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常連客「指名を外したら法的手段も考える(笑)」→耐えかねて異動した結果……

  • 2026.9.19
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美容師という仕事は、お客さまとの距離が近い。

それがこんなに重くのしかかってくるとは、当時の私には想像もできなかった。

「君だけが俺をわかってくれる」の違和感

その男性——坂本さん(仮名・40代)が初めて来店したのは、私が担当スタイリストとして独り立ちして間もない頃だった。

地元で工務店を経営しているとかで、身なりもよく、話も上手い。最初の数回は、ごく普通の常連さんだった。

変化に気づいたのは、通い始めて半年ほど経った頃。月に1回だったペースが、いつの間にか月3回になっていた。

「忙しいのに来てくださるんですね」と言うと、「君に会いに来てるんだから当然でしょ」と笑った。

——当然?

ハサミを持つ手が、一瞬止まった。

「仕事終わりに一杯どう?」がエスカレートする日々

その後、坂本さんの言動は少しずつ変わっていった。

閉店間際の時間帯を狙って予約を入れるようになり、「ほかのお客さんがいない時間がいい」と言い始めた。

施術中に個人のSNSアカウントを聞いてきたり、「仕事終わりに一杯どう?」と誘ってきたりした。

断るたびに「つれないな」と笑って流すのだが、次の来店でまた同じことを繰り返す。

私は担当している間、常に笑顔でかわし続けた。でも内心は——正直、毎回の予約通知が怖かった。

そんなある日、施術の最中に坂本さんのスマホが鳴った。画面をちらりと見た私の目に、「妻」という文字が映った。坂本さんは表情ひとつ変えず、電話を切った。

——ああ、やっぱり。

既婚者だということは知っていた。でもその「妻」の文字を目にした瞬間、何かがすとんと落ちた気がした。

もうこれ以上、この対応を続けるべきではない、と。

「主人が毎週、接待と言って……」——決断の日

転機は、私が外勤の打ち合わせから帰った日の夕方に訪れた。

店の電話に、女性から問い合わせがあったという。「主人が毎週のように美容院に通っているが、得意先への接待と言っていて……本当にそちらで施術を?」と。

受けたスタッフから話を聞いた瞬間、迷いが消えた。

もともと私の中では気持ちが固まっていた。「妻」の文字を見た日から、ずっとそうだった。妻からの電話は、最後の一押しに過ぎなかった。

騒ぐ必要はない。反論する必要もない。

その日のうちにオーナーに申し出た。「坂本さんの担当を外させてください。それと、可能であれば別店舗への異動を検討していただけませんか」。

理由は包み隠さず話した。これまでの言動のこと、妻からの問い合わせのこと。オーナーは黙って聞いた後、「わかった」と言った。

「法的手段も考える」——私は荷物をまとめた

翌週、坂本さんへの担当変更の連絡は店から入れてもらった。

するとすぐさま坂本さんから店に電話がかかってきた。「なんで変えるんだ」「俺は彼女を指名して来てるんだ」「これは契約違反じゃないのか」「法的手段も考える」。

私はその電話を直接受けていない。でも後から聞いた内容に、思わず苦笑いした。

——法的手段。指名制度に「契約」はありません。

私はその翌週、別店舗へ異動した。荷物といっても、道具一式と小さな観葉植物だけ。

坂本さんが受けた、二方向からの制裁

私が異動してから数日後、オーナーから連絡が来た。

坂本さんがその後も電話をかけ続け、「異動先の店舗を教えろ」「本人と直接話させろ」と要求したという。スタッフへの態度も荒れ、ついにオーナーが直接対応することになった。

「弊店のスタッフに対する行為と、今回のご連絡の内容を鑑み、今後のご来店はお断りします」

——出入り禁止。

さらに後日、坂本さんの妻がオーナーに連絡をしてきたそうだ。内情を知りたかったのか、経緯を丁寧に伝えると、「主人には私からきちんと話します」と言って電話を切ったという。

その後、坂本さんが私の前に現れることは一度もなかった。

異動先で、はじめて仕事が楽しくなった

新しい店舗は、前の場所より少し駅から遠い。常連さんをゼロから作り直すのは、正直しんどいと思っていた。

でも——初日から、なんだか空気が違った。

施術台に立つたびに誰かの顔色をうかがう必要がない。ハサミを持つ手が、久しぶりに軽かった。

お客さんの髪をきれいにすることだけに、集中できる。それだけのことが、こんなに大事だったのかと気づいた。

さいごに

大声で怒鳴ることも、証拠を並べて追い詰めることもしなかった。「担当を外れ、異動する」というたった一手が、相手の本性をみずからさらけ出させた。

じわじわ追い詰められたとき、戦わずに「場所を変える」という選択肢があることを、この話は教えてくれます。

あなたならどんな「一手」を選びますか?

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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