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何をしていても、何をされても愛おしい。12年間一緒に暮らす高齢猫との何気ない日々を綴った、猫好きにはたまらない癒やしのコミックエッセイ【書評】

  • 2026.9.26

【漫画】本編を読む

猫と暮らしていると、何気ない毎日が少しだけ特別になる。朝起きれば隣で丸くなって眠っていて、晴れの日は一緒に日向ぼっこ。そんな小さな出来事の積み重ねが大切な思い出になっていく。『じじ猫くらし』(ふじひと/KADOKAWA)は、12年間一緒に暮らしているおじいちゃん猫との穏やかな日常を描いた、心温まるコミックエッセイだ。

本作の主人公はタイトルにもなっている「じじ猫」だ。人間でいうと60代を超えるのだが、その行動はどこまでも自由で愛らしい。

さっきご飯を食べたばかりなのに、食卓に一番乗りして「まだ食べてません」という顔をしたり、横になっている飼い主をなぜかわざわざ踏んでいったり、膝の上から降りてくれなかったり。そうかと思えば、仕事で夜遅く帰ってきたときに、寝ていた猫が起きて玄関で出迎えてくれる。そんな猫の気まぐれな行動に振り回され、早寝早起きを強いられる健康的な生活も、飼い主にとっては至福の時間なのだ。

そのなかでも、飼い主がじじ猫の行動のひとつひとつを見つめ、猫の表情から何を考えているかを想像しているところが印象的だ。そして猫がどんなことをしていても全てがかわいく見えてしまうのは、猫を飼ったことのある人ならば大いに理解できる感情だろう。長年一緒に暮らしているからこそ生まれる深い信頼関係も描かれ、全てのページからその溺愛ぶりを感じられるのである。

また、親しみやすいやさしいタッチの絵柄で、各エピソードもコンパクトにまとまっているため、気軽に読めるのも大きな魅力だ。ページをめくるたびに、じじ猫ののんびりした空気に癒やされるので、猫を飼ったことのない人でも楽しめる。

本作は、決して特別ではない、穏やかな猫との日常を届けてくれる。そのなんでもない日々がどれだけかけがえのないもので、どれだけ幸せなものなのかを伝えてくれるのだ。疲れた日などにページをめくり、癒やしのひとときを送ってほしい。

文=坪谷佳保

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