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「股関節が痛む…」“歩きすぎ”と放置した50代男性→数ヶ月後、激痛で救急搬送され…“発覚した病気”に「あの時、受診していれば…」

  • 2026.10.15
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出典元:photoAc(※画像はイメージです)

こんにちは、麻酔科専門医の松岡雄治です。

「ちょっと股関節や膝が痛むけれど、歩きすぎただけだろう」と放置していたAさん(50代男性)。

しかし数か月後、立ち上がった瞬間に股関節に激痛が走り、自力で歩けなくなり救急搬送。受診したところ、足の付け根の骨が血流不足で壊死する「特発性大腿骨頭壊死症(とくはつせいだいたいこつとうえししょう)」と判明しました。

一命は取り留めたものの、手術が必要となり「いつまで車椅子生活なのか…。あの時、受診していれば…。」といまでも後悔していると語っています。

今回は、足の付け根の骨に潜む「骨の崩壊」の恐ろしいメカニズムについて解説します。

血流途絶による「骨の崩壊」の恐怖

「筋肉痛や関節炎だろう」と思っている間に、実は「骨そのものが血流不足で壊死する」という物理的破壊が進んでいるのが、この病気の怖さです。

【大腿骨頭が壊死するまでのフロー】

  1. 血管の閉塞と栄養不足:大量の飲酒やステロイド薬の使用などにより、体重を支える大腿骨頭(足の付け根のボール状の骨)へ向かう細い血管の血流が滞るなど、骨内の微小な循環障害や内圧上昇が起こる。
  2. 骨組織の無菌性壊死:血液が届かなくなった骨の組織が壊死し、骨の強度が急激に低下する(※この時点ではまだ痛みはない)。
  3. 体重負荷による骨頭の圧潰:壊死して脆くなった骨が体重の負荷に耐えきれずにバリッと潰れ(圧潰)、激しい痛みと関節の破壊を引き起こす。

「たまの晩酌」と「骨を壊す飲酒」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

一日の終わりに好きなお酒を飲んでリフレッシュすることや、持病の治療のためにステロイド薬を服用することがこのような事態につながるとは思いもよらないかもしれません。

しかし、知らず知らずのうちにリスクが高まる「境界線」が存在します。特に注意していただきたいNG習慣や条件は以下の通りです。

  • 日本酒換算で毎日2合以上(ビールなら大瓶2本以上)の習慣的な飲酒
  • プレドニゾロン換算で1日15mg以上のステロイド薬の服用歴
  • 「違和感があるのに、湿布や鎮痛剤だけで様子を見る」放置

    ※持病でステロイドを服薬中の方は、壊死を恐れて自己判断で薬を中断・減量すると持病が悪化して危険です。必ず主治医にご相談ください。

この病気の最大の落とし穴は、血管が詰まって「骨が壊死する」タイミングと、骨が潰れて「激痛が出る」までに数か月から数年のタイムラグがあることです。昔の飲酒習慣や過去の服薬の影響が、忘れた頃にやってくるのです。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

「単なる筋違いや疲労」と「骨頭の破壊」を見分けるために、ご自身で確認できる3つの重要サインがあります。

1.立ち上がりや一歩目を踏み出した瞬間の「足の付け根(鼠径部)の強い痛み」

体重がかかった瞬間に壊死した骨頭へ直接負荷がかかる「荷重時痛」の明確なサインかもしれません。

2. 股関節だけでなく「膝や腰、お尻に広がる謎の痛み」

股関節の異常が神経を伝わり、膝や腰の痛みとして錯覚(放散痛)されることが多くあります。

3. 「安静にしていたら2〜3週間で痛みが引いた」あとの痛みの再燃

初期は安静で痛みが一時的に和らぐ特徴がありますが、放置すると骨の潰れが進行し、より強い激痛となって襲ってきます。

足の付け根の違和感に気がついたら

「お酒を楽しく飲みたい」「痛いけれど我慢できる」と油断してしまうのは、ごく自然なことです。

もし少しでも足の付け根や膝に違和感があれば、まずは「整形外科を受診して相談してみる」という一歩を踏み出してみましょう。レントゲンに映らない初期の段階でも、MRIなら早期発見が可能です。早く発見できれば、人工関節ではなく「自分の骨を残す手術」が選択できる可能性も高まります。

また、骨の圧潰が進んで人工関節の手術が必要になった場合でも、現代の人工股関節置換術は確立された治療法であり、適切なリハビリを行うことで痛みのない歩行や日常生活への復帰が十分に目指せます。

また、指定難病として医療費助成制度が利用できる場合もあり、経済的・心理的な不安を大きく和らげることができる可能性もあります。

ご不安をそのままにせず、是非一度ご相談ください。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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