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「どの浴衣が似合う?」彼に写真を送った私、祭りの日、差し出された紙袋の中身

  • 2026.8.27
ハウコレ

姿見の前で2着の浴衣を交互に当てながら、私はスマホの角度を何度も直していました。短い返事のあと、私は相談するのをやめて、1人で選んで祭りの日を迎えました。彼が差し出した小さな紙袋の中身に、私は言葉を選び直すことになります。

選んでほしかった2枚

付き合って1年になる彼と、初めて2人で夏祭りに行く約束をしていました。浴衣はレンタルすることにして、1人で選びにいきました。候補に残ったのは、紺地に朝顔が咲くものと、白地に金魚が泳ぐもの。どちらも捨てがたくて、試着した姿を順番に撮りました。「どの浴衣が似合う?」。写真を2枚添えてメッセージを送り、返事を待つ間、私は帯の棚の前を行ったり来たりしていました。彼が選んでくれた方で祭りを歩くところを想像して、合わせる帯の色まで考え始めていました。

返ってきたのは「いいじゃん」だけ

通知の音に急いで画面を開くと、浮かんでいたのは「いいじゃん」。それだけでした。どっちが、と聞いたつもりだったのに、続きの言葉はいくら待っても届きません。楽しみにしているのは私だけなのかもしれない。そう思ったら、選んでもらいたかった気持ちごとしぼんでいきました。「じゃあ自分で決めるね」と返して、私は紺の朝顔柄を選びました。店員さんはよくお似合いですと言ってくれたのに、その言葉を素直に受け取れない自分がいました。

短くなっていくやりとり

その日から、彼とのやりとりは事務連絡のようになりました。祭りの集合場所を決める話も、私からは必要なことだけ。彼から届いた「楽しみだね」にも、絵文字1つで返してしまいました。既読はすぐつくのに、会話は続きませんでした。どの浴衣にしたのかも、私は最後まで伝えませんでした。画面の向こうで彼が何を考えているのか、あの頃の私には分からないままでした。当日、鳥居の前に立つ彼を見つけた時、私は人の流れの中で歩幅を緩めてしまいました。

そして...

歩み寄ってきた彼は、鞄から小さな紙袋を出しました。「あの写真の浴衣に、合うと思って」。中をのぞくと、白い朝顔の髪飾りが入っていました。「どっちも似合ってて、選べなかったんだ」。責めるつもりで用意していた言葉が、ほどけていくのが分かりました。私の口から出たのは「つけて」の一言でした。ぎこちない手つきで髪に飾りを留めてもらう間、屋台の明かりがにじんで見えました。あの髪飾りは今、玄関の鏡の横に掛けてあります。次の夏の浴衣は、最初から2人で選びに行く約束をしました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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