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TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』で描かれるモンゴル・イスラム文化から見えてくるものとは?【出演声優座談会】

  • 2026.9.5
【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』で描かれるモンゴル・イスラム文化から見えてくるものとは?【出演声優座談会】 1枚目
ABEMA TIMES

2026年7月より、秋田書店「Souffle(スーフル)」にて連載中の漫画『天幕のジャードゥーガル』(著・トマトスープ)のTVアニメが放送中だ。学者一家に引き取られた少女・シタラは、モンゴル帝国の侵攻によって家族を失い、捕虜として帝国へ仕える事に。第三皇子オゴタイの第六妃ドレゲネと出会ったシタラは、培った知恵を武器に、帝国を内側から崩壊させるべく暗躍していく——。

【映像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』

重厚なストーリーがユーモアも交えながら描かれる本作は、中世のモンゴル文化をはじめイスラム文化など、現代日本に生きる我々から見て馴染みが薄い時代背景が題材として扱われている。様々な異文化や登場人物たちの思惑が交錯する複雑な要素を持っているからこそ、作中で描かれる一つ一つの事が印象に残り、今を生きる自身と比べる見方も面白いはずだ。

本記事では、TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』の主要キャストである、シタラ役の関根明良、ドレゲネ役の小清水亜美、ムハンマド役の齋藤潤、オゴタイ役の下野紘、トルイ役の鈴木崚汰による座談会より、本作に参加するにあたりモンゴル文化をはじめとした要素をどのように受け止めていったのか、作品の魅力とあわせて語られた内容をお届けする。

——TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』は、モンゴル文化やイスラム文化を土台にした、登場人物たちの多様な価値観が印象的です。なかなか馴染みがない要素も多いですが、収録にあたってどのように受け入れていったのでしょうか。

関根:収録の前に音響監督の小沼(則義)さんが時代背景や文化について一つ一つ説明をしてくださっていました。たとえば奴隷という言葉も、怖く響く言葉だけれど当時は「お金で雇う人」という部分があるので、怖く考えすぎないでくださいという説明があって。

——たしかに第1話ではシタラが奴隷としてファーティマに買われていくシーンが、家具を買うかのようにすごくナチュラルに描かれていてカルチャーショックでした。

下野:日本で言うところの奉公人みたいなものですよね。

小清水:実際には環境次第で様々ではあっただろうけれど、一例としてのこのシーンでは家政婦さんとか、じいや・ばあやみたいな。

関根:本作での扱いとしては、ひどいものではなくて。

小清水:奴隷は責任を負わなくていいというのも印象的で、そこはちょっと日本の感覚の奉公人とも違うかもしれないですよね。

下野:そこも良し悪しだよね。実は『天幕のジャードゥーガル』をやる前に、世界史を学ぶ番組のナレーションをした事があって。そのなかでモンゴルも扱っていたんですけど、ヨーロッパのあたりから始まった文化が少しずつ流れていって大成して衰退していくというなかで、モンゴル帝国って本当にいろいろな国を取り込んで大きな国になっていった。

それまでは支配された側が統治した側の宗教や文化を学んでいかなければいけないという事だったのだけれども、逆に(統治側が)取り入れる事で当時どこの国も太刀打ち出来ない強大な帝国になっていったというのが、どうやらモンゴル帝国だったらしい。

第1話でも書物を取っていったけれど、なくしてしまえという考え方ではなくて、何か得られるものを繁栄のために取り入れていったという。

小清水:いいところを残しながらっていうのは、一見理想的に見えるよね。

下野:そうそう。だけど、史実としてそんなモンゴル帝国が小さくなっていったのは何故なのか。世界史を見ていくと世代が変わる事によって考え方も変わっていく事があって。

『天幕のジャードゥーガル』という作品は、イスラム文化やモンゴル文化に触れている事もあって、いろいろな人たちの考え方や生き方が、共存の仕方や敵対の仕方も含めてすごく入り混じったものすごく複雑な作品なのだと改めて思いましたね。

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』で描かれるモンゴル・イスラム文化から見えてくるものとは?【出演声優座談会】 2枚目
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——日本史という観点から見ると、鎌倉時代の元寇が大きいですよね。

関根:当時の、名乗りを上げて戦う日本の文化や作法が集団で押されて。

小清水:モンゴルの馬自体や乗り方も特殊で、縦揺れが少なく、乗る人間への負担が少ない。この安定力が、長距離移動や弓矢による戦いの優位性になっていたというのが、この作品に触れた事による学びが多いです。

鈴木:肉の捌き方も文化によって違いましたよね。

下野:『天幕のジャードゥーガル』がモンゴル帝国を中心に扱った作品と聞いて、そのためにやっていたわけじゃないけれど、(ナレーションの仕事を)やっていてよかったなと思った。

齋藤:今のお話がすごくて、僕は何も言えなくて……。

下野:特殊な例だよ!

一同:(笑)

小清水:齋藤くんの世代ではモンゴルについてどう教わっていたの?

齋藤:モンゴルは元寇くらいで、僕の中では一回の授業で教わってそれっきりでした。

鈴木:チンギス・カンとかフビライ・ハンくらい?

齋藤:描かれた顔を見た事があるくらいでした。

——本作に参加されるにあたって、原作を読みつつ改めて学んでいったわけですね。

齋藤:ターバンを巻いている事も含め、自分が見た事なくて知らない事が多かったので、ネットで調べながら原作を読んでいました。知らない事ばかりだったので、それはすごく刺激になりましたね。

下野:知らない事を一生懸命調べながら読んでいくって、まさにムハンマドみたいだね。

小清水:素敵だよね。でも、ネットで調べてみても情報が少なくて。

鈴木:音響監督の小沼さんの方が詳しいかもしれませんよね。

関根:調べてもわからなかった事を現場で教えていただいて。とても印象深かったのは、日本とは正反対の末子相続というところでした。

小清水:実際に日本もその方がいい場合もあるかもって思ったり。先に自分たちの兄が領地を作って経済を回し、最後の子どもが親を守りつつ財産を継いでいくのは、理にかなっている部分も多くて、なるほどなぁって。

——私も今回のインタビュー前に原作のほか、参考文献にも目を通したのですが、本作を知ったあとにモンゴル帝国の歴史を読むと、名前がわかっているだけですんなりと史実が入ってきたのが印象的でした。

下野:齋藤くんと同じように、知れば知るほど「これはどうなっているの?」という事が本当に気になって、少しずつ教えてもらえるのがこの作品だなと思いました。知らないからこそ面白いですよね。

小清水:あといろいろな食べ物も出てきますけれど、私はモンゴル料理屋さんってあまり馴染みがなくて。意識していないだけかもしれないですが。この作品をきっかけに、作中に描かれている食べ物を食べてみたいなってとても興味を持ちました。

関根:ミルクティーと聞くと甘いものを想像してしまうのですが、しょっぱいミルクティーってどんな味がするんだろうって。

小清水:しかも基本ヤギの乳だから、牛乳とも味のクセが違うだろうしね。

下野:美味しいかもよ? 塩味があって。

齋藤:スポーツドリンクみたいな?

一同:(笑)

齋藤:ごめんなさい!

下野:絶対記事に残してくださいね!

——はい(笑)。

下野:(実際に検索して)調べてみるとけっこうあるよ。

小清水:へーー行ってみたい! 読んでくださっている方も、ぜひ身近で探して行ってみて欲しいですね!

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』で描かれるモンゴル・イスラム文化から見えてくるものとは?【出演声優座談会】 3枚目
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——食べ物がいちばん身近に異文化に触れられるきっかけかもしれないですね。最後に、本記事の読者に向けて、TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』の魅力をメッセージとしていただけますでしょうか。

下野:この作品は登場するキャラクターたちが様々な考え方を持ちつつ、自分たちの中に正しいものをそれぞれが見つけようと思って生きていくという人間ドラマになっています。

セリフやモノローグで表現されている部分はもちろん、それだけではない描写から本当はこういう想いがあったのかもと気づけるかもしれない。そういう細かい部分までアニメーションで描かれていますので、原作とともにいろいろな方にご覧いただけたら嬉しいなと思います。

鈴木:本作で描かれている文化は、形を変えて現代にも通じるものがあるのだと感じました。今の自分たちと当時の人たちを当てはめてこの作品に触れていただくと、作品の奥深さや自分が生きる事への関心がより深まるのではないかと思います。細かな文化などにも触れていただけると嬉しいです。

齋藤:この時間みなさんのお話や考え方を聞いて、自分の中で考えがまだ弱くてこの作品の見られていない部分がたくさんあったと感じました。

でも、自分の中に生まれた「なぜ?」という事に対して、知らない事はたくさんあるけれど理解しようとする行動の一つ一つが、みなさんのような奥深い人生に繋がっていくのだろうなと思います。だから僕もまだまだ勉強しなければならないですし、したいなという気持ちを忘れないでいたいです。

小清水:『天幕のジャードゥーガル』という作品を通じて日本とは違う異文化に触れていただき、様々な意見も飛び交うのでは無いかと思うのです。その時に大切に持っていて欲しいのが“自分自身の考え“で。

たくさんの知識を得た状態で、「あなたは何を思うの?」「何が好き?」「どうしたい?」という問いに、誰かの顔色をうかがったり他人と足並みをそろえない、「純粋に自分はどう思ったのか」「どう感じたのか」の感想を大切にしてもらいたいと思いました。

もちろん、他人の意見によって考えが広がる影響も素敵な事である上で、です。感じるままに考え意見を持つ事は、今の私たちが自由である事の一つだから。自由に楽しんで観て欲しいです!

関根:はじめシタラは強い女の子だと感じていたのですが、原作を読み収録を重ねていくなかで、彼女はそんなに強い女の子じゃないのではないかと感じました。

彼女の中にある復讐の炎が、たびたび作中で弱まるところがあるのですが、それでも、そのたびに炎に薪がくべられて激しく燃えていく。これが運命なのかなと思いますし、何より絶対に忘れるものかという彼女の想いを感じました。

シタラもそうですが、この作品には国のため家族のため信念のため、意志と目的をしっかり持ったキャラクターたちばかりです。シタラはその中でたくさんの経験をし、荒波にもまれながら、互いの正義をぶつけ合っていくので、ぜひぜひ彼女の立ち向かう姿と行く末を見守っていただけたらなと思います。

——ありがとうございます!

【写真・画像】TVアニメ『天幕のジャードゥーガル』で描かれるモンゴル・イスラム文化から見えてくるものとは?【出演声優座談会】 4枚目
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異なる時代背景や登場人物たちの物語を通じて、現代日本でも共感出来るものや新たな発見があるはずだ。作品として楽しみつつ、自らが興味を惹かれた要素があれば、一歩踏み出して触れる事で新たな学びとして人生の糧にしてみて欲しい。

取材・テキスト/kato
(C)トマトスープ(秋田書店)/天幕のジャードゥーガル製作委員会

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