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「使えなかったから返品して」開封済みのインクを持ち込んだ客。だが、店長の毅然とした対応で状況が一変

  • 2026.8.8
「使えなかったから返品して」開封済みのインクを持ち込んだ客。だが、店長の毅然とした対応で状況が一変

開封されたインクを持ってきた客

十年ほど前、私は家電量販店でアルバイトをしていました。

土曜日の昼過ぎ、店内が多くのお客様で混み合っていたときのことです。

レジに立っていると、五十代くらいの男性が、プリンター用のインクとレシートを持ってやってきました。

購入日は前日です。

男性は商品をカウンターに置くと、少しいら立った様子で言いました。

「これ、使えなかったから返品して」

箱を見ると、すでに封が開けられていました。

中の商品を確認すると、インクの保護テープは剥がされ、プリンターへ差し込む部分には、装着したような跡が残っています。

私は返品の規定を思い出しながら、慎重に尋ねました。

「こちらは、一度プリンターに取り付けられましたか?」

すると男性は、すぐに首を横に振りました。

「使ってないよ。箱を開けただけだ」

しかし、商品には開封しただけでは付かないような跡が見えていました。

私は判断に迷い、返品をその場で受けることはできないと説明しました。

「申し訳ございません。使用された可能性のある商品は、こちらでは返品をお受けできない決まりになっています」

その言葉を聞くと、男性の声が少し大きくなりました。

「使っていないと言っているだろう。昨日買ったばかりなんだぞ」

周囲のお客様がこちらを見るのがわかりました。

男性は「責任者に確認してくれ」と繰り返し、納得できない様子です。

店長が確認した商品の状態

やり取りに気づいた店長が、カウンターまでやってきました。

店長はまず男性の話を遮らずに聞き、それから商品を手に取って状態を確認しました。

「ご不便をおかけして申し訳ございません。念のため確認させてください。こちらはプリンターに取り付けた際、認識されなかったということでしょうか」

店長が尋ねると、男性は少し間を置いてから答えました。

「一度入れてみたけど、うまく使えなかったんだ」

先ほどの「使っていない」という説明とは、少し内容が変わっていました。

店長は責めるような言い方をせず、商品の差し込み口を指しながら説明しました。

「こちらは保護テープが外され、一度装着された状態です。そのため、お客様都合による返品としてはお受けできません」

男性は不満そうな表情を浮かべました。

「でも、使えなかったんだから不良品じゃないのか」

店長はそこで、返品を断るだけではなく、別の対応を案内しました。

「商品自体の不具合であれば、メーカーで確認できる場合があります。また、型番がプリンターに対応しているか、こちらでも確認いたします」

男性が持っていたレシートと商品の型番を照らし合わせると、購入したインクは、男性が使っているプリンターには対応していない種類でした。

どうやら、売り場で似たパッケージの商品を取り違えてしまったようです。

店長は対応機種の一覧を見せながら、静かに説明しました。

「申し訳ございませんが、開封して装着された商品は再販売ができないため、返品は難しくなります。次回からは、ご購入前にプリンターの型番を確認させていただければ、対応する商品をご案内できます」

男性はしばらく商品と一覧表を見比べていました。

やがて、先ほどよりも小さな声で「そういうことなら仕方ないな」と言い、インクを袋へ戻しました。

帰り際、店長が対応するインクの型番をメモして渡すと、男性はそれを受け取り、そのまま店を出ていきました。

男性の態度に緊張はしましたが、店長は最初から相手を決めつけることなく、商品の状態と返品できない理由を一つずつ確認していました。

ただ規定を繰り返すのではなく、何が起きたのかを整理したうえで、次に間違えないための案内まで行う。

その落ち着いた対応を見て、接客では正しさを伝えるだけでなく、相手が納得できるように説明することも大切なのだと感じました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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