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「こめかみがズキズキ痛む…」“市販薬”を飲んで放置した70代女性→診断された“意外な病名”に「もっと早く気づいていれば…」

  • 2026.10.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「こめかみがズキズキ痛む…歳をとれば、どこかしら痛むのは当たり前。市販の薬で様子を見よう」しばらく我慢を重ねていましたが、ある日突然、片目の視界が真っ暗になり、慌てて病院を受診したAさん(70代女性)。

診断の結果は「巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)」でした。視力に重大な影響が残り、「もっと早く気づいていれば…ただの頭痛だと油断しなければよかった」といまでも後悔していると語っています。

今回は、こめかみの頭痛に潜む「巨細胞性動脈炎」が目の神経にダメージを与えるメカニズムについて解説します。

目の神経へ向かう「血管へのダメージ」の恐怖 

「ただの頭痛」だと思っている間に、体内では免疫が誤って自分の血管を攻撃し、激しい炎症を引き起こしているのが、この病気の怖さです。その局所的なメカニズムを整理すると、次のような流れで目に影響が生じます。

【頭痛から視力低下へ至る悪循環フロー】

  • こめかみの血管(側頭動脈)への強い炎症:免疫の誤作動により、こめかみの血管に強い炎症が発生する。
  • 血管の壁の肥厚と血流低下:血管の壁が厚く腫れ上がり、血液の通り道が極端に狭くなる。
  • 視神経への波及と酸素不足:炎症が、目の奥の視神経へ栄養を送る血管へ波及し、血流が遮断されて神経細胞が深刻なダメージを受ける可能性もあります。

「いつもの偏頭痛」と「危険な血管炎」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「少し頭が痛いくらいで受診なんて大げさかな」「市販薬で様子を見よう」と思うのはよくあることです。
しかし、知らず知らずのうちに「危険な条件」が重なってしまうと、症状が進行してしまいます。特に注意していただきたいのが、以下の「NG条件」が組み合わさったときです。

  • 50歳を過ぎてから「人生で初めて経験するタイプ」の頭痛がする
  • 市販の痛み止めを飲んでも、根本的な痛みが解決しない
  • 痛みを「ただの疲れ」や「加齢」だと自己判断して放置する

この病気には「普通の偏頭痛」と見分ける手がかりがあり、大きな特徴の一つは「食事中に顎が疲れるかどうか」です。

噛む動作を続けると顎の筋肉が酸素不足になり、途中で顎がだるくて休んでしまう「顎跛行(がくはこう)」という症状が重なることがあります。これらは単なる疲れではなく、血管に炎症が起きているサインの可能性が高いのです。

また、若い頃の偏頭痛は頭の片側が脈打つように痛みますが、巨細胞性動脈炎はこめかみの血管がコブのように硬く浮き出て、触れるだけで激しい痛みが走る特徴があります。市販の痛み止めでは血管の炎症そのものを止めることはできないため、初期段階で適切な診断を受けることが大切です。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

日常の中で以下のような初期症状や進行のサインを感じた場合、それは血管が悲鳴を上げているサインです。放置せず、すぐに眼科や膠原病内科、循環器内科などを受診してください。

1.こめかみの血管が硬く浮き出て、指で触れると痛む

血管の壁が炎症で厚くなり、圧痛が生じている最大の証拠かもしれません。

2. 食事の途中で顎がだるくなり、噛むのを休みたくなる

顎の筋肉に血液が十分に届かず、酸素不足を起こしているサインの可能性があります。

3. 視界が一瞬暗くなる、あるいはかすみや見えにくさがある

目の神経へ繋がる血管が詰まりかけている、非常に危険な兆候です。

こめかみの頭痛や目の違和感に気がついたら

もしかするとと思った方は、ぜひ今日からできる一番簡単な一歩として、以下の3つの対処法から実践してみてください。

  • 鏡の前で、こめかみの血管に硬い腫れや強い痛みがないかそっと指で触れて確かめる
  • 視界のかすみや、噛むときの顎のだるさなど、頭痛以外の「別のサイン」がないか意識する
  • 少しでも違和感があれば、自己判断で市販薬を飲み続けず、すぐに医療機関を受診して相談してみる

以前はこめかみの皮膚を切開して血管を調べる検査を行っていましたが、現在は「超音波検査」などで、身体に傷をつけずに痛みを伴わず迅速に診断できる方法も普及してきています。また、お薬による治療も進歩しており、ステロイドの副作用を抑えながら炎症を鎮める新しいお薬も使えるようになり、安心して治療を続けやすくなりました。

片方の目の見え方に違和感が出た段階で直ちに治療を始めれば、もう片方の大切な目を守ることにもつながります。「いつもの」頭痛が後悔につながることのないよう、ぜひ日頃から体のSOSに気をつけていきましょう。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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