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小学生の頃、メインディッシュとデザートが同時に出てきたような衝撃を受けた――世界(EXILE/FANTASTICS)が読む 広江礼威『BLACK LAGOON』【n人のブックウォッチャー】

  • 2026.9.5

作家やクリエイター、お笑い芸人、音楽アーティストなど、多彩なジャンルで活躍する人たちが、心に残る一冊をセレクトして、自身の言葉で紹介! 本を選んだ理由やそれぞれならではの視点を通して、本との新しい出会いや、読書の楽しみを届けます。

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『BLACK LAGOON』 (広江礼威/小学館)
『BLACK LAGOON』 (広江礼威/小学館)

『BLACK LAGOON』(広江礼威/小学館)との出会いは小学生の頃でした。

学校帰りに寄った本屋で、1巻を手に取ったのが始まりです。

表紙のレヴィを見た瞬間、「なんだこの女の子、めちゃくちゃカッコいいな」と思いました。

レヴィは「ラグーン商会」の一員で、二丁拳銃を操る凄腕のガンマンです。

ホットパンツに二丁拳銃。

小学生だった自分には、メインディッシュとデザートが同時に出てきたような衝撃でした。

ビジュアルに惹かれて手に取ったのに、ページをめくった瞬間に世界ごと持っていかれました。

『BLACK LAGOON』は、東南アジアの架空の犯罪都市・ロアナプラを舞台に、運び屋「ラグーン商会」と、そこに集まるアウトローたちを描いた作品です。

もちろん銃撃戦やアクションも魅力なんですが、僕が一番やられたのは“会話”でした。

セリフが最高に刺さる。

大人になって読み返すと、まるで昔のハードボイルド映画を1本観ているような感覚になります。

言い回し、間、ブラックジョーク、キャラクター同士の距離感。その全部が作品の空気になっていて、とにかくクールなんです。

広江礼威先生のセリフって、そのキャラクターが何を信じて、何を背負って生きてきたのかが一言で伝わってくるんです。

だからオシャレなんですけど、オシャレな言葉を書こうとしている感じがしない。

「この人だから、この言葉になる。」

そう思わせてくれるセリフばかりなんです。

僕も表現を仕事にしている人間として、そこにはものすごく惹かれます。

誰かの真似ではなく、その人間からしか出てこない言葉や空気感。

それこそがエンターテインメントで一番強い武器なんじゃないかなと思っています。

ロアナプラって、街なのに人格があるように感じるんです。

そこに住む人たちのルールや思惑が複雑に絡み合って、その混沌ごと物語になっている。

だから誰か一人だけが主人公じゃなく、街全体を見ていたくなる作品なんだと思います。

中でも印象に残っているのは、鷲峰(わしみね)組のエピソードです。

どのエピソードも濃密で好きなのですが、特に鷲峰組のエピソードでは主人公のロックとレヴィ、それぞれの内面が色濃く描かれていると感じています。

日本的な任侠と美学がロアナプラという異国の地でぶつかることで、独特の緊張感と哀しさが生まれている。

ただの抗争ではなく、それぞれの生き方がぶつかり合っているように見えるところが好きなんです。

漫画って、読む年齢で見え方が変わると思うんです。

作品は変わらない。でも、読む自分は変わる。

小学生の頃は、とにかくレヴィが全てでした。

今でも一番好きなキャラクターはレヴィです。

でも、大人になるとロックという人物にも惹かれるようになりました。

普通の日本の会社員だった男が、自分の意思で裏社会に踏み込み、生き方を選び直していく。

その変化がすごく好きです。

特に印象的なのは、一人称が「僕」から「俺」に変わる瞬間です。

たった一文字なんですけど、その一文字の中に覚悟と決意が全部詰まっているように感じました。

派手な銃撃戦よりも、こういう内側の変化を描けるところが、この作品の本当の強さなんだと思います。

僕は昔から強い女性キャラクターに惹かれます。

レヴィ、バラライカ、エダ、ロベルタ、シェンホア。

それぞれ魅力はまったく違います。

でも共通しているのは、自分のルールを曲げないこと。

口は悪い。でも、自分をごまかさない。

僕がレヴィを好きなのは、強い女性だからというだけではありません。

登場人物の中でも、ある意味で一番「現実」を知っている人だと思うんです。

世の中は綺麗事だけでは回らないし、善意だけではどうにもならないこともある。レヴィはそれを頭で理解しているというより、実際に生きてきた時間の中で知っているように見えます。

だから彼女の言葉には容赦がない。

でも面白いのは、そんなレヴィがロックに諭される瞬間があることです。

現実を知っているレヴィと、それでも理想を捨て切らないロック。

どちらかが正解というわけではなく、二人が一緒にいることで、お互いの価値観が少しずつ揺さぶられていく。

僕はその関係性も含めて、レヴィというキャラクターがすごく好きです。

広江礼威先生が描く人物は、みんな何かを背負って生きています。

その重さがセリフにも行動にも自然と滲んでいるから、どの人物も忘れられないんです。

昔は「カッコいい漫画」だと思って読んでいました。

でも今は、昔とは違う読み方をしています。

惹かれていたのは悪っぽさじゃなく、自分の生き方を最後まで貫こうとする人たちの姿だったんだと気付きました。

だから何度読み返しても、その時の自分によって刺さるキャラクターも、残るセリフも変わる。

きっと何年後かに読み返したら、また違う人物に惹かれているんだと思います。

そんなふうに、自分の変化まで気付かせてくれる作品だからこそ、僕は今でも『BLACK LAGOON』を読み返しています。

◆世界さんが紹介した本

『BLACK LAGOON』(広江礼威/小学館)

https://link.amazon/B03TuhYrV

【プロフィール】

世界(EXILE / FANTASTICS)

2月21日生まれ、神奈川県出身。2014年、EXILEに新パフォーマーとして加入。2017年、FANTASTICSとしても活動を開始。現在はEXILEとFANTASTICSのパフォーマーを兼任し、活躍の場を拡げている。漫画・アニメ・ゲームなどエンタメに造詣が深く、2025年4月から上演された『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage《MAD TRIGGER CREW&どついたれ本舗 feat. 道頓堀ダイバーズ》に、寶井灯依里役で出演。2025年7月公開の映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』では、謎の組織・ミューターの王・カリエス役を熱演し、話題に。

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Instagramアカウント https://www.instagram.com/exile_sekai_official/

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