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冬のお風呂でやりがちなNG5つ 事故は10月から増える

  • 2026.9.24

冬は入浴中の事故が増える季節です。消費者庁の資料では、令和6年に浴槽で亡くなった65歳以上の人は7,363人で、交通事故の3倍以上。月別の公的データ3種を9月と比べると、10月にはどれも約2倍に増えていました。脱衣所の寒さ、熱いお湯、急に立ち上がるなど、冬のお風呂でやりがちなNG5つをまとめました。

朝晩が冷えてくると、熱いお風呂が恋しくなる季節です。でも冬のお風呂は、入浴中の事故が増える時期でもあります。特に多いのは65歳以上の人ですが、実家の親や祖父母のことを思い浮かべた人もいるかもしれません。
この記事でわかることは次のとおりです。
・お風呂で亡くなる人はどのくらいいるのか(消費者庁がまとめた最新の数字)
・入浴中の事故は何月から増えるのか(公的な月別データ3種を、9月と比べて計算)
・脱衣所の寒さ・お湯の温度・立ち上がり方など、冬のお風呂でやりがちなNG5つと代わりにできること
・浴槽でぐったりしている人を見つけたときの手順
根拠にしたのは、消費者庁・政府広報オンライン・国土交通省の公表資料です。

お風呂で亡くなる65歳以上は1日約20人 交通事故の3倍以上

消費者庁が厚生労働省の「人口動態統計」をもとにまとめた資料によると、令和6年に浴槽内での溺死及び溺水(浴槽への転落を含む)で亡くなった人は7,776人。このうち65歳以上が7,363人で、約95%を占めています。
同じ年に交通事故で亡くなった65歳以上の人は2,103人。消費者庁は、浴槽での死亡者数はその3倍以上だとしています(weboo編集部の計算では3.5倍)。
7,363人を1年(2024年はうるう年なので366日)で割ると、1日あたり約20人。65歳以上の交通事故(1日あたり約5.7人)と比べると、お風呂での事故の多さがわかります。
なお、入浴中に急に亡くなった人の中には、心疾患や脳血管障害など、溺水以外の病死などが死因と判断される場合もあり、そうしたケースはこの溺死の数には入りません。消費者庁は、厚生労働科学研究(平成24〜25年度)が東京都・山形県・佐賀県の救急隊のデータをもとに、病死なども含めた全国の入浴中の急死者数を年間約19,000人と推計したことを紹介しています。

出典 www.caa.go.jp

年代別に見ると、80歳以上が4,717人(60.7%)、65〜79歳が2,646人(34.0%)でした。ただ、15〜64歳でも393人が亡くなっていて、若い世代でもゼロではありません。
政府広報オンラインは、特に65歳以上の人に加えて、血圧が不安定な人や、風呂場でめまいや立ちくらみを起こしたことがある人も注意が必要だとしています。
※令和5年の数字では、65歳以上の浴槽での死亡は6,541人、交通事故は2,116人で、政府広報オンラインは「およそ3倍」としています。

入浴中の事故は10月から増える 9月の2倍を超える

消費者庁は、入浴中の事故は11月から4月の冬季を中心に多く発生するとしています。では、実際には何月ごろから増えるのでしょうか。
消費者庁のコラムに載っている、令和5年の65歳以上の「不慮の溺死及び溺水」の月別の死亡者数(計8,270人)を見ると、いちばん少ないのは9月の214人、いちばん多いのは12月の1,387人。12月は9月の約6.5倍です。
この数字は浴槽以外(川や海など)での溺死も含みますが、同じ年の8,270人のうち6,541人(約8割)は浴槽での事故でした。

出典 www.caa.go.jp

消費者庁の資料には、ほかにも月別の数字が2つあります。3つのデータで、1年で少ない時期にあたる9月を1としたときに何倍になるかを、weboo編集部で計算しました(全国の2つは9月がいちばん少なく、東京消防庁のデータは8月がいちばん少なく9月が2番目です)。
・全国の溺死(令和5年):10月2.4倍・11月3.8倍・12月6.5倍・1月6.2倍
・全国の浴槽での溺死(令和元年):10月2.4倍・11月4.7倍・12月7.5倍・1月9.6倍
・東京消防庁の救急搬送(令和5年):10月2.1倍・11月4.7倍・12月9.4倍・1月8.7倍
データの種類も年も違いますが、3つとも10月には9月の2倍を超え、11月には3.8〜4.7倍、12月と1月には6.2〜9.6倍になっていました。
また、11月から4月までの6か月が1年に占める割合は、それぞれ73.5%・78.5%・78.3%。1年のうち7〜8割が、この半年に集まっています。
データの上では、10月にはもう増え始めています。真冬を待たずに、10月のうちにお風呂の習慣を見直しておくと安心です。

出典 www.caa.go.jp

数字を見るときの注意
・全国の溺死(令和5年):65歳以上の不慮の溺死及び溺水。浴槽以外も含む(うち約8割が浴槽)
・全国の浴槽での溺死(令和元年):65歳以上の浴槽内の溺死及び溺水。発生月が分かっている4,738件
・東京消防庁の救急搬送(令和5年):65歳以上の溺れる事故の搬送人員。浴槽以外も含む
令和元年の浴槽のデータは消費者庁が独自に集計したもので、公表されている数値とは一致しない場合がある、とされています。東京消防庁のデータは救急搬送の人数で、亡くなった人の数ではありません。倍率はweboo編集部が月別の数字から計算した値で、10月に事故が増える理由を示すものではありません。

冬のお風呂は温度差と熱いお湯に注意

政府広報オンラインは、入浴時の事故が多くなる原因の一つを、急な温度差による血圧の急激な変化だと説明しています。急激な温度の変化で血圧が大きく変動するなど、体に負担がかかることは、一般に「ヒートショック」とも呼ばれます。
・暖かい部屋から冷えた脱衣所・浴室に移ると、血管が縮まり、血圧が一気に上がる
・浴槽で体が温まってくると血管が広がり、上がった血圧が下がる
・この急な変化で、脳に血液が回らない貧血のような状態になり、一時的に意識を失うことがある
浴槽の中で意識を失うことが、溺れて亡くなる事故の原因の一つとして考えられています。
消費者庁は、もうひとつの原因として、熱いお湯に長くつかることによる体温の上昇での意識障害も挙げています。次のNG5つは、この2つを避けるための工夫です。

NG1|寒い脱衣所で服を脱ぎ、冷えた浴室にそのまま入る

リビングは暖房で暖かいのに、脱衣所と浴室は冷えたまま……という家もあるのではないでしょうか。服を脱いで寒い浴室に入ると、さきほどの血圧が一気に上がる状態になります。
国土交通省は、居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる「熱め入浴(42℃以上)」が約1.7倍に増加するという調査結果を紹介しています。寒い家では、熱めのお湯に入る人が増えるという結果です。

代わりに:入浴前に脱衣所と浴室を暖めておく。
消費者庁と政府広報オンラインは、浴室に暖房設備がない場合の工夫として、次の方法を挙げています。
・お湯を浴槽に入れるときに、シャワーから給湯する
・浴槽のお湯が沸いたら、よくかき混ぜて湯気を立て、ふたを外しておく
脱衣所は、お風呂を沸かすときに暖房器具で暖めておきましょう。消費者庁は、温度計を使って部屋ごとの温度差を「見える化」することもすすめています。

NG2|熱めのお湯に、肩までじっくり長くつかる

寒い日ほど、熱いお湯にゆっくりつかりたくなります。でも政府広報オンラインは、42度のお湯で10分入浴すると、体温が38度近くに達し、高体温などによる意識障害を起こす危険が高まると書いています。

代わりに:湯温は41度以下、つかるのは10分までを目安に。
この「41度以下・10分まで」は、厚生労働科学研究の報告書にある「安全な入浴の手引き」で推奨されている目安として、消費者庁が紹介しているものです。
お湯の温度や入っている時間は、自分では気づきにくいもの。湯温計やタイマーを使って「見える化」するのがおすすめです。お湯に入る前は、心臓から遠い足先から順にかけ湯をして、体をお湯の温度に慣らしましょう。消費者庁は、脱水を防ぐために入浴前の水分補給もすすめています。

NG3|上がるとき、浴槽からザバッと急に立ち上がる

お湯につかっている間は、体に水圧がかかっています。政府広報オンラインによると、急に立ち上がると水圧がなくなり、圧迫されていた血管が一気に広がって、脳に行く血液が減り、意識を失ってしまうことがあります。浴槽から立ち上がったときに、めまいや立ちくらみを起こしたことがある人は要注意です。

代わりに:手すりや浴槽のへりを使って、ゆっくり立つ。
消費者庁は、浴槽内で意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜くことも挙げています。「なんだかくらくらする」と感じたら、立ち上がる前に栓を抜く。覚えておくと、いざというときに役立ちます。

NG4|食事のすぐ後や、お酒・薬を飲んだ後に入る

夕食のあと、ひと息ついてすぐお風呂に……という日もあるかもしれません。でも政府広報オンラインは、高齢者は食後に血圧が下がりすぎる「食後低血圧」で失神することがあるとしています。お酒を飲んだ後も、一時的に血圧が下がります。

代わりに:食後すぐ・飲酒後・医薬品の服用後の入浴は避ける。
飲酒後は、アルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。政府広報オンラインは、体調が悪いときや、精神安定剤・睡眠薬などを飲んだ後も入浴は避けるよう呼びかけています。忘年会や年末年始の集まりで飲んだ日は、お風呂は翌日に回すくらいの気持ちで。

NG5|家族に何も言わずに入る/家族も気にしない

入浴中に具合が悪くなっても、浴室の中の様子は外からはわかりません。家族がいても、お風呂に入っていることを誰も知らなければ、見つけるのが遅れてしまいます。
入浴中の事故は、持病や前兆がない場合でも起こるおそれがあります。政府広報オンラインは、「自分は元気だから大丈夫」と過信しないよう呼びかけています。

代わりに:入る前にひと声。長い・音がしないときは声をかける。
入浴する前に、同居している家族に「お風呂に入るね」とひと声。家族のほうも、お風呂に入っていることを気にかけておき、「時間が長い」「音が全くしない」「突然大きな音がした」など、何か異常を感じたらためらわずに声をかけましょう。離れて暮らす親には、この記事のNG5つを電話やメッセージで伝えておくのもひとつの方法です。

浴槽でぐったりしている人を見つけたら

政府広報オンラインは、浴槽でぐったりしている人(溺れている人)を見つけたときの対応を、次のようにまとめています(可能な範囲で)。
・浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める
・浴槽から出せるようなら救出する。出せないときは、ふたに上半身を乗せるなどして沈まないようにする
・直ちに救急車を呼ぶ
・浴槽から出せたら、両肩をたたきながら声をかけ、反応があるか確かめる。反応がなければ呼吸を確かめる
・呼吸がなければ胸骨圧迫を始め、救急車が着くまで続ける
まず「栓を抜く」。お湯を減らすことが、最初の一手です。

よくある質問

入浴中の事故が多いのは何月ですか

消費者庁は11月から4月の冬季を中心に多いとしています。令和5年の65歳以上の溺死及び溺水の月別の数字では、12月が1,387人でいちばん多く、次が1月の1,330人でした。いちばん少ない9月(214人)から、10月にはもう約2.4倍(507人)に増えています。

若い人でも気をつけたほうがいいですか

令和6年の浴槽での死亡7,776人のうち、約95%は65歳以上ですが、15〜64歳も393人いました。政府広報オンラインは、血圧が不安定な人や、風呂場でめまいや立ちくらみを起こしたことがある人も注意が必要だとしています。脱衣所を暖める・急に立ち上がらない・飲酒後は入らないといったポイントは、年齢にかかわらず取り入れやすいものです。

「41度以下・10分まで」は必ず守らないといけませんか

消費者庁と政府広報オンラインが示しているのは、「目安」です。厚生労働科学研究の報告書にある「安全な入浴の手引き」で推奨されている目安で、消費者庁の令和7年12月の資料では「熱いお湯での入浴及び長時間の入浴は避け、湯温や入浴時間などについて温度計やタイマーを活用して見える化をしましょう」と書かれています。まずは、ふだんのお湯の温度と入っている時間を測ってみるところから始めましょう。

まとめ 冬のお風呂は10月から見直す

冬のお風呂でやりがちなNGと、代わりにできることをおさらいします。
・寒い脱衣所で服を脱ぎ、冷えた浴室にそのまま入る → 入浴前に脱衣所と浴室を暖めておく
・熱めのお湯に、肩までじっくり長くつかる → 湯温は41度以下、つかるのは10分までを目安に
・上がるとき、浴槽からザバッと急に立ち上がる → 手すりや浴槽のへりを使って、ゆっくり立つ
・食事のすぐ後や、お酒・薬を飲んだ後に入る → 食後すぐ・飲酒後・医薬品の服用後の入浴は避ける
・家族に何も言わずに入る/家族も気にしない → 入る前にひと声。長い・音がしないときは声をかける
令和6年に浴槽で亡くなった65歳以上の人は7,363人(1日あたり約20人)で、交通事故の3倍以上。月別に見ると、少ない時期の9月と比べて、10月には2倍を超えていました。
脱衣所を暖めて、お湯は41度以下・10分まで、ゆっくり立って、飲んだ日は入らない。そして入る前にひと声。寒さが本格的になる前の今のうちに、家族みんなのお風呂の習慣を見直してみてください。

※本記事は入浴中の事故の予防に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言や個別の診断に代わるものではありません。
持病がある方や血圧が気になる方の入浴については、かかりつけの医師にご相談ください。入浴中や入浴後に意識がない・呼吸がおかしいなどの異常があるときは、ためらわずに救急車を呼んでください。
※死亡者数・搬送人員は、消費者庁の資料(厚生労働省「人口動態統計」、東京消防庁のデータをもとに消費者庁が作成したもの)によります。月別のデータは種類・年・対象がそれぞれ異なります。9月を1としたときの倍率、11〜4月の割合、1日あたりの人数、交通事故との倍率は、weboo編集部がこれらの数字から計算した値です。記事の情報は2026年9月23日時点のものです。

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