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30年前、“ウルトラマン”長野博は骨折していた!? V6の主題歌を伝説にした6人のバク転

  • 2026.9.7
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

再生ボタンを押した瞬間に浮かぶ景色が、人によって二つに割れる曲がある。光の巨人が空へ飛び立つ画面の前で覚えた人と、6人がキレキレに踊るテレビの前で覚えた人。同じイントロを聴いているのに、思い出している場所が違う。

デビュー30周年で全曲が配信解禁されたとき、この曲は代表曲として真っ先に名前が挙がる位置に並んだ。だが当時、この曲が毎週流れていた場所は、土曜夕方のテレビの前だった。1996年秋、『ウルトラマンティガ』が始まる合図として。

子どもにとってはヒーローの歌で、大人にとってはキレキレで踊るアイドルの新曲。同じ1曲を別々の入口から手に入れた世代の共有体験を、いまからあの秋へ測り直してみたい。

V6『TAKE ME HIGHER』(作詞:鈴木計見/作曲:Giancarlo Pasquini・Jennifer Batten・Alberto Contini)ーー1996年9月16日発売

戦うヒーローが画面の外で歌っていた

土曜の夕方、『ウルトラマンティガ』が始まる。画面に光の巨人が立ち上がるより先に、耳へ飛び込んでくるのがこの曲だった。速いビートと張りのある歌声が、本編の前から気持ちを前へ押し出してくる。

この曲の構造は、子どもにも大人にも一瞬で伝わる。主人公ダイゴを演じる長野博が、歌っているV6の中にいる。画面の中で戦う人と主題歌を歌う人が同じだという直結は、説明されなくても毎週の視聴で体に入ってくる。主題歌が番組の飾りではなく、番組と同じ体温を持っていた理由はここにある。

V6にとっては、デビューから1年足らずで出した4枚目のシングルだった。アイドルが単独で特撮の主題歌を歌う起用そのものが、当時は異例のことだった。子どもたちはウルトラマンの曲として、親や兄姉はV6の新曲として、同じ1曲を別の入口から所有する。週に1回、決まった時間に、家のテレビから同じイントロが流れる。その反復が、ティガ世代と呼びたくなる共有体験を作った。歌番組で踊る6人と、土曜夕方に戦う主人公が、ひとつの曲でつながっていたのだ。

番組を説明せずに前を向かせる言葉

歌詞を追っていくと、気づくことがある。この歌詞には「ウルトラマン」という言葉が出てこない。作品の名前として織り込まれているのは「TIGA」の一語だけで、それも歌の流れを止めずにすっと通り過ぎていく。

番組の主題歌でありながら、番組を説明しない。だからこそ、この曲は放送が終わったあとも、1本の応援歌として自分の足で立ち続けた。高みへ連れていけと呼びかけるタイトルの語感と、サビで一気に張る歌声だけで、聴き手の背中を押す温度は伝わる。歌詞の筋を追えない年齢の子どもでも、サビの勢いだけで前を向けた。

の推進力を作ったのは、デビュー曲『MUSIC FOR THE PEOPLE』と同じ、デイヴ・ロジャース率いるイタリアのユーロビート作家チームだ。初期V6のスピード感を一貫して支えた作り手が、ここでも速いビートの上に歌いやすいメロディを乗せている。編曲は星野靖彦。跳ねるビートの上で言葉が説明に回らず、ただ前へ進むことだけを引き受けている。だから番組を知らない耳にも、応援歌として届く。

ビートの続きを身体で鳴らしてみせた

この曲を「見た」記憶の中心は、テレビ画面の中の間奏にある。歌が途切れ、ビートだけが走り出したところで、6人が次々に後ろへ跳ぶ。間奏から曲の終わりにかけて連続バク転が入る振り付けは、ユーロビートの推進力を身体でそのまま受け止めたような見せ場だった。

歌詞が前を向かせ、ビートが加速させ、その勢いをメンバーの身体が最後まで引き継ぐ。曲と振り付けが同じ方向を向いているから、テレビの前の子どもは真似できないバク転に目を丸くし、大人は踊るアイドルのキレに目を奪われたのだと感じる。

当時、ティガを演じる長野博はバク転ができなかった。メンバー全員で特訓を重ねて、本番に間に合わせた。画面の中で戦う主人公が、画面の外では仲間と一緒に跳ぶ練習をしていた。この曲が初期V6のアクロバティックなイメージを象徴する1曲として語られる理由は、この間奏に凝縮されている。

テレビサイズの短い間奏で、跳ぶ回数を惜しまない。その贅沢さが、曲の速度をそのまま画面の速度に変えていたのだと感じる。

隠したまま跳び続けた片手の側転

その間奏には、放送から約30年たって明かされた事実がある。2026年7月、『ウルトラマンティガ』の30周年を記念するステージで、長野博が本人の口から語った。

楽屋での練習中に腕を傷め、突き指だと思って本番のバク転を決行した。あとから病院で骨折と分かり、以後は負担の少ない片手側転に変えて、舞台をやり切った。番組の第15話でダイゴが腕を負傷する場面に、左手を確かめるカットが入っているのも同じ時期のことだ。

画面の中で腕を痛めた主人公と、画面の外で腕を痛めたまま跳んでいたアイドルが、同じ人だった。テレビの前では、その側転が骨折の結果だとは気づかなかったと思う。気づかせないまま曲の速度を落とさなかったことが、この曲を語るときに逸話が曲を追い越さない理由でもある。

逸話に酔いたいわけではない。この話を知ってから聴き直すと、サビが持つ前へ向かう温度が、身体を張って守られていたものに聞こえてくる。

土曜夕方から配信の先頭に立つまで

2025年9月、イナズマロックフェスの舞台で、長野博と井ノ原快彦が西川貴教とこの曲を歌い、ウルトラマンティガが舞台に姿を見せた。V6全員がそろったわけではない。それでも、あの間奏で跳んでいた2人が歌う横に光の巨人が立つ景色は、土曜夕方のテレビの前をそのまま野外へ持ち出したように映った。

同じ年の11月、デビュー30周年で全曲が配信解禁。並んだ代表曲の中で、この曲は真っ先に名前が挙がる位置にいた。

再生画面に並ぶ曲名を見て、子どもだった人はヒーローの歌として、大人だった人は踊るアイドルの歌として、それぞれの入口から同じ曲を押す。親になったティガ世代なら、自分の子どもと一緒に歌える曲になっているはずだ。30年前に土曜夕方から始まった共有体験が、同じ温度で鳴り続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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