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“認知症なしの人生”を13年延ばす「45歳から気を付けたい3つのこと」

  • 2026.8.9
認知症なしの人生をもっと楽しむには? / Credit:Canva

認知症を防ぐためには、脳トレや記憶力の維持に目が向きがちです。

しかし、将来「認知症なしで過ごせる時間」には、脳だけでなく中年期の血管の健康も深く関係しているようです。

中国・清華大学(Tsinghua University)などの研究チームが1万2409人を長期追跡したところ、高血圧、糖尿病、喫煙という3つのリスクがない人は、3つすべてを持つ人より「生きていて、なおかつ認知症ではない期間」が平均12.6年長いことがわかりました。

研究成果は2026年8月5日付で医学誌『Neurology Open Access』に掲載されています。

目次

  • 認知症になる「確率」ではなく「認知症なしで生きられる時間」に注目
  • 高血圧・糖尿病・喫煙が重なるほど「認知症なしの時間」が短くなる

認知症になる「確率」ではなく「認知症なしで生きられる時間」に注目

高血圧や糖尿病、喫煙が、将来の認知症と関連することは以前から知られていました。

しかし従来の研究では、「認知症になりやすいか」という発症リスクに注目するものが多く、その人が実際に何年間を認知症にならずに生きられるのかは十分にわかっていませんでした。

そこで研究チームが調べたのが「認知症なしの生存期間」です。

これは、「生きていて、なおかつ認知症ではない状態」で過ごせる時間を意味します。

研究には、米国で長期間続けられているARIC研究の参加者1万2409人のデータが使われました。

研究チームは中年期に、高血圧、糖尿病、現在の喫煙という3つの血管リスクを調べ、それぞれが何個当てはまるかによって参加者を0~3個の4グループに分けました。

高血圧は血圧が140/90mmHg以上、または降圧薬を使用している場合、糖尿病は診断歴や糖尿病薬の使用、HbA1c(ヘモグロビンA1c:過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標)が6.5%以上などを基準に判定しています。

喫煙については、調査時点で吸っている人をリスクありとしました。

そして55歳時点で生存し認知症ではなかった人を対象に、最大95歳までを分析しました。

追跡期間の中央値は26.3年に及び、その間に3008人が認知症を発症し、5238人は認知症にならないまま亡くなりました。

そして、3つの血管リスクが増えるほど、認知症にならずに生きられる期間が段階的に短くなることが判明しました。

では、その差はどれほど大きく、なぜ生まれたのでしょうか。

より詳しい結果を次項で見ていきます。

高血圧・糖尿病・喫煙が重なるほど「認知症なしの時間」が短くなる

55歳から95歳までの40年間について、「生きていて、認知症でもない状態」で過ごす平均年数を計算すると、血管リスクが0個だった人は30.1年でした。

ところが1個では26.3年、2個では21.0年、3個すべてを持つ人では17.5年まで短くなりました。

0個と3個の差は12.6年です。

さらにリスク0個の人と比べると、3個すべてを持つ人では認知症を発症するハザードが2.69倍でした。

それ以上に大きかったのが死亡との関連で、認知症になる前に死亡するハザードは5.61倍に達していました。

3つのリスクを持つ人は認知症を早く発症しやすいだけでなく、それより前に亡くなる人も多かったため、「生きていて認知症ではない時間」が大きく短くなっていたのです。

実際、95歳までの累積認知症発症率は、リスク0個の人で42%、3個の人では23%と、一見すると逆転していました。

しかしこれは3リスク群で認知症になる前の死亡が非常に多く、認知症が増える高齢期まで生存する人自体が少なかったためです。

研究者らは背景として、高血圧や糖尿病による慢性的な脳血管の損傷や炎症、喫煙に伴う酸化ストレスなどが関係している可能性を挙げています。

こうした負担が積み重なることで動脈硬化や脳卒中のリスクが高まり、さらにアルツハイマー病に関係する変化にも影響する可能性があります。

では、今から何ができるのでしょうか。

研究者は今回の結果を踏まえ、中年期から禁煙し、血圧など血管の健康に注意する重要性を訴えています。

特に研究責任者のジョセフ・コレシュ(Josef Coresh)氏は、45歳ごろから血管の健康に目を向けることを呼びかけています。

とはいえ、今回の研究は観察研究であり、血管リスクも中年期の1時点で評価されました。

そのため、禁煙や血圧・糖尿病と「認知症なしの人生」の関係については、今後さらに調べる必要があります。

それでも今回の結果は、老後の脳を守る準備が高齢になってから始まるのではなく、中年期から血管を守ることと深くつながっている可能性を示しています。

参考文献

What You Do Between 45 And 65 Could Buy You 13 Extra Dementia-Free Years, Study Finds
https://www.sciencealert.com/avoiding-these-3-things-in-middle-age-linked-to-delayed-dementia

元論文

Midlife Vascular Risk Burden and Dementia-Free Survival Years
https://doi.org/10.1212/WN9.0000000000000152

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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