1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 『肝臓がんになりやすい人』には“共通点”があった。お酒を飲まない人でも要注意…医師が明かす「2つの危険な特徴」とは?

『肝臓がんになりやすい人』には“共通点”があった。お酒を飲まない人でも要注意…医師が明かす「2つの危険な特徴」とは?

  • 2026.10.19
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「お酒はほとんど飲まないから、肝臓の病気とは無縁」と思っていませんか?

しかし、実はお酒を飲まない人でも脂肪肝や肝臓がんのリスクが高まるケースが増えています。「なぜお酒を飲まないのに肝臓にリスクがあるのか?」「自分の日常にどんな危険が潜んでいるのか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、麻酔科専門医の松岡雄治さんに、お酒を飲まない人の肝臓にダメージを与える意外な原因と、今日から始められる具体的な対策について詳しくお話を聞きました。

お酒を飲まないのに肝臓病のリスクが高まるのはなぜ?

---お酒を嗜まない人は「自分は肝臓病とは無縁だ」と思いがちです。なぜお酒を飲まなくても肝臓病のリスクが高まってしまうのでしょうか?

松岡雄治さん:

「お酒を飲まない人の肝臓がんリスクを高める主な原因は、実は『糖分や脂質の摂りすぎ』と『運動不足』にあります。処理しきれなかった余分な栄養が肝臓へ溢れかえり、慢性的な炎症を引き起こしてしまうためです。

お酒を嗜まない方が『自分は肝臓病とは無縁だ』と安心されるのは、ごく自然なことです。
しかし、運動不足や過食が続くと、膵臓から出るインスリンの効き目が悪くなる『インスリン抵抗性』が生じます。すると、処理工場である肝臓へ大量の遊離脂肪酸や糖分が流れ込み、中性脂肪として蓄積して脂肪肝(NAFLD)を作ります。

なお、太っていない方や痩せ型の方であっても、内臓脂肪の蓄積や筋肉量の低下によって脂肪肝になるケース(非肥満型脂肪肝)は珍しくありません。 さらに、工場内に溢れた脂肪が分解される際、排気ガスのように肝細胞にダメージを与える『酸化ストレス』が発生するのです。

【お酒を飲まない人の肝臓にダメージが及ぶフロー】

  1. インスリン抵抗性と脂肪沈着: 糖分や脂質の過剰により、肝細胞へ中性脂肪が大量に溜まります。
  2. 酸化ストレスと慢性炎症: 脂肪の分解時に生じる活性酸素が、肝細胞に日常的なダメージを与えます。
  3. 肝細胞の変性と炎症: ダメージを受けた細胞が大きく腫れ上がり、炎症を伴う脂肪肝炎(NASH)へと進行するおそれがあります。

日常のささやかな偏りが、静かに肝臓の環境を悪化させていくリスクに注意が必要です。」

甘い飲み物と運動不足が招く「脂肪肝からがんへ」の危険な進行

---清涼飲料水の摂取や運動不足が、どのようにして肝臓がんへとつながっていくのでしょうか?

松岡雄治さん:

「清涼飲料水の常飲や運動不足による脂肪肝(MASH/旧称:NASH)は、肝臓を段階的に線維化させ、最終的に肝臓がんを発症させるおそれがあります。溜まった脂肪が肝臓を硬く変化させ、細胞の変性を促すためです。

甘い飲み物で一息ついたり休日に運動を休んだりするのは、誰しも心当たりのあることでしょう。しかし、ジュースに含まれる『果糖』は、ブドウ糖と異なり直接肝臓へ届く“特急便”のように、素早く脂肪へ変わってしまいます。そこに運動不足が重なると筋肉での脂肪燃焼が滞り、脂肪肝の10〜20%が炎症を伴う脂肪肝炎(MASH)へ進展します。

炎症が続くと柔らかな肝臓にコラーゲン線維が溜まり、コンクリートのように硬い『肝硬変』へと変わるおそれがあります。この傷ついた細胞の再生過程で遺伝子の異常が起き、肝臓がんが発生するリスクが高まるのです。さらに注意したいのは、脂肪肝由来のがんは、完全に肝硬変へと硬くなる前の段階(軽度の線維化の段階)から突然発症するケースが2〜3割程度あるという点です。

【脂肪肝から肝臓がんへ至るまで】

  1. 果糖の過剰摂取と急速な脂肪化: 清涼飲料水などに含まれる果糖が、直接肝臓で中性脂肪へと変換されます。
  2. 炎症の持続と肝線維化(肝硬変): 細胞へのダメージと再生が繰り返され、肝臓全体が硬く変化します。
  3. がん細胞の発生と全身への影響: 硬化した組織からがんが生じやすくなり、心筋梗塞などの全身リスクも高まるおそれがあります。

無症状のまま水面下で進行する変化に対し、早めの警戒が必要です。」

今日からできる!肝臓を守るための手軽なアクション

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---肝臓を守るために、私たちは今日から何を始めればよいでしょうか?

松岡雄治さん:

「明日からといわず、今日からできる最良の一歩は、清涼飲料水を水やお茶に変えること、そして健診で『ALTが30』を超えたら消化器内科を受診することです。食事からの果糖を減らしつつ、医療機関で『肝臓の硬さ』を調べることで、重症化する前に改善へ向かうことができるためです。

【明日から実践できる手軽な肝臓の保護アクション】

  • 清涼飲料水を無糖の飲み物へ: ジュースや缶コーヒーを水やお茶に変え、果糖の過剰摂取を防ぎます。
  • 体重の3〜5%減を目指す軽運動: 1日10分の歩行やスクワットなどを加え、筋肉での脂肪燃焼を促します。
  • ALTが30を超えたら専門外来へ: 健康診断の採血で『ALT』が30IU/Lを超えていたら放置せず、消化器内科や肝臓内科を受診してください。

専門外来では痛みのない検査で、肝臓の線維化(硬さ)や脂肪量を確認することができます。
『厳しい食事制限や劇的な運動をしなければ』と過度にご自身を追い詰める必要はありません。ぜひお一人で抱え込まずに、医療を活用してください。」

「お酒を飲まないから安心」からの脱却と今日からのケア

「自分はお酒を飲まないから大丈夫」と思いがちな肝臓のリスクですが、甘い飲み物の摂取や運動不足といった日々の生活習慣が、無症状のまま脂肪肝や炎症、さらには重篤な疾患へと進行させる可能性があることが分かりました。体型に関わらず誰にでも起こり得る病態です。

今日から清涼飲料水を無糖の飲み物に変えることや、1日10分の軽い運動を取り入れることなら、無理なく始められるはずです。また、健康診断でALTが30を超えている場合は健診判定のランクにかかわらず放置せず専門外来を受診するなど、医療を賢く活用しながら肝臓の健康を守っていきましょう。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ