」と、見通しが持てないことで不安が大きくなっているケースも少なくないのですね。特に周りをよく見て変化をキャッチできるタイプの子は、感受性が豊かな分、不安も大きくなりやすいのです。 
おすすめは、当日の流れを紙に書くこと。文字でもイラストでも、去年の写真でもかまいません。「まず入場、次にかけっこ、そのあとお弁当」と見せながら説明して、最後に「終わったらおうちでアイスを食べよう」とごほうびも書いてあげてください。そして当日は、ママやパパが笑顔で見ていること。それが子どもにとっていちばんの安心材料になります。

■練習に入れない子は「見学という参加」に
 「みんなと練習しません」と先生に言われると、親としてはヘコみますよね。でも、ここで「やらない子」と決めつけないでください。行動には必ず理由があります。
音がうるさい、鬼ごっこが怖い、どこに並ぶかわからない。理由がわかれば、打つ手は必ず見つかります。 
先生にお願いしたいのは、別室で練習中に好きな遊びをさせて待たせるのではなく、みんなの練習を「見学」させてもらい、時々「やってみる?」と声をかけてもらうこと。参加してもしなくてもいいのです。見ているだけでも立派な参加。少しでも近くで参加できたら「立てたね」「並べたね」と、ありのままの行動に注目して言葉にしてあげてくださいね。

■帰宅後は、しつけより先にダラダラ時間でOK
帰ってきてすぐ「手を洗って」「おもちゃ片づけて」と続けると、頑張って帰ってきた子の心はパンクします。まずおやつ、まずゴロゴロ。それでいいんです。 そしてもう1つ。日が短くなり、練習の疲れも重なるこの時期は、寝る時間30分早めるだけで、翌朝の登園しぶりやイライラが減る可能性があります。3〜5歳の子に必要な睡眠は、お昼寝を含めて1日10〜13時間。声かけを工夫する前に、まず睡眠を見直してみてください。 
朝の登園しぶりには、「今日も行ってくれてありがとう。ママ助かるよ」のひと言を。「ママと離れる嫌な時間」が「ママのために行ってくれる時間」に変わると、子どもの表情も変わってきますよ。 

 二男が3歳のとき。幼稚園の運動会の親子競技のひとコマ 
【小学生編】

■二学期は1年でいちばん長く、いちばん疲れる
運動会に学芸会、遠足、そして学習の山場。小学生は園時代と違ってお昼寝がありません。そもそも、6〜12歳の推奨睡眠は9〜12時間とされていますが、お子さんはどうでしょうか? 学童や習い事を毎日フルで入れていると、疲れが取れないまま行事に突入してしまいます。どうか週に1〜2日、何もしないオフの日をつくってあげてくださいね。 
帰宅後は、園児と同じくとにかくダラダラさせてOK。宿題より先に、そういう時間も許しておく。ママやパパがそばにいるだけで、子どもの張りつめたスイッチはゆるみます。

■「行きたくない」は、中身を一緒に言葉にする
朝のお腹や頭の痛み、日曜日の夜の不機嫌。それは体からのSOSサインです。「なんで行けないの?」と聞いても、子ども自身にもわからないことが多いんですね。 
「友だち・先生・勉強・テスト、どれがイヤ?」とひとつずつ言葉にして、対策をセットで決めます。「テストが怖い」なら「全部できなくても大丈夫だよ」。「頭が痛くなったら保健室に行っていい」と、SOSの出し方を先に決めておくと、不安が言葉になった分、体の症状に出にくくなります。それでも調子が戻らないときは、早めにかかりつけ医に相談してみてください。

■勉強のつまずきを「やる気」や「特性」のせいにしない
二学期は、1年生なら繰り上がりの計算や漢字、2年生なら九九と、学習が一段難しくなります。宿題に時間がかかって親子でケンカ、というご相談も増える時期です。 こういうときは、頭の中には「作業机」があると思ってください。お子さんの特性にもよるのですが、例えば解ける能力を持っていても、机が狭くて一度に処理できる(作業できる)量が少ない子がいます。作業机はそれなりに広いしやる気もあるのに、机に全部広げてしまって、結局何から手をつけていいのか注意力が散漫になる子もいますよね。普通の大きさの作業机でそれなりにこなせる子もいますが…そうじゃない子もいるのです。つまり、さぼりではありません。そもそも内容をきちんと理解することが宿題の本来の目的です。だから宿題の量を先生に相談するのも手。親が教えるとどうしてもケンカになるなら外注!家庭教師や少人数の塾を探して頼ってみる、親子の時間は楽しいものとする…そういう発想でもいいのです。
私も、実をいうと長男が1年生の段階で勉強への苦手意識をもっていて、なかなか解消できなかったので、面倒見のいい面白い先生を探してお願いするようになりました!それが本当にうまくいきました。

学習や行事で忙しい秋ですが、遠足は楽しみのひとつ。(二男5歳) 
小学校の先生には「すみません」より「ありがとうございます」から

行事シーズンは、園や学校の先生との連携がいちばん大事になる時期でもあります。
「できないことばかりですみません」と入るのではなく、「いつもありがとうございます。○○するとうまくいくようです」と伝えてみてください。感謝と具体的なお願いのセットのほうが、先生もずっと動きやすくなります。連絡帳に「先生のおかげで」とひと言添えるだけでも、関係はぐっと変わりますよ。 そして当日は、「あれもこれもできなかった」の減点方式ではなく、「去年より、ここまでできた!」の加点方式で。

完璧じゃなくていい!
二学期は、親もすり減る季節です。夕飯が買ったお惣菜だけの日も、宿題をひとつ飛ばす日もあっていい。完璧じゃなくていいんです。家が「親子で安心して充電できる場所」であれば、子どもはまた明日、自分の足で出かけていきます。この秋を親子で楽しく過ごしていきましょう!

ハロウィンイベントには積極的に参加して秋の思い出作りを楽しんでいました(長女8歳、二男4歳)

【参考文献】 
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 
・発達特性に悩んだらはじめに読む本(Gakken)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ