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【「ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代」発売直前連載】/第3回「奥田の愛する平安末期~鎌倉時代の人物3選」【奥田修二インタビュー】

  • 2026.9.11

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ガクテンソクの奥田修二氏が、自身初となる歴史本『ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代』を9月24日に上梓する。「日本史の語り手」としても動画がバズりまくっている奥田氏だが、並々ならぬ情熱を傾けて書き上げた今作は392ページという大ボリューム。第3回目となる今回は、奥田氏が特に思い入れがあるという登場人物たちについて語ってもらった。

思い入れのある人物その1 源頼朝

―― 準備期間を含めると、1年半くらい「鎌倉時代」に向き合ってこられたわけですけど、奥田さんの感情を揺さぶった、思い入れのある人物を3人教えていただけませんか?

奥田修二(以下、奥田):そうですね……あえて前半に絞っていいですか? 150年を通してだといっぱいいすぎるし、後半は人物というより事件と事件を繋ぐ「時代のグラデーション」で語りたかったりもするので。

――もちろんです。

奥田:となると、まずは源頼朝です。

――まさかのド定番ですね(笑)

奥田:なんたって、前の時代を終わらせて、鎌倉時代、武士政権を始めた人物ですから。しかもワンマンで。

――あらためて、奥田さんが感じる「頼朝の凄み」って何なんですか?

奥田:朝廷、天皇という制度も存在も「潰さなかった」ところです。もし、そうしちゃってたら、誰も頼朝についてこなかったし、150年も続く鎌倉幕府になってなかったと思います。

――でも、頼朝以外だったら、その選択をしていたようにも思います。

奥田:政権を奪うには、それが一番手っ取り早いし、しかも頼朝含め彼らは武士ですからね。だからこそ、「朝廷も天皇家も存続させる」という選択をした頼朝は天才なんです。よう思いついた。平清盛は、朝廷に入り込み過ぎて、最終的に平家は滅ぼされた。だから頼朝は距離を置くと。そのうえで天皇に権威だけ残して、権力を取り上げることで政権を奪取したんですね。これが頼朝たる所以ですね。ど真ん中の天才だと僕は思います。

思い入れのある人物その2 木曽義仲

―― 次は誰でしょう?

奥田:木曽(源)義仲は全部悲しいですね。みなさん、あまり具体的なイメージがないと思うんですけど、とにかく彼の人生は悲しい。

――義仲の話の書き出しが、「先に言っておきます。源義仲の人生はとても悲しいです。書いてて辛くなるほどに」ですもんね。

奥田:源頼朝もめちゃくちゃしんどい人生の立ち上がりでしたけど、義仲も負けず劣らずハードモードですからね。それでも立派に成人して平家打倒に立ち上がった。

――源頼朝のお父さんの義朝が、自らの弟で木曽義仲のお父さんである義賢を討ったんですよね。

奥田:そうです。だから同じ源氏だけど、二人は犬猿の仲だったんです。源氏といえば頼朝ですけど、義仲は頼朝に先んじて一瞬だけ天下を掴みかけたんですよ。平家軍を打ち破って「旭将軍」なんて称号までもらって鼻高々だった時もあった。でも、平家を追い出して京都に入ったはいいけど、都の洗練されたローカルルールに馴染めずに「山猿」とバカにされ、おまけに後白河法皇に梯子を外されて朝敵になって、最終的に頼朝に討たれることになるというね……。

――平家に討たれるならまだしも、よりによって頼朝にというのが悲しすぎますね。

奥田:木曽義仲のエピソードを採用した大きな理由は『平家物語』(鎌倉時代に成立した軍記物語)について語りたかったからなんです。そこには「諸行無常」が描かれているわけで、平家の物語ではないんです。だから、源義経も登場しますが、義経だって年単位なのに、木曽義仲はめっちゃ短いスパンで、これでもかと「盛者必衰」を体現しています。ここはかなり熱が入って感情を乗せて書きましたね。ぜひ義仲のことをみなさんに知ってほしいですね。

思い入れのある人物その3 北条政子

――最後の一人は誰でしょう。

奥田:結局、誰が凄いねん、てなった時の北条政子ですね。「政子がおらんかったら、鎌倉幕府は絶対に終わってたやろ」と思うんです。

――たしかに、実は政子が最重要人物かもしれないですね。

奥田:どういう形であれ、武士の世の中は成立していたと思うんです。平安の世は限界を迎えていたので。頼朝は天才なので、ワントップでまとめ上げたわけですけど、仮に頼朝が立ち上がらなかったとしても、別の誰かによって、あるいは合議制なりで武士政権はできていたでしょう。本来鎌倉幕府は、頼朝が亡くなって、二代将軍の頼家、三代将軍の実朝と、頼朝の息子たちが亡くなったところで、終わっていたはずなんです。でも、そうはさせなかったのが政子だと思います。

――若い時は「ファーストレディになりたい!」と野心にあふれ、幕府成立後しばらくは政治的に暗躍している印象もある政子が、ある時期から、幕府の守護神のような、母のような存在になっていきますよね。

奥田:鎌倉幕府の存続危機は、何度も訪れるわけですよ。夫で将軍の頼朝が亡くなった時、息子で第三代将軍の実朝が非業の死を遂げた時、弟で執権の北条義時が朝敵になった時……。政子でなかったら、幕府は完全に崩壊していました。彼女がいたからこそ、武士の世の中が維持された。実は鎌倉幕府の一番の功労者が政子かもしれないですね。

――今回もありがとうございました。次回が最終回ですので、それにふさわしいお話をお願いします。

奥田:歴史は、「今この瞬間にまで続いている」ものなんです。人物や出来事を切り取って語るのもおもしろいですけど、それではわからないことがある。グラデーション状でずっと続いているものなんです。そんなことが実感として伝わるようなお話をしたいと思います。

撮影:渡辺秀一

取材・文:栗山春香

【書籍情報】

書名:ガクテンソク奥田の 喋る!鎌倉時代

著者:奥田修二

定価:2,200円 (本体2,000円+税)

発売:2026年9月24日(木)

発売・発行:株式会社KADOKAWA

https://www.kadokawa.co.jp/product/322504001313/

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