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「私が笑うと誰かが傷つくと思ってた」絶世の美貌が原因で、周囲から嫉妬や嫌がらせを受けてきた壮絶な過去【作者に聞く】

  • 2026.8.4

メンズエステとは、マッサージを中心とした施術で心身の癒やしを提供する男性向けの店のことだ。漫画家の蒼乃シュウ(@pinokodoaonoshu)さんが描く『メンエス嬢加恋・職業は恋愛です』は、そんなメンズエステを舞台にした創作漫画である。肌に触れるだけで人の心の奥底までも理解してしまうメンエス嬢の加恋が、店にやって来た“訳アリ”な客の心身を癒やしそっと背中を押す人間ドラマとなっている。今回は、これまで謎に包まれていた加恋自身の過去や秘めた思いがはじめて明らかになる最終話について話を聞いた。

美しさゆえの生きづらさと心の傷

蒼乃シュウ(@pinokodoaonoshu)
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1話から9話までは加恋が客の心の問題を明らかにして癒やす形で物語が進んできたが、最終話では客ではなく、主人公である加恋自身の心の問題が明らかになる。蒼乃さんは、人を癒やすことで自分も癒やされていくという加恋の生き方に少しでも共感してもらえたらうれしいと語る。

加恋は客のトラウマや悩みに深く共感できる、類いまれなる能力を持ったメンエス嬢だ。「もし現実に加恋のような女性がいたら」と想像したとき、客以上にたくさんの生きづらさを経験してきたのではないかと考えたという。

彼女は「美しさ」が原因で女性から疎まれ、男性からは言い寄られ、幼少期には母の交際相手から勘違いされた経験も持つ。その結果「私の中にはきっと人を不快にさせる何かがある」と思い込み、現在も職場のメンエス嬢から靴を隠されるなどの嫌がらせを受けて集団になじめない。蒼乃さんは美しさについて、生まれながらに備わっているのは恵まれているが、嫉妬の対象にもなりやすいと指摘する。誰もがうらやむ美しさを持っていても、それに見合うだけの心の強さがなければ扱うのは難しいのだ。

開き直りの大切さと自分を愛すること

顔を隠して背中を丸め、なるべく目立たないように生きてきた加恋は、美しさという才能をうまく使えずにいた。しかし蒼乃さんは、大人になってからは自分の幸せに自分で責任をもたなければならず、「自意識過剰でもいい、嫉妬されても孤立してもいい」と開き直ることも大切だと語る。生まれ持った自分の能力や才能を信じて伸ばす努力を怠ると、いつまでも自信が持てないからだ。

「謎のメンエス嬢が客を癒やす一話完結の物語」というスタイルが決まったときは、1話ごとに納得のいく形で描ききらなければならないという不安もあったという。しかし、描き進めるうちに加恋のキャラクターが定まり「どんな問題のある客が来ても大丈夫」と自信がつき、最後まで楽しく描けたそうだ。

客が抱える心の傷は加恋自身にも身に覚えがあり、客を癒やしてきた言葉は本当は彼女自身が欲しい言葉だった。この「言葉」こそが本作の一番の見どころである。登場する10人の悩みは、立場は違っても読者の悩みと共通するものがあるだろう。最後には自分を愛していると胸を張って言えるようになった加恋の笑顔が清々しい。本作は『あの店のメンエス嬢は僕の心が読めるらしい』にタイトルを変更して電子書籍化されるため、こちらも楽しみにしてほしい。

取材協力:蒼乃シュウ(@pinokodoaonoshu)

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