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「痛い、痛い…」庭掃除中にはしごから落ちた80代父→急いで病院に連れて行くと…医師から告げられた“検査結果”に「嘘でしょ…」

  • 2026.10.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「骨は折れていないみたいだし、打ち身なら少し休めば治るはず」

転んだり、どこかにぶつけたりしたとき、骨さえ無事ならひと安心と考える方は多いでしょう。でも、体の奥にある臓器が、外からは見えない傷を負っていることがあります。

今回は、はしごから落ちて背中を打った81歳の男性が、「腎損傷(じんそんしょう)」と診断されたエピソードを、ご家族の目線からご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

庭仕事の最中に、はしごから転落

52歳の女性、Kさんのお父さんは81歳。持病も少なく、毎日庭の手入れを欠かさない元気な方です。孫たちからは「庭師のおじいちゃん」と呼ばれています。

その日も、伸びた木の枝を切ろうと、はしごに上っていました。ところが、のこぎりを引いた拍子にバランスを崩し、そのまま地面へ。どうやら背中を強く打ったようです。

「痛い、痛い……」

ふだん弱音を吐かないお父さんが、背中を押さえてうずくまっていました。様子を見たKさんは「これはただごとじゃない」と思い、すぐに救急車を呼びました。

「骨は大丈夫ですが、腎臓が……」

運ばれた病院で、CT検査が行われました。幸い、背骨や肋骨(ろっこつ)に大きな骨折はありません。ほっとしたのもつかの間、医師からこう告げられます。

「腎臓が一部割れていて、まわりに出血しています」

診断は「腎損傷」でした。Kさんは「嘘でしょ…。骨じゃなくて、腎臓が?」と、思わず聞き返したそうです。

腎損傷とは? どんなときに起きるの?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

腎臓は、背中側の腰より少し上、肋骨に守られるような位置にある臓器です。体の奥にあるとはいえ、高いところからの転落や交通事故、スポーツでの強い接触などで背中やわき腹を強く打つと、傷つくことがあります。

また、高齢の方や、脳梗塞・心臓病の予防などで「血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)」を飲んでいる方の場合、平地でつまずいて尻もちをついた程度でも重い損傷につながることがあるため注意が必要です。

腎臓はたくさんの血液が流れる臓器のため、損傷を受けると出血しやすいのが特徴です。主な症状は、打った部分の痛み、血尿など。ただし、「尿が赤くないから大丈夫」と自己判断するのは禁物です。太い血管が根元から傷ついたり尿管が途絶えたりするような最重症のケースでは、尿が膀胱へ流れず、かえって血尿が出ないこともあります。 出血が多いと、血圧が下がって命に関わることもあります。

診断には、造影剤を使ったCT検査が欠かせません。傷の深さや出血の広がりを確認し、治療方針を決めます。
多くの場合は、手術をせずに安静を保ち、点滴などで出血が自然に止まるのを待つ「保存的治療」が選ばれます。ただ、出血が続く場合には、カテーテルで出血している血管をふさぐ治療や、手術が必要になることもあります。

安静で出血がおさまり、1週間で退院

お父さんは入院し、ベッドの上で安静を保ちながら、血液検査や画像検査で出血の様子を確認していきました。幸い出血がそれ以上広がることはなく、およそ1週間で退院することができました。

退院後もしばらくは激しい動きを控え、定期的に通院して状態を確認しています。腎損傷では、傷ついた血管に後からコブなどができ、受傷から数日から数週間経ってから再び出血を起こす「遅発性出血」のリスクもあります。そのため、退院後も強い痛みがぶり返したり尿が赤くなったりした場合は、すぐに医療機関へ連絡することが重要です。 お父さんはまだ少し背中の痛みは残っているものの、少しずつ家の中を歩けるようになってきました。

「庭の木は、しばらく若い者に任せるよ」

そう苦笑いするお父さんに、Kさんは「当分、はしごは禁止だからね」と、しっかり約束してもらったそうです。

強く打ったあとの「血尿」と「痛み」は要注意

高いところからの転落や事故で背中やわき腹を強く打ったときは、骨に異常がなくても油断は禁物です。特に、尿が赤い、打った場所の痛みが強い場合は速やかに医療機関を受診してください。

また、尿の色に関わらず、「顔色が青白い」「冷や汗が出る」「ふらついて立てない」といった症状がある場合は、体内で大量に出血している(ショック状態の)サインです。自家用車やタクシーでの移動を待たず、躊躇せずに119番(救急車)を呼んでください。

また、高齢の方のはしご作業や高所作業は、それだけで大きなけがにつながることがあります。ご家族で声をかけ合い、無理をしない工夫を考えてみてはいかがでしょうか。


執筆・監修:小内友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士 女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。 【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

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