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「常連なんだから優先しろよ」朝食会場で焼き魚を何枚も要求した客。だが、スタッフが返した一言で状況が一変

  • 2026.8.9

朝食会場に響いた不満の声

友人と温泉旅館に泊まった翌朝のことです。

朝食は七時半からのバイキングでしたが、僕たちは少し寝坊して、八時ごろに会場へ向かいました。

広間に入ると、料理が並ぶ台の前には十人ほどの列ができていました。

焼き魚や卵焼き、小鉢などを選びながら、宿泊客はゆっくりと列を進んでいます。旅館の朝らしい、穏やかな空気が流れていました。

列が焼き魚のコーナーに近づいたとき、前方にいた五十代くらいの男性が声を上げました。

「焼き魚、もうないじゃないか。補充が遅すぎるだろ」

焼き魚の大皿を見ると、残っているのは一切れだけでした。

近くにいたスタッフの女性が、すぐに頭を下げます。

「申し訳ございません。ただいま焼き上がりますので、少々お待ちください」

しかし、男性は納得しませんでした。

「少々って何分だよ。こっちは待ってるんだぞ」

強い口調が会場に響き、周囲の客も気まずそうに視線を落とします。

スタッフは厨房の方向を確認し、落ち着いた声で答えました。

「あと二、三分ほどでお持ちいたします」

それを聞いた男性は、さらに声を大きくしました。

「俺は何度も泊まりに来てる常連だぞ。先に持ってこいよ」

列の流れが止まり、後ろにいた人たちも困ったように顔を見合わせていました。

何枚も取ろうとした男性

しばらくすると、厨房から焼きたての魚が運ばれてきました。

スタッフが大皿を置こうとした瞬間、男性は料理台の前へ身を乗り出します。

「待たされたんだから、五枚くらいもらうぞ」

男性がトングを手に取ろうとすると、スタッフは大皿に手を添え、静かに声をかけました。

「恐れ入りますが、ほかのお客様もお待ちです。まずはお一人様一切れずつお取りください」

男性は不満そうに眉をひそめます。

「だから、俺は常連だって言ってるだろ」

するとスタッフは、表情を変えずに答えました。

「いつもご利用いただき、ありがとうございます。ただ、朝食会場では皆さま同じようにご案内しております」

声を荒らげることもなく、特別扱いはできないという方針を、はっきりと伝えたのです。

男性は何か言い返そうとしましたが、後ろにはまだ多くの人が並んでいます。

周囲の視線に気づいたのか、やがて小さくため息をつきました。

「……じゃあ、一枚でいいよ」

スタッフは焼き魚を一切れ取り分け、男性の皿へ載せました。

男性はそれ以上何も言わず、そのまま自分の席へ戻っていきました。

止まっていた列が再び動き始めると、後ろに並んでいた年配の女性がスタッフへ小さく声をかけました。

「ありがとう。みんな待っていたからね」

スタッフは、「お待たせして申し訳ございません」と丁寧に頭を下げ、次の客へ焼き魚を取り分けていました。

常連であることを理由に、ほかの客より優先されるわけではありません。

声の大きさに押されることなく、すべての宿泊客に同じ対応をしたスタッフの姿が、今でも印象に残っています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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