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隣のコンセントを使おうとした私、見知らぬ男性に指摘された順番

  • 2026.8.24
ハウコレ

譲り合って使うもの、という言葉があの日からずっと残っています。待てなかったのは、ほかでもない私の方でした。

スマホの画面に出た赤い残量表示と、隣の席の足元で光る充電ランプが、同時に目に入りました。

残り3%

その日は初めて行く街でイベントがあり、道に迷わないよう地図を開きっぱなしにしていたら、乗り継ぎの時点で充電が残り3%になっていました。降りた先で使う地図も、先方への連絡も、案内メールも、全部この1台の中にあります。

窓側の席では、先に座っていた女性がコンセントにケーブルを挿していました。順番を待つ余裕はないと思い込み、私はケーブルを手にしたまま窓側へ身を乗り出しました。

「充電したいから、それ抜いて私のを挿してくれない?」

断られた苛立ち

「今使っているので、少し待ってもらえますか」

彼女の返事はもっともでした。それなのに私は、断られたことへの苛立ちで頭がいっぱいになりました。

「通路側にも使う権利あるよね?早くしてくれない?充電無くなるんだけど」

自分の声が周りの席まで届いているのは分かっていました。それでも、急いでいる私が優先されるべきだと本気で思っていたのです。彼女が画面に目を戻すと、舌打ちが出て、私は聞こえるように言いました。

「信じられない。こういう人がいるから嫌なんだよね」

通路の向こうからの声

その時、通路を挟んだ隣の席から声がしました。

「確かにコンセントは通路側の人にも使う権利があるよ。譲り合って使うものだからね。だけど、人の話も聞かずにまくし立てるあんたに、譲り合いができるとは思えないね」

新聞を下ろした年配の男性が、まっすぐこちらを見ていました。怒鳴られたわけでもないのに、言い返す理屈が1つも浮かびませんでした。彼女は少し待ってほしいと言っただけで、順番さえ待てば、きっと譲ってくれたはずです。

それを待てずに奪おうとしたのは私の方でした。周りの視線を感じながら、私は座席に深く座り直し、スマホを鞄にしまいました。

そして...

あの日、彼女にも男性にも、謝る言葉を最後まで口にできませんでした。恥ずかしさから逃げたのだと思います。今はかばんに充電器と予備のバッテリーを入れ、譲ってもらう前に自分で備えるようになりました。足りなかったのは充電ではなく、待つ数分の方でした。

(30代女性・販売員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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