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「元々運動神経が良かっただけよね」息子を評した保護者。だが、監督に息子の様子を聞いて知った、私も知らなかった努力

  • 2026.9.22
「元々運動神経が良かっただけよね」息子を評した保護者。だが、監督に息子の様子を聞いて知った、私も知らなかった努力

すれ違いざまに置いていかれた言葉

息子が小学3年生だったころ、週末になると私は地域のドッジボールチームの練習に付き添っていた。50代になった今でも、体育館の床がきしむ音まで思い出せる。

息子は体が大きいほうではなかったが、監督からは早くから上手だと言われていた。

その話は、いつのまにかほかの保護者にも伝わっていたらしい。

その日の練習が終わり、帰ろうとしていたときだった。

4年生の娘さんがいるお母さんとすれ違うと、彼女が私のほうをちらりと見た。

「でも、元々運動神経が良かっただけよね」

突然のことで、私は「え?」としか返せなかった。

すると彼女は少し先で足を止め、もう一度こちらを振り返った。

「元々運動神経がいいんだから。うちなんて、注意されてばっかりだし」

体育館の隅では、娘さんが黙ってボールを拾い集めていた。

何と返せばいいのか分からず、私は曖昧に会釈してその場を離れた。

家に帰ってからも、その言葉が頭に残っていた。夕食のあと、夫が私の顔を見て声をかけてきた。

「どうした?今日、何かあった?」

「ちょっとね。『元々運動神経が良かっただけよね』って言われたの」

夫は少し眉を寄せた。

「それは嫌な言い方だな。でも、息子が普段どうやってるかは、監督が一番見てるんじゃない?」

「そうだね。私も、ちゃんと聞いたことなかったかも」

監督が見ていた息子の姿

次の練習日、子どもたちが片付けをしているときに、私は監督へ声をかけた。

「すみません。うちの子って、練習ではどんな感じですか?」

監督は少し考えてから答えた。

「動きはいいですよ。でも、それだけじゃないですね」

「それだけじゃない?」

「注意したところを、次の練習ですぐ直そうとするんです。うまくできないと、同じ動きを何度も確認してますよ」

私は少し驚いた。練習には付き添っていたものの、ほかの子どもたちもいる中で、そこまで細かく息子の様子を見ていたわけではなかった。

「そんなことしてたんですね。本人は家で何も言わないので」

「そういう子、多いですよ。言われたことをちゃんと聞いて、やってみようとするのは息子さんのいいところだと思います」

監督の話を聞き、私は少しだけ胸のつかえが取れた気がした。

息子が上手なのは、単に運動が得意だからだけではなかった。私自身も知らなかった頑張りを、監督はきちんと見てくれていた。

次に会ったとき、伝えたこと

練習が終わり、体育館の入り口へ向かうと、あのお母さんと顔を合わせた。

少し迷ったものの、この前の言葉がまだ心に残っていた私は、なるべく普通の調子で話しかけた。

「この前の話なんだけど、今日、監督に息子のことを聞いてみたんです」

彼女がこちらを見た。

「運動が得意だからだけじゃなくて、注意されたところを何度も練習してるって。私も知らなかったんですけどね」

彼女はすぐには返事をしなかった。

少し間を置いてから、視線を落として小さく答えた。

「…そうなんだ。ちゃんと頑張ってるんだね」

「みたいです。家では全然言わないから、私も今日初めて知りました」

そう返すと、彼女は小さくうなずいた。

それ以上、どちらもその話を続けなかった。

子どもの上達には、もともと得意なこともあれば、周りからは見えにくい努力もある。あの日の私は、監督の話を聞いて、息子のことを自分も全部知っているわけではなかったのだと気づいた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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