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就寝前の「冷たい炭酸水」は不眠のもと?風呂上がりの水分補給で注意したいポイント【医師解説】

  • 2026.9.13
寝る前に炭酸水を飲んでもOK?(画像はイメージ)
寝る前に炭酸水を飲んでもOK?(画像はイメージ)

入浴後や就寝前に炭酸水を飲む人は多いのではないでしょうか。喉越しがよく、リラックスできます。

一方、就寝前に炭酸水を飲むと眠れなくなるといった情報がありますが、本当なのでしょうか。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(大阪市天王寺区)院長で総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医の安江千尋さんに聞きました。

寝る前に大量に飲むのはすすめない

Q.お風呂上がりから就寝前にかけて、冷たい炭酸水の刺激(炭酸ガス+冷たさ)を胃腸に与えることは、自律神経の切り替え(交感神経から副交感神経へ)や、スムーズな入眠にとってプラスですか。それともマイナスですか。

安江さん「健康な人が適量の冷たい炭酸水を飲む程度であれば、睡眠に大きな悪影響を及ぼすとは限りません。ただし、冷たさや炭酸の刺激が睡眠を促すという十分な根拠もなく、就寝直前に大量に飲むことはおすすめできません。

人は眠りにつく前に、手足などの皮膚から熱を放散し、深部体温を徐々に下げていきます。入浴でいったん体を温め、その後に熱が逃げていく過程は、入眠しやすい状態をつくると考えられています。就寝の1~2時間前に温かい入浴やシャワーを行うことが、寝つきの改善と関連したという報告もあります。

冷たい炭酸水を飲んでも、深部体温が大きく下がって眠りやすくなるとは限りません。口や喉が冷えて爽快に感じることはありますが、それ自体が交感神経から副交感神経への切り替えを促進するという明確な根拠はありません。

睡眠への影響として、より問題になりやすいのは胃腸症状です。炭酸水を飲むと胃が膨らみ、腹部膨満感、げっぷ、胃もたれなどが生じることがあります。就寝直前に大量に飲むと、こうした不快感によって寝つきが悪くなる可能性があります。

また、炭酸飲料の摂取によって、一時的に下部食道括約筋の圧が低下したとする小規模研究があります。一方、炭酸飲料が逆流性食道炎を直接引き起こしたり、一律に悪化させたりするというエビデンスは十分ではありません。

そのため、炭酸水そのものを一律に禁止する必要はありませんが、炭酸水を飲むと胸やけ、げっぷ、喉の違和感などが出る場合は注意が必要です。特に就寝直前は横になるため、逆流症状が起こりやすくなります。症状がある人は、寝る前には炭酸水より普通の水や麦茶を選ぶ方がよいでしょう。

炭酸水を楽しむ場合は、コップ1杯程度を一気に飲まず、ゆっくり飲むのが無難です。時間について一律の基準はありませんが、就寝直前を避け、胃の張りや胸やけが残らない範囲にするとよいでしょう。

つまり、冷たい炭酸水は入眠を促す特別な飲み物ではありません。適量なら多くの方で問題ありませんが、強い冷刺激や炭酸による胃の張り、逆流症状が出る場合には、かえって睡眠を妨げる可能性があります」

Q.夏の夜、お風呂上がりに「本当に効率よく体の熱を逃がし、快適に過ごす」ためには、何をどのような温度で飲むのがベストでしょうか。

安江さん「一般的なお風呂上がりであれば、水やカフェインを含まない麦茶などを、無理なく飲みやすい温度で摂るのがよいでしょう。『何度が医学的に最適』と一律に決められているわけではありません。

冷たい飲み物には、口や喉の爽快感を高め、飲みやすくする利点があります。特に暑い環境では、適度に冷えた飲み物の方が、摂取量が増えやすいことも報告されています。

一方、氷のように極端に冷たい飲み物を選ぶ必要はありません。冷たい飲み物で腹痛や胃の不快感が出る場合は『冷蔵庫から出したものを少し置く』『常温の水を選ぶ』など、自分が無理なく飲める温度に調整してください。

量についても、全員に共通する決まった量はありません。入浴時間や湯温、発汗量、体格、食事や飲水の状況によって必要量は異なります。一般的には、コップ1杯程度をゆっくり飲み、喉の渇きや発汗の程度に応じて追加する方法が現実的です。心臓病や腎臓病などで水分制限を指示されている人は、主治医の指示を優先してください。

日常的な入浴後の水分補給であれば、多くの場合は水や麦茶で十分です。経口補水液は、水分と電解質を効率よく補うための飲料であり、下痢や嘔吐(おうと)、発熱、大量の発汗などによって脱水が疑われる場合に適しています。通常のお風呂上がりに、毎回飲む必要はありません。

また、飲み物だけで体を冷やそうとするのではなく、室温や湿度を調整することも重要です。エアコンや扇風機を適切に使い、通気性や吸湿性のある衣類・寝具を選ぶことで、皮膚から熱を逃がしやすくなります。

入眠の面では、就寝直前に熱いお風呂へ長時間入るよりも、就寝の1~2時間前を目安に無理のない温度で入浴し、その後に自然に熱を逃がす方が理にかなっています。温かい入浴後に深部体温が下がっていく過程が、スムーズな入眠につながる可能性があります。

結論として、夏のお風呂上がりには、水や麦茶を自分が心地よく飲める温度で、少量ずつ補給するのがおすすめです。冷たい炭酸水を選んでも構いませんが、体温を大幅に下げる特別な効果があるわけではありません。水分補給と室内環境の調整を組み合わせ、体が自然に熱を逃がせる状態をつくることが、最も実用的な暑さ対策です」

オトナンサー編集部

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