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得意げに話していた俺に、彼女がスマホで見せた数十秒の広告の意味

  • 2026.8.7
ハウコレ

減っていく残り秒数を見つめながら、飛ばせないのは広告ではなく、俺の話のほうだったのだと気づきました。

テーブル越しに差し出されたスマホの画面には、2人でよく見ている料理の動画が映っていました。

共感のつもりだった

彼女の話に自分の経験を重ねるのは、俺なりの聞き方でした。営業の現場で覚えた、相手との共通点を早く見つける癖が、そのまま彼女との会話にも出ていたのだと思います。「で、俺の場合はさ」が口癖になっている自覚はありませんでした。彼女はいつも最後までうなずいて聞いてくれるので、会話は成立していると思い込んでいました。

フォークを置いた彼女

その日、彼女は「実はね、面談で」と話し始めました。いい報告の予感がして、俺は「で、俺の場合はさ」と、自分が後輩を指導したときの話を持ち出しました。参考になると思ったからです。職場の人間関係までひと通り話し終えたころには、運ばれてきたパスタはもう冷めていました。彼女がフォークを置いたのが、視界の端に見えました。彼女はかばんからスマホを出し、動画アプリを開いて、画面をこちらに向けました。

「ちょっとこれ、見て」

数十秒のカウントダウン

料理の動画の手順が佳境に入ったところで、飛ばせない広告が始まりました。彼女は画面を俺に向けたまま言いました。

「あなたはこれと同じだよ。見たい動画の途中に割り込んできて、人の時間を奪っていく、飛ばせない広告と一緒」

右下の残り秒数が減っていくのを、俺は目で追っていました。

そして...

数字がゼロになり、動画が再開したあとに言えたのは、それだけでした。

「俺、ずっとこれだったんだな」

今は彼女が話し始めたら、経験談を重ねる前に「それで、どうなったの?」と聞くようにしています。会話の主役を返しただけで、彼女の話は、俺の知らない場面まで続くようになりました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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