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医師から『精巣がん』と宣告された29歳男性→以前から陰部に起きていた“小さな違和感”に「もっと早めに受診すればよかった…」

  • 2026.10.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「痛くないし、そのうち治まるだろう」——体のどこかが腫れていても、つい様子を見てしまうことはありますよね。

特にデリケートな場所の変化は、人に話さず、そのままにしてしまいがちです。でも、若い男性に起こる病気のなかには、早く見つけることが何より大切なものがあります。

今回は、ご主人の精巣の腫れを心配していた女性のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

「炎症かな」と思っていた精巣の腫れ

Fさん(27歳・女性)は、ご主人(29歳)の左の精巣が、以前より少し大きくなっているように見えることが気になっていました。

「前に一度、痛みと熱が出たことがあったんです。そのときは数日でおさまったので、炎症だったのかなと」

ご主人も「痛くないし、大丈夫だよ」と気にしていない様子。仕事も忙しく、そのまま数か月が過ぎました。

しかし、左の精巣は少しずつ大きくなり、右と比べてはっきりと差がわかるほどに。

「さすがにおかしいよ。お願いだから病院に行って」

Fさんの強い言葉に、ご主人はようやく泌尿器科を受診されました。

「明日、手術をしましょう」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

泌尿器科では、触診と超音波検査(エコー)、腫瘍マーカー(がんがあると血液中に増えやすい物質)を調べる血液検査が行われました。

「精巣に腫瘍があります。精巣がんの可能性が高いので、できるだけ早く手術をしましょう」

ご主人は翌日に入院し、手術を受けることになりました。精巣がんが疑われる場合、針を刺して組織を採る検査(生検)を行うと、がん細胞が周囲に散らばって転移を広げてしまう危険があるため行いません。そのため、診断と治療を兼ねて、足のつけ根を切開して腫瘍のある精巣を血管ごと摘出する手術(高位精巣摘除術)を行うのが一般的です。進行が早いこともあるため、診断から手術までを急ぐことが多い病気です。

手術後の病理検査(取り出した組織を顕微鏡で調べる検査)の結果は「セミノーマ」。CT検査で転移はなく、Fさん夫婦はほっと胸をなでおろしました。

精巣がんとは

精巣がんは、男性の精巣にできるがんです。10万人に1〜2人ほどと頻度は少ない一方で、20〜30代の若い男性に多いのが特徴です。

大きく「セミノーマ」と「非セミノーマ」の2つのタイプに分けられ、セミノーマは比較的進行がゆるやかで、抗がん剤や放射線治療がよく効くとされています。一方、非セミノーマは進行が非常に速く、短期間で肺やリンパ節へ転移しやすい特徴があります。今回のご主人のように数か月放置して転移がなかったのは非常に幸運なケースであり、本来は一刻も早い受診が必要です。

主な症状は、精巣の腫れや硬さ。痛みのないことが多いのですが、ご主人のように痛みや熱が出ることもあり、精巣上体炎(精巣の横にある管の炎症)と区別がつきにくい場合があります。「炎症だろう」と思い込んで受診が遅れる——実は、精巣がんでは珍しくないパターンです。

今後の診療は「定期的な検査」が大切

転移のない早期のセミノーマの場合、手術後は追加の治療を行わずに経過をみることもあれば、再発を防ぐために抗がん剤や放射線治療を行うこともあります。ご主人は、担当医と相談して経過観察を選ばれました。

ただし、手術で取りきれたように見えても、あとから転移が見つかることがあります。そのため、手術後数年間は、数か月ごとに血液検査やCT検査を受け、少しずつ間隔をあけていきます。早期に見つかれば、再発しても治療で治る可能性が十分にある病気です。

「片方の精巣がなくなって、子どもは大丈夫なのかと心配でした。でも、もう片方が働いていれば、多くの場合は問題ないと聞いて安心しました」とFさん。抗がん剤などの治療が必要になる場合には、事前に精子を凍結保存しておく方法もあります。

「あのとき妻が強く言ってくれなかったら、もっと遅れていたと思います。もっと早めに受診すればよかった…」と、ご主人もおっしゃっていました。

精巣の変化に気づいたら、早めに泌尿器科へ

精巣がんは、早く見つけて治療すれば、治る可能性の高いがんです。左右で大きさが違う、硬いしこりがある、重たい感じがする——そんな変化に気づいたら、痛みがなくても泌尿器科を受診してください。お風呂で月に一度、精巣を触ってセルフチェックする習慣も役立ちます。

デリケートな悩みだからこそ、家族の「気づき」と「ひと声」が大きな力になります。

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