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医師から『心筋梗塞』と宣告された50代男性→数日前から、身体に起きていた“思わぬ異変”に「あの時、病院に行っていれば…」

  • 2026.10.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさまこんにちは。心臓手術にも日々向き合う麻酔科専門医の松岡です。

「最近、駅の階段を上るたびにひどい肩こりや奥歯の痛みが出るけれど、しばらく休むと治まるし、仕事の疲れや虫歯のせいだろう」と放置したAさん(50代男性)。

しかし数日後、Aさん自宅で突然意識を失い救急搬送されます。診断は「心筋梗塞」。胸の痛みは全くなかったのに、心臓の血管が詰まっていました。一命は取り留めたものの、心機能は低下し「あの時、病院に行っていれば…」と後悔を滲ませています。

心臓の血管が詰まりかけているSOSサインが、胸ではなく「肩」「腕」「あご」「奥歯」の痛みとして表れるケースが存在します。今回は、危険な痛みとその見分け方をお伝えします。

痛い場所に原因がない?脳が騙される「配線トラブル」のメカニズム

なぜ「ただの肩こりや歯痛」という油断が、心停止という致命的な事態を招くのでしょうか。それは、心臓の悲鳴を脳が別の場所の痛みだと勘違いしてしまう「放散痛」という人体のエラーが起きているからです。

【放散痛が命の危機を見逃させるフロー】

  • 心臓からのSOS発生:狭心症や心筋梗塞などで心臓の筋肉が酸欠になると、強い痛みの信号が発生します。
  • 脊髄での配線の混線:心臓の神経は、左肩や腕、顎や奥歯からくる神経と、脊髄の近い場所を通って脳へ向かいます。
  • 脳の勘違い:強い心臓の痛みの信号を受信した脳は、配線が近い「左肩や奥歯が痛い」と錯覚してしまいます。

「ただの肩こり・虫歯」と「心臓の悲鳴」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「肩や歯が痛いなら、整形外科や歯医者に行くのが普通だ」「仕事で疲れているから、まずはマッサージで様子を見たい」。そう考えるのはごく自然な心理です。痛い場所に原因があると考えて、循環器内科を受診しないとしても、無理もありません。

しかし、 ぜひお伝えしたい事実があります。心筋梗塞や狭心症というと「胸をかきむしるような痛み」を想像しがちですが、実際には「のどやあご、左肩や左腕、背中、歯が痛む」といった非定型的な症状(放散痛)だけが現れるケースも少なくありません。特に高齢者や糖尿病の患者さんでは、神経の障害が起こるなどして、胸の痛みを感じにくいことがあると知られています。

ここで重要なのは、「ただの肩こりや虫歯」と「危険な放散痛」の境界線です。整形外科的な痛みは一般的に「腕を回した時」に痛み、虫歯は「冷たいものを飲んだ時」に痛むことが多いとされています。もちろん他の原因で痛むこともあるため安易な自己判断は禁物ですが、心臓からくる放散痛は、階段を登った時や重い荷物を持った時など「心臓に負担がかかったタイミング」で肩や歯が痛み出し、休むとスッと引いていくのが特徴です。この違いを知っていれば、少しの工夫で健康な日常を守ることができたかもしれません。

重症化する前に、確認すべき3つのサイン

心筋梗塞に至る前に、ご自身の痛みのタイミングを振り返ってみてください。以下のサインがある場合、ただの疲れや虫歯ではなく、心臓の血管が詰まりかけている可能性があります。

1. 階段や早歩きで、左肩や奥歯、下あごが痛む

運動によって心臓の筋肉が酸欠状態になり、悲鳴を上げているサインかもしれません。

2. 休むと数分で痛みが消える

心臓への負担が減ると血流が一時的に回復するため、痛みが引くという危険な前兆のおそれがあります。ただし、休んでも痛みが20分以上続く場合や、安静にしていても強い痛みが引かない場合は、すでに心筋梗塞を起こしている可能性があり極めて危険です。

3. 胃の痛みや吐き気を伴う

心臓の虚血が、みぞおち・胃の痛みとして錯覚されている可能性があります。また、心臓の血流が途絶える事態に陥ると、自律神経が強く刺激されることで嘔気が出ることもあります。緊急性の高いサインの可能性があります。

運動時に現れる肩や歯の痛みに注意

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

心臓疾患のサインは「激しい胸の痛み」だけでなく、脳の錯誤による「放散痛」として左肩やあご、奥歯の痛みや違和感のみで現れることがあります。

特に高齢の方や糖尿病をお持ちの方は痛みを感じにくいため注意が必要です。「階段を上るなど体に負荷がかかった時に痛み、休むと引く」「胃の痛みや吐き気を伴う」といった特徴がある場合は、整形外科や歯科領域だけでなく心臓由来の可能性を疑いましょう。

「胸が痛くないから大丈夫」と自己判断せず、運動時の肩や歯の違和感を覚えたら速やかに循環器内科を受診してください。また、安静にしても痛みが続く場合や、冷や汗、強い吐き気を伴う場合は、決して外来受診を待たず、躊躇せずに119番(救急車)を呼んで、大切な命を守りましょう。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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