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「その日、本当に来られるよね?」何度も出席を確認する先輩。教えていない家まで来た理由が、結婚式で見えた

  • 2026.9.16
「その日、本当に来られるよね?」何度も出席を確認する先輩。教えていない家まで来た理由が、結婚式で見えた

招待状を渡されたあと、電話が始まった

社会人になって最初の職場で、少し年上の先輩と同じ部署になりました。

距離の詰め方が早い人で、配属されたばかりの私にも気さくに話しかけてくる人でした。

その先輩の結婚が決まり、同じ時期に退職も決まった秋、職場で結婚式の招待状を手渡されました。

その年は結婚式への招待が続いていて、有給も残りわずか。

財布のほうもかなり厳しくなっていました。

それでも世話になった先輩なので、出席しようと決め、返信はがきにも丸をつけました。

ところが、投函する前の夜に電話がかかってきました。

「もしもし。招待状、中身見てくれた?」

「はい。明日、返事を出そうと思ってました」

「そっか。出席で大丈夫だよね?」

少し食い気味に聞かれ、私は慌てて答えました。

「はい、行くつもりです」

「よかった…。ごめんね、ちゃんと確認しておきたくて」

人数が直前に変わったら困るのだろうと思い、そのときは深く考えませんでした。

ところが翌週、また電話がありました。

「ねえ、式の日の予定、変わってないよね?」

「はい。大丈夫ですよ」

「ほんと?急に仕事が入ったりしない?」

「今のところは何もないです」

「そっか。ならよかった」

それからも、ほぼ一週間おきに似た電話が続きました。

「その日、本当に来られるよね?」

「はい。予定は変わってません」

「ごめんね、何度も。どうしても気になっちゃって」

最初は笑って返していた私も、三度、四度と続くころには、着信画面に先輩の名前が出るだけで身構えるようになっていました。

教えていない部屋の前に、先輩が立っていた

四度目の電話があった週の休日でした。

部屋のチャイムが鳴り、何気なくのぞき穴を見ると、そこに先輩が立っていました。

一瞬、見間違いかと思いました。

私は先輩に自宅の住所を教えた覚えがありません。

どうしてここを知っているのだろう。

急に怖くなり、その日はドアを開けませんでした。足音が階段を下りていくまで、玄関の近くでじっと息をひそめていました。

翌週、職場で顔を合わせると、先輩は普段と変わらない調子で声をかけてきました。

「この前の休み、家にいなかった?」

胸がざわつきました。

「あ…出かけてました」

「そっか。チャイム鳴らしたんだけど、出なかったから」

少し迷ってから、私は聞きました。

「何か用事だったんですか?」

「ううん。近くまで行ったから、顔見られたらと思って。式のことも気になってたし」

「式には行きますよ」

「うん。ならいいんだけど」

先輩はそれ以上何も言わず、自分の席へ戻っていきました。

私は結局、「どうして住所を知っているんですか」とは聞けませんでした。

席次表を開いて、電話の理由が見えた

結婚式当日、受付を済ませて席次表を開いたところで、私は少し驚きました。

新婦側の友人席は一卓だけ。そこにいたのは私と、同じ職場の人がひとり、それから高校時代の友人だという二人でした。

一方、新郎側には友人や同僚の卓がいくつも並んでいます。

席に着いて会場を見渡しているうちに、何度もかかってきた電話のことが頭に浮かびました。

お色直しを終えた先輩が私たちの卓へ来ると、私の顔を見て、ほっとしたように笑いました。

「来てくれて、本当によかった」

「そんなに心配だったんですか?」

思わず聞くと、先輩は少し困ったように笑いました。

「うん。こっち、友達がそんなに多くなくて。誰か来られなくなったらどうしようって、ずっと気になってた」

そこでようやく、何度も出席を確認された理由が分かった気がしました。

先輩なりに不安だったのでしょう。その気持ちは理解できました。

ただ、それと、教えていない家まで訪ねてくることは別です。

どうやって住所を知ったのかは、結局分からないままでした。

式のあと先輩は退職し、そのまま連絡を取ることもなくなりました。

今でもあの日を思い出すと、結婚式の華やかな会場より先に、休日の静かな部屋に響いたチャイムの音がよみがえります。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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