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スターバックスのコーヒー生産地を訪ねて【後編】海を渡り、特別な一杯へと結ぶ旅

  • 2026.9.7

スターバックスで創業当時から愛されてきた、スマトラのコーヒー豆。農家の手で丁寧に育てられ、「ウェットミル」での加工を終えたコーヒー豆の旅は、まだまだ続く。後編では、最終仕上げを行う「ドライミル」での行程から、海を渡り私たちのもとに届くまでを紹介しよう。

海を渡り、特別な一杯へと結ぶ旅
海を渡り、特別な一杯へと結ぶ旅

ドライミル ~仕上がりを決めるのは、人の手と目~

ドライミルはコーヒー豆の選別・等級分けを行う最終加工施設。生豆は6等級に分けられ、スターバックスが購入するのはグレード1の最高等級のコーヒー豆だ。

生豆の選別は機械と人の手による6工程がある。

まず、機械を使って2回に分けて異物を除去し、大きさ、次に密度と重さの選別を経て、光学センサーを使用した色の選別へと進む。

機械、人の手と目、両方を使って豆の選別をしていく
機械、人の手と目、両方を使って豆の選別をしていく

そして仕上げを決めるのは、やはり“人”による確認だ。ベルトコンベアー上を流れる大量の生豆を、目視し、既定の品質に満たない豆や異物を一粒ずつ取り除く作業が行われる。

働く人たちは、選別した量がその日の給料に直結する仕組みだ。一人ひとりカーテンで仕切られたブースで互いが見えない状態で行うことで、個々が作業に集中でき、結果として公平な評価が保たれている。

輸出・品質管理 ~農家を守る徹底したトレーサビリティ~

選別を終えた生豆は1袋60キロの麻袋に詰められ、いよいよコンテナへ積み込まれる。密閉して湿度を遮断したコンテナは、日本への約8日間の航海に旅立つが、その間もスターバックスによって複数回の品質チェックが行われる。

出航前のチェックをするのは、スイス・ローザンヌにあるスターバックス コーヒー トレーディング カンパニー(SCTC)だ。購入前と出荷前にサンプルをカッピング(テイスティング)し、品質を確認したうえで購買・出荷手配を行う。

カッピングの様子
カッピングの様子
カッピングは、生産者などの情報を伏せた状態で行う
カッピングは、生産者などの情報を伏せた状態で行う

日本の港に到着すると、ロースト工場近くの倉庫に送られ、ここからシアトルのグローバル コーヒー クオリティ(GCQ))チームにサンプルが送られる。カッピングで「香り」「酸味」「コク」風味」の4項目を評価し、出荷前の品質基準が保たれているかを確認するのだ。

ちなみに、GCQチームが行うカッピングは、1種類につき5カップですが、1日に扱う豆は約120種類。なんと約600杯ものカッピングを1時間という限られた時間の中で集中して行うのだという。カッピングで不合格になる生豆は、スターバックス全体で年間わずか1~2%。コーヒー農家やサプライヤーとの信頼関係、そして徹底した品質管理があるからこその成果だといえるだろう。

全世界でスターバックスが毎日焙煎するコーヒー豆は約20トン、コンテナ40個分にもなる。その大量のコーヒー豆を、スターバックスでは1農家ごとに分けて登録。どの豆がどの農家で生産されたものかを追跡できるように管理し、トレーサビリティをしっかり確保している。その理由を、SCTCのクリスチャンさんはこう語る。

「もし、ある農園で児童労働があったという告発が出たとしましょう。農園IDを照合すれば、過去6カ月間に私たちのサプライヤー(取引先)がどの農園からコーヒーを買ったのかを即座に確認できます。何かあれば、すぐに調査して是正することができます」

量が多いほど品質の均一化や管理はより繊細さを求められるが、その難しさや責任をそれぞれの現場が理解して作業している。その積み重ねが、一軒一軒の農家の仕事を尊重することにつながっている。

【写真】出荷を待つコーヒー豆
【写真】出荷を待つコーヒー豆

焙煎 ~ロースターが読み解く生豆のわずかな違い~

GCQの承認を受けた生豆は、ロースト工場へ運ばれ、洗浄して異物を取り除き、湿度が管理された倉庫でローストまで保管される。

スターバックスでは、ブロンド ロースト(浅煎り)、ミディアム ロースト(中煎り)、ダーク ロースト(深煎り)の3つのロースト カテゴリーに分類されているが、スマトラの豆の多くはダークローストで、焙煎時間は約13分。大地のような力強いコクが最大限に引き出される。

焙煎を担うのは、マスターロースターを中心としたロースターたちだ。シアトルから届くレシピを基本として焙煎するが、コーヒー豆は農産物。すべての豆が均一なわけではなく、水分量や密度などが微妙に異なる。ロースターはそれを見極め、その日の天候・気温・湿度などによって予熱温度や焙煎温度・時間を細かく調整。彼らの熟練の技術によって、最高の香り、酸味、コク、風味が生み出され、いつでもどの工場でも同じ味が保たれているのだ。

店舗 ~バリスタがつなぐラスト 10 フィート~

焙煎後の豆は、窒素を充填して密封。レントゲン検査で異物がないかを確認し、丁寧に箱詰めされて全国の店舗へと届けられる。

農園から多くの人の手を経て育成・収穫・加工され、海を渡ってきたスマトラのコーヒー豆。この大切な豆を最後に私たちへとつなぐのが、スターバックスのバリスタだ。

ラスト 10 フィートは、パートナーから私たちへ
ラスト 10 フィートは、パートナーから私たちへ

カウンターからお客様への手へと渡す距離―――スターバックスではこれを、「ラスト 10 フィート」と呼ぶ。

コーヒー豆は、生産者の生活を支え、関わる人たちの幸せをつなぐ存在だ。バリスタにとっては、おいしいコーヒーを提供することや特別な瞬間を届けることが、顧客の再訪につながり、その積み重ねが、関わる多くの人たちの暮らしに影響を与えていく。だからこそ、バリスタたちは目の前のお客のために、責任を胸に、最高の一杯を入れることを心掛けている。

だから、いつもの一杯は、“特別な一杯”。

そんな気づきをもたらしてくれる、コーヒーの旅の物語だ。

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