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夫婦がフルタイムで働かないと家が買えない時代。息苦しさを感じながら娘の「小学校受験」に挑むワーママの物語【著者対談】

  • 2026.9.4

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「小受」。就学前の子どもたちが、名門小学校への入学を目指す小学校受験のことだ。未就学児たちの進学塾とも言える幼児教室の送迎や、親子揃っての面接など、保護者がかかわるタスクの多い小受は、家族全員にとっての戦いでもある。しかし、中学受験や高校受験に比べると受験者は少ないため、小受とはどんなものなのか詳しく知る人は多くないだろう。

『君の背中に見た夢は』(外山薫:原作、たちばな豊可:漫画/KADOKAWA)は、そんな小学校受験に挑む家族の物語である。「子どもの将来の選択肢を増やせるのは自分だけ」という責任を感じながら、仕事との両立や夫との関係で葛藤する母親・茜の姿は共感必至だ。

原作小説の著者であり、慶應義塾大学出身という経歴を生かして教育分野での発信を続ける作家の外山薫さんと、3人の子どもを育てながら漫画家として活躍するコミカライズ版の著者・たちばな豊可さんのふたりに、本作に込めた想いや制作の裏話について伺った。

※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。ご了承の上お読みください。

——小学校受験は保護者がかかわるタスクが多いため、母親は専業主婦じゃないと難しいというイメージがあります。そんな中、本作では「ワーママの主人公が娘の小受に挑戦する」ところに新しい視点を感じました。

外山薫さん(以下、外山):今は共働きが当たり前の時代ですし、女性の仕事面での役割も増えていますよね。小学校受験が多い東京では、夫婦がフルタイムで働かないと希望するエリアで家が買えない、といった声も耳にします。かといって子育ての手を抜くわけにはいかず、その負担も母親にかかることが大きい。

これから子どもの教育をどうしようかと考えたときに「中学受験は過酷すぎるから小学校受験を考える」という人が増えていると耳にして、これは新しいなと感じました。

たちばな豊可さん(以下、たちばな):私も主人公の茜と同じように仕事をしながら3人の子どもを育てているので、原作小説に共感しました。子どもの未来のためならなんでもしたいのに、自分のことが手一杯でうまくいかない働くママの息苦しさや、狂気じみた強い意志みたいなものが刺さりましたね。小説ではママ友同士のドロドロした側面も描かれていますが、読後感はとても爽やかでした。

——外山先生はコミカライズ版をご覧になって、どんな印象を抱きましたか。

外山:コミカライズ版は、たちばなさんの絵がめちゃくちゃうまいなって思いました。私、小説よりも多く読んでいるくらい漫画が好きなんですよ。たちばなさんの漫画をXに投稿したら結構バズって、絵は人の感情を動かすんだなとあらためて感じましたね。

自分で書いた小説ですが、漫画になってから「こういう話だったんだ」って気づくようなところもありました。とくに、受験終盤に主人公の茜がイライラしている様子とか、夫婦の言い合いみたいなやりとりが生々しくて。

たちばな:茜がひとりで家族旅行を計画したのに、前日になって夫の総介からスマホで「行けない」とだけ連絡が来て怒り狂う場面などは、私自身も夫と意見が合わずにイラッとしたときのことをそのまま素直に描きました。友人同士でもこういう他愛ない愚痴は盛り上がるので…(笑)。夫が悪、とかではなく、なんでこうもうまくいかないんだろうっていうイライラみたいなものを表現できれば、と。

外山:男性は、仕事をして収入があれば世間から認められる平成の風潮がいまだに残っていますよね。私自身も男性ですが、この作品では茜を主人公にして“男性陣は役立たず”という母親目線で書きました。ママ友同士のドロドロしたところも意図的に入れているんです。

取材・文=吉田あき

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