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「10万円、車検代で今月ちょっと厳しくて」5年たっても話に触れない弟に、私が静かに見せた一枚とは

  • 2026.8.27

「次のボーナスで返す」から、5年が過ぎた

5年ほど前の夏、実の弟が家を訪ねてきました。玄関先で少し言いにくそうにしていた弟が、やがて口を開きました。

「車検代の支払いがあって、今月ちょっと厳しくてさ。10万円だけ貸してもらえないかな」

給料日まで生活費が足りなくなりそうだと言います。普段から何度もお金を頼んでくるような弟ではなかったので、私は細かく問い詰めませんでした。

「次のボーナスが入ったら返すから。本当に助かる」

そう言われ、私は10万円を渡しました。兄弟なのだから、わざわざ借用書まで作らなくてもいいだろうと思っていたのです。

ところが、ボーナスの時期を過ぎても弟から連絡はありませんでした。

半年に一度ほど親戚の集まりで顔を合わせても、弟はいつも通りに話します。こちらも「お金のことなんだけど」と切り出せないまま、時間だけが過ぎていきました。

催促すると関係がぎくしゃくするかもしれない。だからといって親に話せば、余計な心配をかけます。

そう考えているうちに、気づけば5年がたっていました。

ただ、私は仕事の習慣で、人から頼まれたことや金銭のやり取りを手帳に残す癖がありました。その日のことも、日付と金額、弟が話した内容を簡単に書き留めてありました。

この日は、一度きちんと話そうと決めていた

その年の親戚の集まりを前に、私はそろそろ曖昧なままにするのをやめようと思いました。

家を出る前に昔の手帳を探し、5年前のページを確認してから鞄に入れました。弟を責めるためではありません。自分の記憶だけで話して、言った言わないになるのを避けたかったのです。

集まりの間は、いつも通りに過ごしました。

そして皆が帰り始めたころ、私は弟に声をかけました。

「ちょっとだけ、話せるか」

二人になってから、私は手帳を開いて弟の前に置きました。

そこには、貸した日付と10万円という金額。そして「次のボーナスで返す」と弟が話したことだけが書かれていました。

弟はページを見たまま、しばらく黙っていました。

「……これ、ちゃんと残してたんだな」

「うん。別に責めたいわけじゃない。ただ、もう曖昧なままにしたくなくて」

すると弟は小さく息を吐きました。

「忘れてたわけじゃないんだ。今さら何て言えばいいのか分からなくなって、そのままにしてた。ごめん」

私も、もっと早く聞けばよかったのだと思いました。話を避けていたのは、弟だけではありません。

「じゃあ、一度に返さなくていいよ。毎月いくらなら無理がない?」

弟と相談し、毎月返せる額と振込日を決めました。今度は同じ内容を紙に二部書き、一枚ずつ持つことにしました。

翌月から、弟は決めた日に振り込んでくるようになりました。

次の親戚の集まりでも、私たちは以前と変わらず普通に話しました。お金のことを曖昧にしなくなったぶん、むしろ前より気持ちは楽でした。

5年間ずっと言えなかったことでも、話してみれば、大声を出したり誰かを責めたりする必要はありませんでした。

もっと早く話せばよかった。それが、今でも一番強く残っている気持ちです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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