1. トップ
  2. エピソード
  3. 「送るよ。一人だと心配だから」優しかった先輩。だが、行き過ぎた行動に伝えた本音

「送るよ。一人だと心配だから」優しかった先輩。だが、行き過ぎた行動に伝えた本音

  • 2026.8.8

優しさが重さに変わった日

入社したばかりの頃、その先輩はとても面倒見のいい人だった。

分からないことを聞けば丁寧に教えてくれるし、困っていれば真っ先に声をかけてくれる。頼れる年上の人だと、最初は素直に感謝していた。

変化に気づいたのは、私のSNSをフォローされた頃からだ。

休みの日に出かけると、翌朝には必ず言い当てられる。

「昨日、あの駅の近くにいたよね?」

背筋がひやりとした。「たまたま見かけて」と先輩は笑うが、その笑顔がどこか噛み合わない。

「週末はどこ行くの?予定、教えてよ」

軽い世間話のようで、質問はいつも私の行動を確かめるものだった。

答えをはぐらかすと、少し不機嫌そうな顔になる。

それがまた、じわりと怖い。そして仕事が終わると、先輩は毎日のように声をかけてくる。

「送るよ。一人だと心配だから」

「大丈夫です、一人で帰れますから」

そう返しても、先輩は当たり前のように家の近くまでついてくる。何度断ってもやめてくれなかった。

一人で抱えず、上司に相談した

「やめてください、もう送らないでください」

はっきり伝えても、先輩は笑って引かない。

「心配なだけだって」と、私の気持ちなど聞こえていないようだった。

毎日つきまとわれるうち、家に帰る時間が一番怖くなっていた。

これは自分だけで抱える問題じゃない。そう思い切って、私は直属の上司に打ち明けた。

声を荒らげることなく、ただ起きた事実だけを、順を追って伝えた。

「それは、放っておけないな。よく話してくれたね。あとはこっちで対応する」

上司は静かに、けれど真剣な顔で最後まで聞いてくれた。

その一言で、張り詰めていた肩の力がふっと抜けた。ずっと、自分が大げさなだけかもしれないと迷っていた。でも、もう迷わなくていいのだと思えた。

数日後、上司は先輩本人に、毅然とした態度で注意してくれたという。あの日から、家までついてくる人影は消えた。職場では素っ気なく無視されるようになったけれど、それでよかった。

ようやく、まっすぐ家に帰れる。ただそれだけのことが、こんなにも安心できるものだったのか。夜道でうしろを振り返らずに歩ける。

その当たり前を取り戻せたことに、深く息をついた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ