1. トップ
  2. エピソード
  3. 「くじで決まった場所に戻っていただけますか?」運動会で最前列に座ったママ友。だが、係の先生が告げた正論

「くじで決まった場所に戻っていただけますか?」運動会で最前列に座ったママ友。だが、係の先生が告げた正論

  • 2026.9.22
「くじで決まった場所に戻っていただけますか?」運動会で最前列に座ったママ友。だが、係の先生が告げた正論

後ろの席だったはずのママ友が最前列へ

三十代の私は、小学二年生の息子の運動会に来ていました。

観覧席は毎年くじ引きで決まり、校庭のまわりには番号を書いた札が並んでいます。私の場所は二列目で、最前列の様子もよく見える位置でした。

開会式の前、保護者たちが自分の番号を探していると、同じクラスのママ友が苦笑いしながら話していました。

「今年、けっこう後ろだったんだよね。ちゃんと見えるかなあ」

そのため、私は彼女の観覧場所が後ろの列だと知っていました。

ところが開会式が終わったころ、そのママ友が大きなレジャーシートを抱えて最前列へやって来ました。

そこには、仲のいい保護者たちが座っていました。

「ねえ、ここなら一緒に見られるよね。ちょっと詰めてもらってもいい?」

一人が少し戸惑ったように顔を上げます。

「でも、席は後ろじゃなかった?」

「そうなんだけど、せっかくだし。ここなら一緒に見られるよね」

そう言いながら、ママ友は持ってきたシートを広げました。

周りにいた仲のいい保護者も荷物を寄せ、気づけば5〜6人がまとまって座っています。

当然、その人数では一つの区画に収まりません。

シートの端は隣の区画にまで入り込み、もともとそこにいた家族の場所がかなり狭くなっていました。

小さな子どもを抱いた家族の一人が、遠慮がちに声をかけます。

「すみません。ここ、うちの番号の場所なんですけど…」

ママ友は慌てたように振り返りました。

「あ、ごめんなさい。もう少し寄りますね」

みんなで身体を寄せましたが、それでも十分な広さにはなりません。

その家族は困ったように顔を見合わせ、結局少し後ろへ下がりました。

二列目にいた私も、ずっとその様子が気になっていました。

何か言ったほうがいいのかもしれない。そう思っても、同じクラスの保護者同士だと思うとなかなか口を挟めませんでした。

係の先生が座席表を確認した

二年生のかけっこが近づいたころ、腕章をつけた係の先生が観覧席を見回りに来ました。

先生は最前列に大勢が集まっているのを見ると、番号の札と手元の座席表を確認してから声をかけました。

「すみません。少し確認させてください。皆さん、この区画のお席でしょうか?」

集まっていた人たちが顔を見合わせます。

すると、後ろの席だったママ友が少し気まずそうに答えました。

「私は後ろなんですけど…せっかくだから、みんなと一緒に見たいなと思って」

先生はうなずき、手にしていた座席表を広げました。

「そうだったんですね。ただ、番号ごとに観覧場所が決まっていて、隣のご家族の場所まで狭くなってしまっているんです」

そして座席表を確認しながら続けました。

「申し訳ありませんが、くじで決まった場所に戻っていただけますか?」

ママ友は座席表を見たあと、少し離れたところに立っていた家族へ目を向けました。

「……すみません」

一緒にいた人たちも「片づけようか」と声をかけ合い、荷物を持ち上げ始めます。

ママ友は自分のシートをたたむと、くじで決まっていた後ろの列へ戻っていきました。

先生は、場所を空けるために下がっていた家族へ声をかけます。

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

「ありがとうございます」

家族はほっとした様子で元の場所へ戻り、小さな子どもを抱いたまま座り直しました。

やがてスタートの合図が鳴り、二年生のかけっこが始まりました。

さっきまで少し落ち着かなかった観覧席も、その瞬間にはみんなが子どもたちの走る姿へ目を向けていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ