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TVアニメ放送中! 『鬼の花嫁』コミカライズ最新10巻で花嫁が目撃したのは、愛する人の浮気現場!? すれ違う恋と龍の災いに隠された真実【書評】

  • 2026.8.8
鬼の花嫁 富樫じゅん:作画、クレハ:原作/スターツ出版
鬼の花嫁 富樫じゅん:作画、クレハ:原作/スターツ出版

【漫画】本編を読む

家族に愛されなかった少女が、あやかしの頂点に立つ鬼に見初められる。その劇的な出会いから始まる和風シンデレラストーリーに、アニメでもすっかり引き込まれてしまった。

その作品とは、シリーズ累計発行部数750万部突破の『鬼の花嫁』(クレハ/スターツ出版)。実写映画化されたことでも記憶に新しいこの作品のTVアニメ放送がついにスタートしたのだ。アニメでは、家族から愛されない日々を送る平凡な少女・東雲柚子を早見沙織、あやかしの頂点に立つ鬼の一族の次期当主・鬼龍院玲夜を梅原裕一郎が演じる。不遇な日々の果て、運命の相手と巡り会えた少女を何が待ち受けているのか。この作品の元々のファンは、早くあの甘く切ない展開をアニメで見届けたいと思うだろうし、アニメから見始めた人も、思わず続きが気になってしまうに違いない。

TVアニメをきっかけに『鬼の花嫁』の世界をもっと深く味わいたい人におすすめしたいのが、コミカライズ版『鬼の花嫁』(富樫じゅん:作画、クレハ:原作/スターツ出版)。原作小説の幻想的な世界観も魅力だが、コミカライズ版では、細やかに描き込まれた美しい絵が、その世界をより鮮やかに映し出してくれる。最新10巻では、ヒロインの少女が、愛する人と別の女性の“浮気現場”とも見える場面を目撃してしまう。信じたいのに、何も知らされない。不穏な出来事が相次ぐなか、愛する人を思うからこそ本心を言えず、すれ違ってしまうふたり。だが、その思いをぶつけ合うことで、ふたりの絆はさらに深まっていく。

運命の出逢いからはじまる、和風あやかしシンデレラストーリー

物語の舞台は、人間とあやかしが共生する架空の日本だ。美しい容姿と優れた能力を持つあやかしは、人間を超える地位と力を持つ特別な存在。彼らは時に、人間の女性の中から「花嫁」と呼ばれる運命の相手を見出し、選ばれた女性を生涯にわたって深く愛し続ける。

そんな世界で生きる少女・柚子は、家族から冷遇される日々の果てに、運命の出会いを果たした。血のように赤い瞳と、人間離れした美しい容姿を持つ鬼龍院玲夜。あやかしの頂点に立つ「鬼」の一族の次期当主だ。突然玲夜に求婚された柚子は、惜しみない愛情を注がれながら、新たな人生を歩み始める。

だが、花嫁修業として学校に通い始めた柚子の前に現れたのは、一龍斎家の令嬢・ミコト。一龍斎は、人間界の頂点に立ち、龍の加護を持つとされる一族で、玲夜でさえ一目置く相手だ。その令嬢であるミコトは、こともあろうか柚子から花嫁の座を奪おうとする。柚子や大切な仲間が不可解な事故に巻き込まれるなか、玲夜は思い詰めた表情を浮かべる。何日も家に帰らない玲夜。さらに柚子は、彼がミコトを連れてホテルへ入る姿を目撃してしまい……。

試される、ふたりの絆

玲夜は柚子を裏切ったのだろうか。まさかそんなはずはない。柚子や大切な仲間の命に危険が及ぶなかで、玲夜は「柚子は何も心配する必要はない」と言っていた。きっと柚子を守るために何かをしているに違いない。柚子だってそう思いたいが、玲夜は何も話してはくれない。

そのうえ、玲夜がミコトと一緒にいる姿まで見てしまったのだから、柚子の不安は募る一方だ。ミコトを毛嫌いしていたはずの玲夜が、どうして彼女と一緒にいたのか。思い悩む柚子の姿に、私たちまで切ない気持ちになる。

愛する人に本音をぶつける勇気

その柚子を支えるのが親友・透子だ。「たまには感情に流されるまま、腹の底をぶつけてもいいんじゃない?」透子のそんな言葉が柚子の心を動かしていく。愛する人だからこそ、本音は言いにくい。

だが、一方が不安を抱えたままで、恋は上手くいくはずはない。柚子は透子に背中を押され、ついに自分の思いをぶつける。「玲夜が困ってることがあったら一緒に悩みたい! なのに玲夜は自分で全てを背負いこんで……玲夜には、私なんていらないんじゃ……」。柚子の葛藤を知った玲夜は、自分が柚子を守ろうとするあまり、かえって傷つけていたことに気づくのだ。

龍の災いと“最初の花嫁”の秘密

甘いだけが恋ではない。恋のすれ違いも、ふたりに襲いかかる試練も鮮やかに描き出すのが、この作品の大きな魅力だ。頻発する不可解な事故のカギを握るのは、一龍斎の一族を守るとされる龍。ミコトの近くで起こる不審な事故や事件は、どうやら彼女が龍に命じて仕掛けたものらしい。

しかもその龍は、なぜか柚子にだけ姿が見え、鎖に囚われたまま助けを求めているようなのだ。龍はなぜ柚子にだけ見えるのか。そして、なぜ助けを求めているのか。その謎の先には、はじめてあやかしに嫁いだ“最初の花嫁”にまつわる真実が隠されていた。

襲いかかる過去最大の試練をふたりはどう乗り越えるのだろうか。ふたりの出会いに魅了されたら、その先に待つ甘さにも切なさにも、きっと夢中になるはず。試練を通して絆を深めていくふたりの姿を、ぜひともあなたも見届けてほしい。

文=アサトーミナミ

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