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「しばらくすると治まるから…」“横腹の痛み”を放置した40代女性→夫の勧めで病院を受診すると…検査で発覚した“想定外の異変”

  • 2026.10.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「ときどき横腹がズーンと痛む。でも、しばらくすると治まるから……」疲れや胃腸の不調のせいかなと思い、そのままにしている方は少なくありません。でも、くり返す横腹の痛みの原因が、腎臓にあることもあります。

今回は、くり返す横腹の痛みから、腎臓の病気が見つかった女性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

痛んでは治まる、左の横腹

Bさん(47歳・女性)が左の横腹に痛みを感じるようになったのは、半年ほど前のことでした。鈍い痛みが数時間続いては、いつの間にか治まる。そんなことが月に何度かあったそうです。

「重いものを持ったせいかな、腸の調子が悪いのかな、と。痛みが引くと忘れてしまうんですよね」

しかし、仕事中に痛みで動けなくなったこともあり、ご主人に「一度ちゃんと診てもらったほうがいい」と促されて、近くの内科を受診されました。

超音波検査(エコー)をした医師は、すぐに異変に気づきます。

「左の腎臓が腫れていますね。水腎症(すいじんしょう)といって、尿の流れがどこかで滞っている状態です。泌尿器科で詳しく調べてもらいましょう」

診断は「腎盂尿管移行部狭窄症」

紹介先の泌尿器科では、造影CT検査や、腎臓の働きと尿の流れを調べる「腎臓シンチグラフィー」(放射性の薬を使う検査)などが行われました。その結果、左の「腎盂尿管移行部狭窄症(じんうにょうかんいこうぶきょうさくしょう)」と診断されました。

腎臓でつくられた尿は、腎盂(じんう)という袋状の部分に集まり、尿管という細い管を通って膀胱へ流れていきます。この腎盂と尿管のつなぎ目が狭くなっているのが、腎盂尿管移行部狭窄症です。漏斗の出口が細くなっているようなもの——流れきれない尿が、腎臓の中にたまってしまうのです。

多くは生まれつきの狭さが原因で、子どものうちに見つかることもありますが、大人になって症状が出てから初めてわかる方も少なくありません。腎臓の近くを通る血管が尿管を圧迫していることもあります。

「つなぎ目が狭いため、尿がうまく流れずに腎盂にたまり、腎臓が腫れてしまいます。水分をたくさんとったときなどに腫れが強くなり、それが痛みにつながっていたのでしょう」

医師の説明を聞いてBさんが振り返ると、確かに痛みが出るのは、急に水分をとった時や、暑い日に水分をたくさんとったあとが多かったそうです。

なお、「水分をとると痛むから」といって、自己判断で極端に水分を控えるのは禁物です。脱水症状や熱中症を招くだけでなく、残された腎臓の働きを急速に悪化させるリスクがあります。一度に大量の水分をがぶ飲みすることを避けつつ、まずは医師に適切な水分量や治療方針を相談してください。

また、大人になってから水腎症が見つかった場合、生まれつきの狭さだけでなく、尿管結石や、腎盂・尿管がん、周囲の臓器(子宮や大腸など)の腫瘍による圧迫が原因となっていることもあります。放置せず詳しい画像検査などで原因を突き止めることが極めて重要です。

ロボットを使った「腎盂形成術」で改善

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

腎臓の働きが保たれていて症状がなければ、経過観察となることもあります。しかしBさんの場合は痛みをくり返し、日常生活に支障が出ていました。腫れが続くと腎臓の働きが少しずつ落ちていくおそれもあるため、手術を受けることに。

行われたのは「腎盂形成術(じんうけいせいじゅつ)」です。狭くなった部分を切り取り、腎盂と尿管をつなぎ直します。Bさんが受けたのは、ロボット支援手術。お腹に小さな穴を数か所あけ、ロボットのアームで細かな縫い合わせを行うもので、傷が小さく、体への負担を抑えられるのが特長です。つなぎ目が落ち着くまで尿管に細い管(ステント)を一時的に入れておき、後日抜き取ります。

入院は1週間ほど。

「傷は思っていたよりずっと小さくて、驚きました。あの横腹の痛みがなくなって、もう『また来るかも』と身構えなくていいのが、何よりうれしいです」とBさん。ご主人も「我慢強い人なので、もっと早く病院に連れて行けばよかった」とおっしゃっていました。

くり返す横腹の痛みは、腎臓のチェックも

横腹や背中の痛みは、腸や筋肉、婦人科の病気など、さまざまな原因で起こります。ただ、痛みが何度もくり返すときには、腎臓が関係していることも。水分をとったあとに痛む、片側の横腹や背中が重く痛む、といった症状があるときは、超音波検査で腎臓の腫れがないかを調べてもらうとよいでしょう。水腎症は痛みをほとんど感じないまま進行し、気づいたときには腎臓の機能が失われてしまうケースもあるため、健診のエコーなどで偶然指摘された際も、自覚症状がなくても必ず泌尿器科を受診してください。

そして最も警戒すべきなのが、横腹や背中の痛みに加えて「38度以上の高熱」や「ガタガタと震えるような寒気(悪寒)」が現れた場合です。尿の流れがせき止められた場所で細菌が急激に増殖する「閉塞性腎盂腎炎」を起こしている可能性があり、短時間で全身に菌が回る命に関わる危険な状態(敗血症)に陥ることがあります。この場合は夜間や休日であっても決して様子を見ず、直ちに救急医療機関を受診してください。

「治まったから大丈夫」ではなく、「なぜくり返すのか」に目を向けること——それが、腎臓を守る第一歩です。


執筆・監修:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医


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