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「あら奇遇ねえ」朝食会場で偶然再会した2人の女性。だが、近くにいた私が困っていたワケ

  • 2026.9.20
「あら奇遇ねえ」朝食会場で偶然再会した2人の女性。だが、近くにいた私が困っていたワケ

ご飯の台の前から、2人が動かなかった

新婚旅行の三日目の朝だった。一階の朝食会場には和食も洋食も並び、料理を取りに来た宿泊客が行き来していた。

その日はよく歩く予定だったので、私はご飯と味噌汁を食べておこうと思っていた。

夫には先に席を取ってもらい、私はトレーを持って炊飯器の置かれた台へ向かった。

すると、先に2人の女性が立っていた。片方が茶碗にご飯をよそいかけたところで、もう片方に気づいたらしい。

「あら、奇遇ねえ。こんなところで会うなんて」

「本当ね。まさか同じ宿だったなんて」

思いがけず顔を合わせたようで、2人とも楽しそうだった。

私は「すぐ終わるだろう」と思い、少し後ろで待つことにした。

ところが、なかなか台の前が空かない。

一人はしゃもじを持ったまま。もう一人も空の茶碗を抱えたまま、話を続けていた。

「何泊するの?」

「三泊よ。明日には帰るの」

「じゃあ今日が最後なのね。今日はどこか行くの?」

楽しそうなのは分かる。でも、しゃもじはずっとその人の手の中だった。

私は壁の時計をちらりと見た。もう一度見ると、3分ほど経っていた。

その間に私の後ろにも何人かやって来たが、2人が台の前にいるため近づけず、少し離れたところで待っていた。

「すみません」と声をかけようかとも思った。でも、盛り上がっている2人の会話に割って入るのがためらわれ、私はいったんご飯を諦めた。

パンの台へ向かうと、同じように待つのをやめた人も何人か来ていた。私もその後ろに並んだ。

係の人が、しゃもじを受け取った

パンを取ろうとしていると、空になったポットを持った係の人が、炊飯器の台の近くを通りかかった。

2人の様子を見た係の人は、そのまま穏やかな声で話しかけた。

「お客様、こちらのしゃもじ、お預かりしてもよろしいですか?」

しゃもじを持っていた女性が、自分の手元を見てはっとした。

「あっ、ごめんなさい。私、ずっと持ってた?」

隣の女性も周囲を見回した。

「ごめんなさい。すっかり話し込んじゃって」

係の人はしゃもじを受け取り、炊飯器の横へ戻した。

「窓際のお席が空いておりますので、よろしければそちらでどうぞ」

「あら、ありがとうございます。すみませんでした」

「行きましょう。邪魔になっちゃってたわね」

2人は周囲に軽く頭を下げると、そのまま窓際の席へ向かった。

強く注意したわけでもないのに、炊飯器の前はすぐに空いた。

私もパンの列を抜け、ご飯の台へ戻った。ようやく茶碗にご飯をよそい、味噌汁も取って夫の待つ席へ向かった。

「遅かったね。混んでた?」

夫が私のトレーを見ながら聞いた。

「混んでたというか、ご飯のところで知り合い同士が会ったみたいで、話し込んでたの」

「ご飯のところで?」

「うん。一人がしゃもじを持ったままで。3分くらいずっとそのまま」

夫は目を丸くした。

「3分?本人は気づいてなかったの?」

「たぶん。係の人に声をかけられて、やっと手元を見てた」

「それで空いたんだ」

「うん。『しゃもじをお預かりします』って受け取って、空いてる席を案内してた」

「ああ、それなら角が立たないね」

「そうなの。注意するっていうより、自然に移動してもらってた感じ」

会場の奥を見ると、先ほどの2人は窓際の席でまだ楽しそうに話していた。

炊飯器の前では、次の人がご飯をよそい、使い終えたしゃもじをすぐ横へ戻していた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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