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「こんな混んでる電車にベビーカーなんて」嫌味を言う乗客。だが、年配女性の一言に周囲が動いた

  • 2026.9.22
「こんな混んでる電車にベビーカーなんて」嫌味を言う乗客。だが、年配女性の一言に周囲が動いた

夕方の車内に響いた舌打ち

平日の夕方、仕事帰りに乗った私鉄の電車は、つり革がほとんど埋まるほど混んでいた。

私はドアの近くに立ち、窓に映る自分の疲れた顔をぼんやり眺めていた。

途中の駅でドアが開き、ベビーカーを押した若いお母さんが乗ってきた。中では小さな赤ちゃんが、ガーゼのタオルを握ったまま眠っていた。

お母さんは周囲に「すみません」と声をかけながら、ゆっくり車内へ入ってきた。

すると、すぐ近くに立っていた50代くらいの男性が舌打ちをした。

「こんな混んでる電車にベビーカーなんて…」

決して大声ではなかったが、近くにいた私にもはっきり聞こえた。

お母さんの表情がこわばる。

「すみません…」

そう言って、ベビーカーをできるだけ自分のほうへ引き寄せた。

それでも男性は不満そうにベビーカーを見て、もう一度口にした。

「ほんと、こんな混んでる電車にベビーカーなんて困るよ」

お母さんはうつむきながら、さらに小さな声で答えた。

「すみません。できるだけ端に寄りますので…」

私は「そこまで言わなくても」と思った。でも、知らない人に声をかける勇気が出ない。何か言わなければと思うほど、逆に言葉が出てこなかった。

年配の女性が先に動いた

そのとき、お母さんの隣に立っていた70代くらいの女性が、男性のほうを向いた。

「お母さんだって、電車に乗らなきゃいけないときはあるでしょう」

男性が女性を見る。

女性はそれ以上何か言うのではなく、周囲を見回した。

「こっち、少し詰めれば入りそうね」

そして私に、「少しだけ詰めましょうか」と声をかけた。

「あ、はい」

ようやく声が出た。

私は隣の人にぶつからないよう少し奥へ寄り、女性も同じように体をずらした。それを見た近くの会社員や学生も、少しずつ間を詰めてくれた。

すると、ドア脇の壁ぎわにベビーカーが収まるだけの場所ができた。

「ありがとうございます。本当にすみません」

お母さんは何度も頭を下げた。

女性は首を横に振った。

「謝らなくて大丈夫よ。赤ちゃん、ぐっすりね」

そう言ってベビーカーをのぞくと、お母さんも少しだけ笑った。

男性はそれ以上何も言わず、つり革を握ったまま窓のほうを向いていた。

しばらくして、私は年配の女性に小さな声で話しかけた。

「さっき、私も何か言わなきゃって思ったんです。でも、全然声が出なくて……」

女性は私を見て、少し笑った。

「急にあんなこと言われたら、なかなか言えないわよ」

「でも、何も言えなかったのがちょっと嫌で」

「でも一緒に詰めてくれたじゃない。それで助かったと思うわよ」

その言葉に、私は少しだけ肩の力が抜けた。

赤ちゃんは、そんなやり取りのあいだもずっと眠ったままだった。

やがて私が降りる駅に着いた。ホームへ出る前に振り返ると、お母さんがこちらを見て小さく頭を下げた。

私も会釈を返した。

あの女性のようにすぐ声を出すことはできなかった。それでも、誰かが動いたときに一緒に動くことならできる。改札へ向かいながら、そんなことを考えていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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